なでしこ御用帖 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468793

作品紹介・あらすじ

八丁堀の町医者の娘お紺は、娘盛りの十七歳。その楚々とした風情から、なでしこちゃん、と呼ばれているが、実は大酒飲みの捕物好き。それもそのはず、祖父は"斬られ権佐"のふたつ名を持つ捕物名人。ある日、次兄の流吉が、殺しの下手人として、しょっ引かれたからだまっちゃいられない。岡っ引きの金蔵小父さんを引き連れて、現場にのりこみ真相を探る。人情と恋と家族愛の心温まる時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 小説すばる2008年2月号八丁堀のなでしこ、5月号養生所の桜草、8月号路地のあじさい 、11月号吾亦紅さみし、2009年2月号寒夜のつわぶき、5月号花咲き小町、の5つの短編を2009年10月集英社から刊行。2012年9月集英社文庫化。17歳捕物小町お紺のストーリー。切られ権佐の孫だという設定が面白い。明るく軽いノリのお話で、残るものがなかった。

  • 2021/5/28
    斬られ権佐の続編。
    孫の代。
    有賀様がクソ過ぎてその印象で全部持って行かれてしまった。
    なんて言うか宇江佐さん容赦ないよね。良くも悪くも。
    書きたいと思ったことは書く!みたいな。
    ホンマもんって感じ。

  • 医者の父親の手伝いをしながらも、町の事件に口を出してしまうなでしこさん。顔は可愛らしいのに毒舌なところが面白かった。お転婆という域に収まらない毒舌・事件解決に積極的なのに武力はないフツーのお嬢さんなギャップが面白い。

  • 斬られ権左の孫が活躍する市井人情捕り物帳
    捕り物帳の体を成してはいるが、ミステリ要素はなく、宇江佐さん得意の人情話で、本作も江戸に生きる庶民たちの泣き笑いをしっかり味あわせてもらえる。

    マンネリっちゃマンネリ、でもこういう心がほっこりしたり、すっきりしたり、ちょいホロな話を時々読める機会があるってことはありがたいことで、なんかの時には宇江佐人情モンがあると思えるのは心のどこかが、安心できるものだ。

    なでしこちゃん、元気で美人で調子乗りで、こういう娘はいいなぁ。権左のラストが哀しかったから、孫の彼女らはずっとハッピーでいて欲しいと思う。

  • 「なでしこちゃん」というあだ名の町医者の娘、お紺が身の周りで起きる様々な事件に首をつっこみ真相を明らかにしていくというお話です。
    お紺には二人の兄がいて、長兄の助一郎は小石川の診療所で見習いをしており、次兄の流吉は手先の器用さを生かし仕立ての仕事をしている。
    最初の事件は、次兄の流吉がたまたま殺害された大家の第一発見者となり、容疑者となってしまうというもの。
    お紺は兄の疑いを晴らすため、顔なじみの岡っ引き、金蔵から事件について詳しく聞き、首をつっこんでいく。
    お紺が普段どんな風に事件に関わっているのか、どんな性格の娘なのかが分かる第一話となっています。

    続く「養生所の桜草」は、長兄、助一郎が働く養生所で自害者が相次ぎ、さらに女看病人が所内で何者かに襲われ大怪我をする事件について、お紺が自ら養生所に女看護人として入り探っていくというもの。

    「路地のあじさい」は、お紺の父であり町医者の洞雄の患者、おきえにかけられた殺人容疑をお紺が晴らしていく話。
    居酒屋をしているおきえは余命いくばくもないと診断されており、そんな彼女には一人娘がいる。
    いつもは優しいおきえだが、ふと見せた彼女の鋭い眼に一瞬恐ろしいものを感じるお紺。
    その眼の意味するものとは-。
    その後、おきえが馴染み客の一人を匕首で刺し殺すという事件が起きた。
    おきえを庇うお紺だったが、金蔵はあきえには疑われるだけの理由があるのだと言う。

    この話が一番面白かった。
    娘を思う母心、そしてそれを知りながら利用する娘が切なくもやるせなく描かれている。

    他「吾亦紅さみし」「寒夜のつわぶき」「花咲き小町」とどれも花の名前が出てくるタイトルになっていて、その花が作中ピリッと生かされた話となっています。
    そして事件を解いていく中、17歳のお紺が二人の男性に求婚され、揺れ動く様も描かれています。

    個人的に、主人公のお紺の性格が定まってない感じがして、つかみづらい性格だと思いました。
    事件についつい首を突っ込む、おせっかいで行動的な女性かと思えば、作中「おっとりしている」と書かれていたり・・・。
    江戸っ子で使う言葉が結構キツいと思えばゆっくり喋ってるらしいし・・・。
    強気な性格かと思えば、泣き虫だったりするし・・・。
    彼女の魅力がそのまんまこの話の魅力につながっていると思うのでその辺が残念でした。

    ほのぼのとして軽い調子で読める本ですが、その分記憶に残りづらい本だと感じました。

  • 町医者の娘「なでしこちゃん」が、江戸の町で起こる事件の解決に向けて活発に動き回る短篇集。

    非常に読みやすく、話もわかりやすくて、最後もうまくまとまるので楽しんで読める。さすがの宇江佐真理さんクオリティ。

    祖父のDNAを引く捕物好きなお嬢さんらしいので、祖父の話も読んでみたい。

  • 八丁堀の町医者の娘、17歳のなでしこちゃんことお紺の捕物帖。
    お紺を取り巻く人々の人生、人情が描かれていて、江戸時代も現代も、恋に仕事に嫉妬に恨みに親心に義理に身分に、悩みは尽きないと思わされます。
    お紺の祖父は、斬られ権左。今も語り継がれる捕物の匠。
    読んだ。知ってる、権左。好きだった、確か。でもすっかり忘れている。ので、再読します。
    久々の宇江佐真理さん。優しい眼差しが感じられて、読むとほっとします。

  • わりとさわやかな作品だったかな。猫がらみの話もあって楽しめた。

  • 前作より落ちるが、後半持ち直した。
    ワールドカップ優勝よりも前、2009年の作品。

  • なんてこと、2度目。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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