空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468823

作品紹介・あらすじ

チベットの奥地、ツアンポー川流域に「空白の五マイル」と呼ばれる秘境があった。そこに眠るのは、これまで数々の冒険家たちのチャレンジを跳ね返し続けてきた伝説の谷、ツアンポー峡谷。人跡未踏といわれる峡谷の初踏査へと旅立った著者が、命の危険も顧みずに挑んだ単独行の果てに目にした光景とは-。第8回開高健ノンフィクション賞、第42回大宅壮一ノンフィクション賞、第1回梅棹忠夫・山と探検文学賞。

感想・レビュー・書評

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  • アドベンチャーはよくわかる。でも命がけの「冒険」がわからない。もっぱら危険が目的のように見える冒険がわからない。加藤文太郎や植村直己などの帰ってこなかった冒険者はどこに行こうとしたのだろう? ぼくが登山の本を読むのはそれが知りたいからだ。
    角幡唯介の「冒険」も、彼らの冒険に似ている。世界初にこだわり、空白にこだわる。命がけでない冒険は冒険ではないと言う。1年納豆だけで暮らすとか、スキップでフルマラソンを駆け抜けるとか、世界初でもそういうことは冒険者はやらないのだ。なぜなんだろう。
    この本にもその答えは書いてない。本人たちにもわからないのではないかと思う。危険に飛び込み、切り抜けた爽快感が、文字通り麻薬的な意味を持つのかもしれないと思う。

    ただ、読み終わってふと思った。
    子供の頃、日の暮れかかる知らない道を一人で歩いていて、もう戻ったほうがいいんだけれど、ここにはもう二度と来ないかもしれないし、あの角を曲がって向こうの景色を見ないと後悔するかもしれない、という下腹のざわざわするような気持ち。冒険者はそういう気持ちを忘れられないでいる人たちなのかもしれない。

  • [人跡未踏、その先へ]「冒険」、「探検」といった言葉が古めかしく聞こえてしまう21世紀において、未だ人類の進入を許さなかったチベットの秘境・ツアンポー峡谷。未踏地として残されたわずか五マイルに触発された著者は、無謀とも言える決死行に挑むのであるが......。桁外れの冒険をやってのけた男の自己表現録です。著者は、若い頃からヤブをナタで切り拓くような探検に憧れていたという角幡唯介。


    角幡氏の記録とツアンポー峡谷そのものにまつわる歴史が交互に語られていくのですが、どちらもとにかくスケールがでかく、またどこかおとぎ話のようでぐいぐい引き込まれていきました。インドア気質の自分としては、本書を読んでも「行ってみたい......」という気持ちにはなれませんでしたが、冒険を疑似体験させてくれた、そして、冒険とは何かということを考えさせてくれたという意味で非常に勉強になった一冊でもありました。


    どこを切り取っても魅力的な作品ではあるのですが、特に個人的に印象に残ったのは、2009年の渡航箇所。文字通り死と直面しながら一歩一歩生きることを目的として地面を踏みしめていく様子には、読書という体験をとおして深淵なものを見せてくれた気がします。それにしても、あまりに自分の日常と違いすぎて少しくらっときたのがこれまた印象的だったなぁ。

    〜冒険は生きることの意味をささやきかける。だがささやくだけだ。〜

    「空白の五マイル」という言葉が美しすぎる☆5つ

  • 現代の冒険家である著者が
    世界に残り少ない話題性ある秘境に命懸けで挑戦するお話
    チベット秘境冒険史は面白いが
    著者自身の冒険の描写はそうでもなかったりする
    ノンフィクション形式だから盛っちゃいけないってことないのよ
    演出は必要なのよと思う
    正直になんで冒険するのかわからないとか書かないでそれっぽいことを書いて
    冒険には縁のない大多数を楽しませるのが
    冒険家のしたくないけれどしなければならないお仕事だと思う

  • チベットの奥地、ツアンポー川流域に「空白の五マイル」と呼ばれる秘境があった。
    そこに眠るのは、これまで数々の冒険家たちのチャレンジを跳ね返し続けてきた伝説の谷、ツアンポー峡谷。
    人跡未踏といわれる峡谷の初踏査へと旅立った著者が命の危険も顧みずに挑んだ単独行の果てに目にした光景とは―

  •  カクハタ氏の著作を読むのは初めてだ。
     ノンフィクションの冒険ものということで、角幡氏、高野氏の作品を少し読んでみようと思って購入した。

     ツアンポーという最後の秘境に挑戦する。いろんな人が空白の5マイルに挑戦するが、敗れ去っている。角幡氏がすごいのは、他の挑戦者達は複数人で挑戦しているが、志を同じくする人がいなかったのか、角幡氏は一人で挑戦する。結局は、空白の5マイルは踏破できなかったが、恐らく、複数人で挑戦すれば、成功したのではないかと思う。

     ただ、山奥を進む描写が、そこまで上手くはない。新田次郎の登山ものを読むと、やはりとっても物足りない。が、知らない世界を教えてくれるという意味では貴重な存在ではないかと思う。

  • 高野秀行の辺境シリーズが好きで、こちらにも手を伸ばしてみた次第。
    とりあえず、早稲田大学探検部に入ろうと思う所からして、もう違う。

    私は自分が人に知られないことは好むけれど、自ら人の知らない場所を探そうだなんて思ったことは一度もない人間だ。
    更に、自分が危険な目に遭うこと、そのものを行程の一部(むしろ本質)と考え、死ぬかもしれない今日の中で生きることに触れるなんて、まあ、ハッキリ言えば理解出来ないのだ(笑)

    ツアンポー峡谷の幻の滝探索を通して、何かテーマが見つかるわけではなくて。
    本当に、ただがむしゃらに冒険をしていて、その姿勢だけが記憶に残る本だった。
    村の文化とか、動植物とか、地形とか。
    そういった目があるわけではない。
    あくまで冒険を続けるバックグラウンドに、それらがきちんと存在していると分かる。

  • ヤル・ツァンポー=ブラマプトラ川の人跡未踏の五マイルについて、著者自らが探検を試みた記録である。

    この本のすばらしいところは、リヴィングストンなど名だたる探検家たちがアフリカや極地を探索し、ほとんど世界の空白地帯を解消したところだが、依然として人跡未踏のまま残された土地を21世紀のわれわれの世代が探検する、というところにある。

    このヤル川(ツァンポー川)中流の屈曲地帯については、19世紀のキントゥプから始まり、20世紀初めまで探検が行われたが、いったん中断され、これが1990年代になってアメリカの探検家により改めて取り組まれるといった息の長い挑戦が繰り返されている。

    この探検を、ふと書店で関連書籍を手に取った大学生が、学生時代のみならず、いったんついた新聞社の仕事を捨ててまで取り組み、生死の境をさまよう探検を行っているところに大いに惹かれるところがあった。

  • 今の時代に、冒険なんて、、、と失笑されるのを十分本人も知って、
    他人にとってまるで、意味のないことをする。自分はわりかし好きです。

    効果があること、意味があること、原因と結果が予めわかっていること、
    今は、そういうことが、「行動する動機」になります。

    しかし、それでは、真の感動なんて、ないかもしれません。

    著者は、文章もうまいし、読ませます。今は、冒険できる場所を探すのが大変だと思いますが、
    著者には、今後、是非、続編を書いてほしいです。

  • チベットの奥地、世界最大と言われるツアンポー峡谷で未踏の区間を単独探検した日本人の 探検記。やはりノンフィクションは面白いし、著者は元新聞記者であり文章も秀逸。なぜ生きるのか、どうやって生きていることを実感するのかという問いは、普段考えることはないが、本当は大切なことを考えさせてくれる。

  • この地球上にまだ人跡未踏の地があるのかー。非常に臨場感溢れる冒険譚で、特に遭難しかかったところなんか読んでてヒヤヒヤしました。でも渡航前に先輩から聞いた若きカヌーイストの死のくだりが、伝聞であるにも関わらず目の前で本当に人が死ぬのを見たかのようでとても怖かった。

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著者プロフィール

角幡 唯介(かくはた ゆうすけ)
1976年、北海道芦別市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。同社退社後、ネパール雪男捜索隊隊員。『空白の五マイル』(集英社)で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『雪男は向こうからやって来た』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。『アグルーカの行方』(集英社)で講談社ノンフィクション賞受賞。

「2014年 『地図のない場所で眠りたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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