光媒の花 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 2607
レビュー : 305
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468915

作品紹介・あらすじ

一匹の白い蝶がそっと見守るのは、光と影に満ちた人間の世界-。認知症の母とひっそり暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄妹が、小さな手で犯した闇夜の罪。心通わせた少女のため、少年が口にした淡い約束…。心の奥に押し込めた、冷たい哀しみの風景を、やがて暖かな光が包み込んでいく。すべてが繋がり合うような、儚くも美しい世界を描いた全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • わたしの大好きな連作短編集!

    全作品が、道尾さんらしいもので溢れてる。

    みんな精一杯、大きなものを抱えて、大切な人を守るために、生きている。

    2章の虫送りが、一番好き。ちょっとしたやるせなさが残るけれど、そのやるせなさを3章が解決してくれ、でも、3章の主人公もまた、やるせなさを抱えてる。

    そんなふうに、いろいろある誰かの人生にひょっこり顔を出す誰かも、自分の人生では主人公で、いろいろあって。

    連作短編集を読んで、いつも思う。
    ちょっとその人を見ただけで、その人を嫌いになっては、いけないんだと。
    その人にだって、過去にいろんなことがあって、今のその人になってしまったのだから。
    きちんと、その人の過去を知れば、わたしたちはきっともっと、分かり合える。
    過去に縛られている人は、今からでも、過去と向き合える。

    そうやって、わたしたちは、生きている。

  • H29.6.24 読了。

    ・短編連作、とても読みやすくそれぞれに登場する主人公の心模様の変化がわかりやすい表現で書かれていて、良かった。

  • 推理文学の名手、道尾秀介さんが書き上げた心を波立たせながらも最後に安らぎと平安をもたらせてくれる山本周五郎賞受賞作の6つの絶品連作短編集。「光媒」はありそうで実はない道尾さん一流の造語ですね。前半3つは忌まわしい殺人物語ですが後半3つは悩める人々の癒しと救いの物語になっていますね。一編毎に語り手を変えながら前人が次の話の何処かで顔を出す秀逸な構成が意味するのは、人は誰もみな目に見えない苦労を抱えて生きているのだというシンプルな事実でしょう。私は薄幸の女サチと昆虫学者志望の男との再会が叶う事を信じています。

  • 情景描写が綺麗って言うのか分からないけれども、この本を読みながら6箇所を旅した気分になれました。

    私は「遠い光」が好きです。
    血の繋がらない家族は本当の家族じゃないのか…
    なることが出来ないのか…
    私も1人だけ血の繋がってない子供なので育ててくれた親には感謝しているけれども、そんな風に思ってしまうこの子の気持ちが痛いぐらいにわかります。

    〝家族〟って一体 何なのでしょうか?





































    私にも彼女のような素直さと強さがあればよかったのかなぁ…

  • 道尾さんの作品が好きなで順不同に買ってきて積んでいる。 期待して読んだ「光媒の花」は6章に別れて、それぞれの話は微妙につながっている。読み終えて、彼の本領はここにはなかったなと思った。


    雑誌の中の月評で

    道尾秀介は、ミステリーという土壌に咲いた大輪の花である。巧みな仕掛けに驚愕の結末、文章だって美しい。だが2年という歳月をかけて紡ぎ出された短編集「光媒の花」(集英社)を手に取れば、気づくだろう。その地に安住せず、より広い場所へと歩みを進める作家の姿に



    「向日葵の咲かない夏」「鉤の爪」を読んでいたので、そう言う評があるのだからこの本も読んでみよう。



    「光媒の花」は
    6章に別れ、今まで感じていた作品とは傾向が違う、淡い哀しみの色彩を帯びた短編集になっている。それぞれは微妙につながっていて、東野圭吾の「新参者」のスタイルにも似ている。


    だが、彼の本領はここにはなさそうだと思った。
    静かな文芸作品のような香りのする文章はミステリを離れた読み物にいいかも知れない。

    「向日葵の咲かない夏」は前に感想をメモした。
    「鉤の爪」は仏像についての薀蓄が話に厚みを出していて面白かった。(もう既読山で風化したのか書評が見つからないけれど)
    どちらも異常な舞台設定の中で、ミステリアスな展開があり、犯行の動機もうまく考えられて楽しめたが、最終段階に入り多少密度が薄れていくようで残念だった。

    多方面での受賞作を読んでいないので、もう少し評価の定まったものを読むのもいいかもしれない。
    道尾さんいいなぁ
    これから楽しみが増えた。

    「光媒」というのは初めて知ったので調べてみた。最近見る本物とまがうような観葉植物に使われているらしい。
    分かりやすい「風媒花」というのは武田泰淳の同名の作品を読んだことがある、カメラに凝っていた頃、タンポポの綿毛の旅立ちを撮ろうと仲間で頑張ったが技術が少し進歩すると簡単に写せるようになった。名作には程遠いけれど。「
    武田泰淳だと「ひかりごけ」のお再読もいいかなぁ。

      読んでみようかな。


    「向日葵の咲かない夏」「鉤の爪」を読んで面白い作家だと思っていたので、そう言う評があるのなら、と思った。

    それが、静かな文芸作品のような香りのする文章がつづれられてはいるが、新しい試みは多少不満が残る。
    ミステリを離れた秋の軽い読み物にはいいかも知れないと感じる面もあるが、彼の今までの印象とはすこし距離があった。

    「向日葵の咲かない夏」は前に感想をメモした。
    「鉤の爪」は仏像についての薀蓄が話に厚みを出していた。
    どちらも異常な舞台設定の中で、ミステリアスな展開があり、犯行の動機もうまく考えられて楽しめたが、どちらも最終段階に入り多少密度が薄れていくようで残念だったが。

    多方面での受賞作を読んでいないので、積んである中から、煮詰まったものを読むのもいいかもしれない。

  • 道尾秀介が描く人間模様って、重松清のような儚さと温かさと冷たさがあると感じた。すごく独りよがりだったかと思えば、人恋しくなって甘えた考えに至ったり、それでもやっぱり突き放してみたり。不器用なんだけど、自分勝手なだけ人間くさい。その人間模様が短編ごとに繋がっていくって、なんだか毎回前作のスピンオフを見ているようで、ちょっと得した感じがするよね。しないか。

  • 吃驚した。道尾さんと言えば、私の中では伏線職人さんだったのだが…。なんと哀しく儚く、それでいて輝く文章を連ねるのか。技巧云々を越えて昇華された感があります。満足しました

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    一匹の白い蝶がそっと見守るのは、光と影に満ちた人間の世界―。認知症の母とひっそり暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄妹が、小さな手で犯した闇夜の罪。心通わせた少女のため、少年が口にした淡い約束…。心の奥に押し込めた、冷たい哀しみの風景を、やがて暖かな光が包み込んでいく。すべてが繋がり合うような、儚くも美しい世界を描いた全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作。

    短編がそれぞれどこかでつながっている。そんな1冊だった。不幸だった主人公が、次の短編では幸せなその後を歩んでおり、ほっとした気持ちで読了できた。

  • 面白かった。
    描き方の上手な作家さんは、半ページでもう本の世界に引き込む。もう2ページも読んだらわたしは本の住人になれる。そんな天才的な手腕を持つ作家っているんだよ。本当に。
    ストーリーはめっちゃ面白いけどなかなか世界観に馴染めない作家もいる。
    私は今まで、描き方、言葉の選び方だと思ってたけど、ラジオの周波数みたいにピタッとくるその時のわたしの周波に合う作家だとそうなるのかなー?と、思ってたけど、他人の解説を読んでたらそうではないのかもしれない。

    途中で読み止めてトイレ行って戻って読み直しても、朝読んで、夜読み始めても半ページもすれば本の中に戻れる。

    この体験したら本手放せないですよ。ホントに。

    この本。まさにそれでした。うますぎるよ。世界に引き込むの。引きづりこまれたに近い。

    ハリーポッターにハマって、2冊くらい連続で読んだとき、二週間くらいホグワーツから出られなかった私。

    本当、本の世界にひきづりこまれた暁にはいつか戻って来れなくなる日がくるんじゃないかと、非現実的なことまで考えさせられるくらいに、作者の世界観に溺れます。

    この体験。みんなにしてもらいたい。

  • 偏見かもだけど道尾秀介さんの本って話の軸はシビアで現実的な感じなのに犯罪(殺人)に対しての表現がすごくライトな気がする。日常に溶け込んでる身近な人が犯罪者(殺人)だったり、子供が勢いで暴力したり殺そうとしたりとか。なんか犯罪が日常に当たり前にあるみたいな感じがする。だからどっか現実離れしてるように見えたりするし、人間は弱くて壊れやすい生き物なんだって言われてる気がする。

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著者プロフィール

1975年東京生まれ。04年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。『月と蟹』で第144回直木賞受賞。

「2019年 『カエルの小指 a murder of crows』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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