- 集英社 (2012年10月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784087468984
作品紹介・あらすじ
メフィスト賞受賞の著者書き下ろし長編
中2の夏の終わり、転校生の僕は不思議な少女と出会った。誰よりも美しい彼女は、なぜかクラス中から無視されている。向日葵のように強くしなやかな少女が、心に抱く秘密とは……。(解説/金原瑞人)
みんなの感想まとめ
中学の複雑な人間関係を描いたこの物語は、孤立した美少女キヨコと新たな転校生高野との出会いを通じて、主人公慎平の成長を描いています。転校生としての経験を持つ慎平は、学校という窮屈な世界での友情や恋愛のバ...
感想・レビュー・書評
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最後の頁を閉じた時、
「ああ!できることならこの本には中学生の頃に出会って
未成年の熱ともどかしさを噛みしめながら読みたかったなぁ!
そしたら大人になって読み返したときの感動もひとしおだったのに!」
なんて、ないものねだりの妄想をふくらませてしまいました。
・・・というわけで、もちろん大人になってから読んでも素晴らしいけれど
夏休み真っ只中のティーンエイジャーのブクログ仲間さんたちに
「十代でこの本を読める幸運を逃さないで!」と、ぜひおすすめしたい一冊です。
たぶん、いちばんわかりあえる相手、
誰よりも自分を知ってほしいひとに
「私を知らないで」とつぶやくしかない、キヨコのせつなさ。
「普通に生きられる場所」へと彼女を引っ張り上げるべく、手を差し伸べたくても
法律や世間の常識に阻まれ、歯噛みするしかない、未成年のシンペーと高野。
このせつなさ、もどかしさを、リアルタイムで共感して読めるなんて
なんとまあ、うらやましいこと。
中学生にして既に転校のエキスパートを自認し、万事そつがないシンペー。
シンペーが緻密な計算を組み立てた上でクラスに溶け込む「浸透型転校生」だとしたら
後から転入してくる高野は、計算の「け」の字も脳内に存在しないような
あっけらかんとした「飛び込み型転校生」。
彼らが、「貧乏で変わり者だ」と、クラスの異物として遠巻きにされているキヨコの
休日の行動を追跡するところから、物語は鮮やかに展開し始めます。
いつ来るかわからない終わりを見据えながらも
貧乏暮らしの中、創意工夫を重ねて貯めたお金で
末永く使える質の良いバッグや高価な箒を買い
一生ものの「ミーレの掃除機」に憧れる。。。
「普通に生きる」という、キヨコのたったひとつの望みを叶えるために
冷静さも緻密さもかなぐり捨てて、みっともなく走り回る男の子たちが
どうしようもなく愛おしい。
そして、クラスに馴染むため、ボスのミータンの取り巻きの中から
好きでもないのに彼女として選んだアヤの労作が、めぐりめぐって
キヨコを救うにあたり、シンペーには如何ともしがたかった親の心を動かすくだりや
恋愛すら戦術としてスマートに利用していたつもりのシンペーが
遅まきながら初めてほんとうの恋を知ったときの恋の神様からのしっぺ返しは
大人になったからこそ、ほろ苦く、しみじみと胸に沁みてきて。
ティーンエイジャーのうちにぜひ、と書き始めたけれど
大人になりかけの人にも、大人になって久しい方にも
ぜひ読んでいただきたい名作です。 -
以前新聞の書評を読んで、「読みたいなー」と思っていたら、今年度から配属になった学校図書館で発見。夏休みに読むことにした。
主人公の黒田慎平が、中学時代の記憶を辿る形の物語。
舞台はおそらく、田園都市線の「たまプラーザ」駅周辺、横浜市青葉区美しが丘と呼ばれるところだろう。
慎平の父親は銀行員で転勤族。
転入生となるのは4回目の慎平は、どうしたら目立たず空気のようにクラスに溶け込めるかを、熟知している。
でも、この学校は一筋縄ではいかなかった。
あからさまなイジメや暴力はないが、「キヨコ」と呼ばれる美少女1人を完全な「無視」のターゲットにしている。
「キヨコ」にある「影」が気になり、彼女のことを知りたいと思うようになる慎平。
そんな折、慎平とは違いゴルフが趣味のキラキライケメン転校生、高野三四郎がクラスに加わる。
クラスのルールに縛られずに「キヨコ」に関わる高野と、ルールの及ばない場所で「キヨコ」とコンタクトをとろうとする慎平。
3人の微妙で不思議な友情と恋のバランス。
3人それぞれが抱える家庭のバックグラウンド。
なかなか読み応えがあったが、主人公たちが中2ということは、読み手を中学生と考えていないこともないのだろうなぁ…
大人たちは言う。教室の中のことしか知らないのが子供の弱点だ、と。でも僕たちは教室の中のことだけなら大人よりもずっと深く知っている。p210
学校は怖い世界だ。綱渡りのように危うい。足の指一本の動かし方で、ちょっとした風向きまでまっ逆さま。p215
など、中学という窮屈な世界を見事に表現しているのだが、主人公たち3人それぞれの背景がそれぞれに複雑で、物語全体が少し冗長な気もする。
漢字遣いが難しい物もあり、中学生が読むならルビが欲しいなぁ、と思う部分もあった。
2021.8.23 -
うぅぅ〜(>_<)
「いやぁ〜本が好きで良かった!」というこの感動を
真っ先に誰に伝えればいいのか(笑)
素晴らしいレビューで
自分に新しい扉を開いてくれた
kwosaさん、neon_booksさんに
まずは感謝!
またお気に入りの作家が増えてしまったなぁ〜(>_<)
転勤族の親の都合で
転校を繰り返す
13歳、中学二年生の主人公、黒田慎平。
新しいクラスで
シンペーの心を奪ったのは
大人な美少女の新藤ひかり。
しかし彼女は
なぜか周りから蔑んだアダナの「キヨコ」と呼ばれ、
クラスでは完全に無視される存在。
新しい転校生と共に
シンペーは
彼女の謎に迫っていく…
一人の少女を救うため
二人の少年が挑んだ
切なく胸を締め付ける
無謀な戦いを描いた
青春ミステリーの傑作!
いや、最初は
永遠の転校生であるがゆえに
人と深く繋がることを怖れ、
責任を持つことを避けて生きてきた主人公像に
違和感を覚えていたのですよ(笑)
単身世帯の子はタフである論や
年齢の割に達観しまくったところなど
全くと言っていいほど共感できなかったし。
(勿論作者はワザとそう描いているんやろうけど笑)
しかし、それでもなお
ページを捲る手が止まらない
引き込み力の凄さは
やはり白河さんの実力なんやろなぁ(笑)
そしてなんと言っても
謎の美少女キヨコの
ミステリアスな魅力に尽きます。
誰にも諂わず、
胸を張り凛として歩く
キヨコの不屈さに
心動かされない人はいないだろうし、
キヨコが初めてのダンスゲームを完璧にこなしたり、
シンペーがキヨコお手製の
暗黒おにぎりの美味さに驚くシーンには
満面の笑みにさせられたし、
文化祭での
己の存在意義を賭けての
「バーバー・キヨコ」の奇跡は
痛快かつエモーショナルに
読む者の胸を打って、
涙なしでは読めないハズ(T_T)
少女の壮絶な過去と
少年がたどり着く
驚愕の真実。
身近な人の秘密は
とてつもなく甘く
後悔するほどにほろ苦い。
二人の少年ドン・キホーテたちは
何を失い何を得たのか。
切なさと希望を内包した
一気読み必至の
広く親しまれるべき傑作です。
繰り返すけど、傑作!(笑)-
おおーっ!!
kwosaさん、気づいてくれましたか〜(泣)(>_<)
自分の携帯のレビューでは
何度やっても
レビューがす...
おおーっ!!
kwosaさん、気づいてくれましたか〜(泣)(>_<)
自分の携帯のレビューでは
何度やっても
レビューがすべて反映されなくて、
(しかもkwosaさんへの感謝の言葉を書いた冒頭だけが反映されないのです)
かなり凹んでたんやけど
スマホやパソコンからは
おそらく読めてるんですね(笑)(^_^;)
それが分かっただけでも
とりあえず
ホッとしています(笑)
あっ、マリモさんから
『私を知らないで』バトンは
密かに繋がっていってたんですね(笑)
自分も昔はかたくなに
自分の好きなものだけを追いかけるタイプやったけど、
ブクログを知って
いろんな本好きさんと知り合ってから
書評を読むのが楽しくなりました。
人間いつ死ぬかなんて分からないし
自分で自分の枠を作っちゃうって
すごくもったいないことですもんね。
何も知らないままで
自分は死にたくはないし(笑)
もっともっと貪欲に
もっともっと柔軟に
読まず嫌いをなくしていきたいって思ってます(^O^)
しかしホンマ
心揺さぶる
いい作品でした!
2013/04/22 -
読まれたのですね^^
コレはホント不思議な魅力のある
作品ですよねー。透明感も温度も
他の作品とは違って見えます^^読まれたのですね^^
コレはホント不思議な魅力のある
作品ですよねー。透明感も温度も
他の作品とは違って見えます^^2013/04/24 -
neon_booksさん、
コメントありがとうございます!
いやぁ〜
皆さんの熱いレビューを読んで
何か感じるものがあった...
neon_booksさん、
コメントありがとうございます!
いやぁ〜
皆さんの熱いレビューを読んで
何か感じるものがあったので、
「必ず読むリスト」にメモっていたけど
いやはや、噂に違わぬ傑作でした(^O^)
また新しい好きな作家が増えたし
neon_booksさんには
ホンマ感謝してます!
しかし今の若い作家は
ホンマに文章が上手いですよね(>_<)
自分より若い才能のある作家が
続々とデビューしていて
毎回驚かされています(汗)
2013/05/02
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-
転校先で出会った、孤立している美少女のキヨコと、新たな転校生の高野。
キヨコのおにぎりが、シンプルなのに凄く美味しそだった。
しんぺーと高野、そしてキヨコの複雑な恋愛を通り越した関係が良かった。
ラストは意外な展開でしたが、キヨコには幸せになって欲しい。 -
単に、中学生のリアルな学校生活における、シニカルな恋愛ものだと思っていると、突然足もとをすくわれることになる。読んでて私も気付かぬ内に、重要なテーマを掲げられていた。
人間には、良いところも悪いところもあるということ。難しいのは、時に悪いところを出さないと、自分自身が駄目になってしまうかもしれない状況もあるというのは、言い換えると、誰かを犠牲にして、自分が成り立っているのかもしれないということ。私も時折、感じていたことがあるので、その点は、説得力があるなと思いました。
ただ、逆に「キヨコ」のネタばれ要素は、少し違和感があるように感じたけれど、それを差し引いても、きちんと「シンペー」の成長物語になっているところや、大人が読んでも頷いてしまう、印象的なフレーズの数々には、色々考えさせられました。
「人生に恵まれていると感じる人は他人に優しくしてほしい。自分が恵まれていないと感じる人は、それでも他人に優しくしてほしい。」
はあ、やっぱり人生って辛いよね。分かってるよ、そんなこと。でも、この作品を読んだ後は、少し心の負担が軽くなったかもしれない。
それにしても、シンペーには最初から最後まで、感情移入できました。最初は、冷静沈着すぎる野郎だと思っていたが・・ネタばれが多すぎて書けないのが残念。一味違う青春ものを読みたいのなら、お勧めします。まあ、あのエンディングはね。ああいう終わり方でも意外に・・シンペーは本当にいいやつだよ。 -
これは、ファンタジー。
これは、ミステリ。
これは、ひょっとしてSF?
いやいやこれは、奇妙な恋愛小説。
それとも......
乙一 × 朝井リョウのハイブリッドのような最強の牝馬。
デビュ−3戦目ながらダートを一気に駆け抜け、これから重賞レースを総なめにしていきそうな予感。
『私を知らないで』
いいえ、あなたをもっと知りたい。白河三兎さん(性別不明)。
転勤族の父について、家族で横浜市の外れに引っ越してきた僕。
転校を四回も繰り返して身につけた嗅覚で、クラスのボスキャラを嗅ぎ分け、空気をうまく読み、つつがなく生きる。
「キヨコ」には近づくな。
それが暗黙のルール。
しかし、遅れてきたもう一人の転校生、高野によって平穏は破られる。それどころか、まったく空気を読まない高野が一気にスターダムを駆け上がり、クラスのパワーバランスが徐々に崩れ始める。
僕、高野、「キヨコ」そして、ボスキャラ「ミータン」たちはどうなっていくのか。
ミステリとして考えた場合の一つの要点は、まあ何となく読めた。
でも、この物語はそういうことじゃない。
そのもっと後ろにある様々な伏線の乱気流を、箒に跨がった見習い魔女のようにかいくぐり、右へ左へ、時に急降下、再び急上昇を繰り返しながら進んでいく。
そして魔女と箒の後ろにぶら下がってついてきた少年は、いつしか逞しく成長し、誰もみたことのない地平に辿り着くのだ。
その地平を垣間みた僕は、じわじわと切なさがこみ上げてきた。
そして気づく。その先にある魔法を。
そして気づく。白河三兎こそが本当の魔法使いであると。
全くノーマークだったが、先日の新聞広告とブクログのお仲間のレビューにより手に取った。
また、いい作家さんを見つけてしまった。-
neon_booksさん
こちらこそコメントありがとうございます!
まさにミラクルでしたね。
この『私を知らないで』
じわじわ売れていき...neon_booksさん
こちらこそコメントありがとうございます!
まさにミラクルでしたね。
この『私を知らないで』
じわじわ売れていきそうな予感がします。
本棚、時々おじゃましますね。2013/02/20 -
koshoujiさん
こんにちは。
まさか憧れのkoshoujiさんからコメントを頂けるとは!
いつもレビューを拝読しております。
『私...koshoujiさん
こんにちは。
まさか憧れのkoshoujiさんからコメントを頂けるとは!
いつもレビューを拝読しております。
『私を知らないで』
あまりリアリティを求めるとアレなので、おとぎ話だと思って期待値を上げ過ぎずにお読みになるのが吉です。
koshoujiさんは、どのような感想をお持ちになるのでしょうか。
これからもよろしくお願いします。2013/02/20 -
“憧れ”とは恐れ多いお言葉で(笑)。
白河三兎さん、市の図書館で蔵書検索したら、他の作品はあるのにこの作品だけないです、無念。
>デビュ...“憧れ”とは恐れ多いお言葉で(笑)。
白河三兎さん、市の図書館で蔵書検索したら、他の作品はあるのにこの作品だけないです、無念。
>デビュ−3戦目ながらダートを一気に駆け抜け、これから重賞レースを総なめにしていきそうな予感。
そんな馬ならこの目で、しかと走りを見届けたいのに。
ダート馬なのか、クラシックに乗っていきそうなのかだけでも見極めたいですな。(笑)
2013/02/23
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-
青春物語、家族物語、ミステリー、すべてのバランスがステキに絡まった面白さだった。
『私を知らないで』
タイトルで、おやっ?ってなる。
「探さないで」「受け止めないで」じゃなくて「知らないで」。
そのタイトルに込めた深さ、強さが紐解かれていく物語だった。
中2の3人 黒田、高野、キヨコが背負った過去、ぶつかってしまった現実、背負うと決めた未来。
学園物にありがちないじめ物かと思ったら、
とんでもない方向性に物語が広がっていく。
予想外の面白さだった。
ラストがよかった。
家族のあり方を刻む。ほろ苦いけどステキなラストが。
白河三兎さん、気になる作家さんが増えました。 -
一気読みすることをぜひともお勧めしたい。
これはやはり中学生のよく分からない青春のエネルギーで読み切りたいなー。
ませたところとガキんちょなところが混在していて、三者三様、自分のポリシーに従ってタフに生きる黒田慎平、高野、そしてキヨコ。
三角関係の話かと思いきや、こんな展開になるとは。
序章を途中と終章前に読み直してしまったよ。
転校生の黒田と高野は、クラスの底辺に追いやられた美少女キヨコを助けようと彼女の秘密を探ります。
キヨコの素顔と凛とした佇まいと突き放す態度が何とも理想的な影のある美少女キャラで、すごくかわいい。
クールを装う黒田くんも、繊細で素直な高野くんも、会話が気が利いてておもしろい。
キヨコの「私を知らないで」の理由は薄々感づくけど、そこのミステリーよりも、青春のひたむきさと未熟さとか、無謀さとか思慮深さとか、その辺の切実さがとても痛くて鮮明に伝わります。
現実離れしていても、どこかリアルで。
「普通に生きたい」か。
気付くのが遅すぎる。 -
不思議な読後感の作品だ。
感動、爽やか、胸を打たれる、とかそういうものではない。
文庫本の帯に書かれている表現を借りれば、まさに「心に刺さる」物語なのだ。
転校生の僕が出会った不思議な少女「キヨコ」。
彼女はその美しさと裏腹に、傍から見れば貧しく過酷な生活を送り、クラスの全員から無視といういじめを受けていた。
その奥にある不思議な魅力に「僕」はひかれ、彼女の本当の姿をしりたくなっていく。
エンディングは多少強引な力技で終わらせた感もあるが、この終わり方も「アリ」だろう。
メフィスト賞でデビューしたというこの作者白河三兎。
不思議な魅力が持ち味らしいのでほかの作品も読んでみたくなった。 -
最初は主人公の大人ぶった思考と行動が好きになれなくて読むのをやめようかと思ったが、自分もキヨコに惹かれ読み進めた。後半からは思いもよらない展開となり一気読み。面白かった。
中学生の大人ぶった恋愛…じゃなかった。シンペーにもキヨコにも、その歳で抱えるには重すぎる闇があって、その理由が現実にありそうな事なのは読んでいて辛い。どうしようもなくなった時、諦めるのではなく、現状を理解した上で打開していく姿はとても良かった。
この話では、シンペーの両親の存在は素晴らしかった。
何度でも読み返したい一冊です。
読後にもう一度序章を読んだが、二度目はせつなすぎて
改めてこの物語の構成はスゴイと思った。 -
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中2の夏の終わり、新しい町へ転校してきた慎平。彼は「キヨコ」と呼ばれて無視されている同級生の美少女を気にかける。慎平はクラスになじむため、微妙な空気を読んで暮らしていた。そこへ現れる新しい転校生・高野。破天荒だが誠実な彼に巻き込まれ、慎平はキヨコの抱える秘密へと向き合っていく。
「確かに気味の悪い町だ。閉ざされた世界のような閉塞感や、自分たちの町は特別なんだという優越感から余所者に対して排他的な一面があるにも拘らず、誰も自分の町を愛していない。土地に対する愛着は皆無だ。」
「でもみんな臨機応変に風を受ける。生徒は風の受け流し方を心得ているのだ。大人たちは言う。教室の中のことしか知らないのが子供の弱点だ、と。でも僕たちは教室の中のことだけなら大人よりもずっと深く知っている。」
はみ出た存在に排他的な町、空気を読めない者は脱落する学校、その世界の均衡を見つめる少年たちの青い瞳。誰もが向日葵のように太陽を向いて真っ直ぐ背を伸ばしたいだけなのに。そこへ打ちつける現実の嵐。子供だけではどうしようもならないこともある。でも、子供だからこそ諦めが悪いのだ。自分が無敵だと思っていた時代の友情と切なさが詰まっている青春小説。
誰も救わないと徹底している慎平、救える人は救いたいと戦う高野、ひたすら丁寧に、普通に生きようと願うキヨコ。それぞれの背景が見えていくたびに、後戻りのできない世界へと足を踏み入れていく感触がすごい。「私を知らないで」に込められた願い、誓い、拒絶、切望。凛と背筋を伸ばす向日葵の花に目を奪われた後、その根の強さを知った時、感じる情景は一変する。
慎平と高野の友情が好きだなあ。正しくないと知っていても、高野のためにかけたある言葉には心を打たれた。正しくなくても必要な言葉がある。ぼくたちは正しさばかり追い求めてしまうけど、間違いによって傷ついた心は奇麗事では救えないのだから。
最後に好きな文章を引用して終わります。豊かに生きたい。貧しくてつらくても、誰かに優しくありたい。そう思える作品だった。
p.207
「命は軽いんだ。自分の命の重さを決めるのは他人だ。僕は高野の命を重くする一人だ。だから言える。高野がしたことは僕にとって正しいことだった」
p.234
「人が大事にしてるものを『なんで大事にするの?』って訊くのは野暮じゃん」
『詮索するくらいなら、それを大事にしたいっていうその人の気持ちを慎平が大事にするんだ』
p.240
「僕は恥ずかしいよ。自分が、母さんが、この家が恥ずかしい。わかってる? 僕たちは富んでいるふりをしているだけで、新藤家よりも貧しいんだよ」
p.326
「自分が恵まれていると感じる人は他人に優しくしてほしい。自分が恵まれていないと感じる人は、それでも他人に優しくしてほしい。そうすれば世界は少しずつ良くなっていくと思います」 -
すごくよかった。
繊細な心理描写が素晴らしい。
学校という枠のなかで、いかにうまく生きていけるかのバランスがすごく懐かしくて痛い。
学校の中で成長していく物語かな~と思いきや、
まるでミステリーのような仕掛けが隠されていたり。
ベタなのかもと思いながらも、一行で一気に涙が落ちそうになったり。
最後のがむしゃらさもひたすら心打たれる。
私の好きなミステリアスで強い美女が出てくるのもあるけど、仕掛け盛りだくさんでとても面白い。
仕掛けがなくても純粋な表現だけでも面白いのによく作りこまれてる!
軽い気持ちで読んだけど、とってもお得な気分な一冊でした。私的にはこれが本屋大賞でもよかったかも! -
シンペーとキヨコと高野の3人の組み合わせで様々なテーマを見せてくれます。
イジメ、友情、恋愛、コミュニケーション、心の傷。
聞きたい、知りたい、でも聞けない。聞いて欲しい、聞いて欲しくない、でも知って欲しい。。
優しさがあるからこそ、傷を知っているからこそ、出来ないもどかしさを感じることもある。
大なり小なり闇というか暗い部分を持っている人は多いと思う。
その断片を知ってしまったら、全体を知りたくなってしまう。そして自分のそれも心の奥では知ってほしいと願っている。そういう自分がいるということを私は知っています。だからなのか、最後がハッピーエンド(だと思う)なのに、切なさでいっぱいの読後感でした。
大きなインパクトはないですが、この著者のセンスはとても好き。「プールの底に眠る」も良かったし。次作以降も楽しみです。 -
読んでいる最中胸がずっとドキドキしていた。
ページを捲る手が、止まらない。
丁寧で綺麗なとても素敵な文体。しかし、さらりと読みやすい。
心理描写がとても上手いと感じた。ぐっと、引き込まれる…!
読みながら、登場人物達に、羨望し、同情し、共感し…。
感情をフルに使って読み進めたなあと読了後に感動する。
久しぶりだ、この感じ。胸が何かで一杯になる。
ああ、これだから読書はやめられない…
せっかく生まれたのだから、一秒も無駄にすることなく、生きたい。
精一杯人生を楽しみたい。そんな彼女の生き方が、凄く素敵だと思った。 -
最近読んだものの中で一番面白かった。事前知識ゼロで読んだのがよかった。甘酸っぱい青春系か?と思って読んでたら伏線回収してきてうわぁぁ…となった。
-
転校生の僕とクラスから無視されているキヨコとのお話
大切な子ども時代に 子どもとしていられなかった
二人のお話でした
はやく 大人になりたいと その気持ちは
わかりすぎるぐらいわかる
でも 今思うと 子どもが子どもでいられるってのは
幸せなことなんだなと・・・
二人のそっけないんだけど
繋がってる 信頼してる感が
うらやましかった
自分にもこんな友がいたらと・・・
すべてをなげうっても助けたいと思える
思い会えるそんな関係に
ただただ 切なかった
著者プロフィール
白河三兎の作品

さあ、寝ようっと!と思って二階の寝室に上がると、真夜中なのに室温36℃!
という残暑に、絶賛夏バテ中の私です。
それでも...
さあ、寝ようっと!と思って二階の寝室に上がると、真夜中なのに室温36℃!
という残暑に、絶賛夏バテ中の私です。
それでも本はちょこちょこ読んでいたのですが、それでなくても動きが緩慢なアタマが
すっかり考えることを放棄してしまって、レビューが書けない日々が続いてしまいました。
kwosaさんはじめ、心やさしいブクログ仲間さんたちが心配してくださったことがとてもうれしくて。
ありがとうございます。
『私を知らないで』、kwosaさんのレビューを読ませていただいて以来、ずっと読みたかったのです。
やっと読めたと思ったら、もう、好きになりすぎて思うようにレビューが書けなくて。
kwosaさんも書かれていたように、
キヨコの身辺に纏わる謎はかなり早い段階で推察できてしまうのだけれど
キヨコ、シンペー、高野の3人のキャラクター造形や、印象的な小道具の使い方、
ちいさなエピソードの積み重ね方のすばらしいこと!
なにより私は、この物語のシンペーとか、米澤穂信さんの古典部シリーズの奉太郎みたいに
理屈っぽくて傍観者然としてる男の子がぽきんと折れる瞬間が
たまらなく好きなのです。
ミーレの掃除機を前に、シンペーとキヨコが交わす会話には、せつなくて涙がこぼれました。
白河三兎さん、すばらしい作家さんですね!
紹介していただいて、ほんとうにありがとうございました(*'-')フフ♪
本棚へコメントをありがとうございます。
お元気そうでなによりです。
>理屈っぽくて傍観者然としてる男の子がぽきんと折れる瞬...
本棚へコメントをありがとうございます。
お元気そうでなによりです。
>理屈っぽくて傍観者然としてる男の子がぽきんと折れる瞬間が
たまらなく好きなのです。
おおっ! ちょっぴりサディスティックな告白をありがとうございます(笑)
でも、その気持ちわかります。
えてして文科系男子(女子にも?)には、理詰めでものを考え、それでどうにか自分のアイデンティティを守って立っているという時期があるものです。
でも、ぽきんと折れてからが勝負なんですよね。
そこから骨が太くなる。人間の本領が出る。
シリーズ物の小説ではその後の成長が楽しみなところでもあります。
>ミーレの掃除機を前に、シンペーとキヨコが交わす会話には、せつなくて涙がこぼれました。
せつなかったですね。
キヨコの棕櫚の箒が魔法使いの道具だったのなら、あのミーレの掃除機は、けっして変えることのできない現実に一瞬だけ夢を見せるタイムマシンだったのかもしれませんね。
そうそう!そうなのです!
ぽきん。。。のあと、自分に足りなかったものを、素直に認められるか。
認めたうえで、カッコ悪くて...
そうそう!そうなのです!
ぽきん。。。のあと、自分に足りなかったものを、素直に認められるか。
認めたうえで、カッコ悪くてもはいずり回っても、頑張り抜けるか。
頭でっかちだった少年が変わっていく瞬間を、つぶさに見られるこの幸せ♪
魔法使いの箒に、タイムマシンの掃除機。
この小道具たちが纏うせつなさを共有してくださるkwosaさんがいらっしゃることで
さらに感動が深まります。