なつのひかり (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.12
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本棚登録 : 3282
レビュー : 293
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087470482

作品紹介・あらすじ

「私」は来週21歳。ウェイトレスとバーの歌手という、2つのアルバイトをしている。「年齢こそ三つちがうが双生児のような」兄がいて、兄には、美しい妻と幼い娘、そして50代の愛人がいる…。ある朝、逃げたやどかりを捜して隣の男の子がやって来たときから、奇妙な夏の日々が始まった-。私と兄をめぐって、現実と幻想が交錯、不思議な物語が紡がれて行く。シュールな切なさと、失われた幸福感に満ちた秀作。

感想・レビュー・書評

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  • 風変りな物語なのに、なぜか心地よい。
    童話を読む子どものように無防備になって、迷路に迷い込んだように楽しめました。

    探し物とは、遠い記憶とか、もっと大切なもの。目に見えないもの。
    読み終えて、21歳になった主人公とともに、すがすがしい気持ちになれました。

  • 江國香織の小説は、四季の中で言うと、夏にいちばん読みたくなる。夏のじっとりまとわりつく空気と、江國香織が紡ぎ出す文体と物語が、すごく似ているし、読んでいるとなんだか夏の暑さにやられたように、ぼんやりとしてくるからだ。

    「なつのひかり」は、主人公である栞と、栞の兄、兄の愛人と兄の妻が二人(つまり重婚)が登場する。そして物語の奥に奥に連れていってくれる、指名手配のヤドカリだ。

    物語からわたしたちが受け取るものはあまりない。ただ江國香織が連れて行ってくれる、強い引力の物語の世界を、わたしたちはふわふわと漂うだけだ。

  • わくわくします。不思議な世界に引き込まれます。
    江國さんの描くエキセントリックな世界。絶対にありえない。
    けど、目が離せない。
    解説で、これは青春を描いているということが書かれていた。
    あっという間の季節の不思議な物語。
    何かを得ることは何かを失うこと。まさに青春そのもの。

  • 昨年の夏に読もうとして間に合わず、
    一年越しでようやく読んだ。

    家出するやどかり、やどかりと義兄弟の男の子、
    謎めいた双子、家出する兄嫁、
    自分の知らない兄の顔、もうひとりの兄嫁、
    兄の愛人、ホテルの部屋で寝て起きたらフランス、
    辿り着いた家を抜け出したら元の世界 etc.
    あれ? デジャ・ヴ?
    これ主人公を男にしたら村上春樹の世界じゃない?
    でも、村上春樹の世界に近いけれど、
    でもやっぱり違う。
    そんな不思議な感覚を味わった。

    なつのひかりに包まれるとこんなことも起きるのかも。

  • 大人のファンタジ-とでも言ってみる??そんな感じです。江國さんの作品を色に例えようとすると、透けた色しか想像できないのはうちだけ??

    新しい作品に比べて不安定な感じがしました。漠然と!

    解説は必ず読むべき!キーがあります。今回はルールの話とパルレモアダムール。

    何でお兄ちゃん、名前を逆さまにしちゃったの??そんな陳腐さまで、この世界の一部だ。


    「それはまだ息をしていたので、お葬いというよりも生き埋めだった。かなしくはなかったけれど、少し苦しかった。」
    何をお葬いしたかは読んで知ってね。


    みんなが人をひどく愛している。

  • 売却

  • 読了するのに時間がかかった。
    かつ、なーんか不気味。
    展開にうまくついていけず。

  • 海辺のカフカみたいな不思議な話。
    それぞれ探し物を探しに行く。正直一回読んだだけじゃよくわかんないかな。

  • すごいシュール。どちらかというとファンタジー?いままで読んだ江國香織の小説のなかで1番奇妙な感じ。ちょっと村上春樹っぽいシュールさかな。

  • へえ、江國香織ってこんな話も書くんだ、と思わされた小説。
    冒険譚であり、半ファンタジーであり、という感じ。

    ある日、栞(しおり)のもとに隣に住む男の子が飼っていたヤドカリを探しにやってくる。
    その時から少しずつ、栞が自分なりに築いてきた、温かな、でも、どこにも行きようがない世界が動き始める。
    大好きな兄、そして、その美しい妻の失踪。
    兄の妻と名乗る別の女。
    そして、ずっと年上の、兄の愛人。
    誰もが何かを探している。
    そして栞も――というお話。

    しっかりと現実(リアル)に軸足をおきつつも、なんの不自然さもなく、軽やかに現れる別の世界。
    「ねじまき鳥クロニクル」の江國版、と言えなくもない。
    いわゆる江國っぽい感じを求めて手に取ると、違和感を感じるだろうな。

    ただ、この人がよく使う「甘やかな」という言葉にちょっと抵抗がある身としては(この小説でも使われているけど)、いい意味で裏切られた感じがして高評価です。
    こんな感じの話、もっと読んでみたい。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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