麦の道 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087470567

作品紹介・あらすじ

津田尚介は、県立高校の受験に失敗し、創立2年目の"落ちこぼれ救済"の市立高校に滑り込む。最初は「まあいいやどうだって…」とすべてに醒めていた尚介だったが、親友ができ、打込めるスポーツをみつけ、気になる女学生が現れ、しかも喧嘩相手には事欠かず-と、その高校生活は徐々に熱くなって行く。喧嘩と柔道に明け暮れた高校時代を、パワフル&爽やかに描く、自伝的熱血青春小説。

感想・レビュー・書評

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  •  読書力養成読書9冊目。

     椎名誠さんの文章を読むのは初めてではありませんが、著書を読んだのはこれが初めてです。

     読み終えたときにまず浮かんできた言葉は、青春グラフィティ。主人公の津田尚介が、市立羽賀高校に入学し、「まあいいやどうだって」と思いながらも教師たちと出会い、友達と出会い、そして柔道と出会って柔道部に入り、通学電車で見かける「さの・あつこ」に胸を躍らせ、他校の生徒らと殴り合いの喧嘩をする、これを青春と呼ばずしてなんと呼びましょう。

     本書は椎名さんの自伝的小説で、〈記憶の中の実際の体験をそのまま書い〉たそうです。ですから登場人物も、名前は違えど実在の人物。この後彼らはどうなったか、「あとがき」で知ることができて感無量でした。

     彼らがどんなに大けがをしても、親は決して出てこないのが時代を感じさせます。こんなん今だったら、すぐさま親が学校やら相手の生徒の家やらに怒鳴り込んでいくところでしょうけど、男の子を持つ親は当時、「子供ならケガしてなんぼ」くらいに思っていたところがあったのではないでしょうか。

     椎名誠さんはとにかくたくさんの著書があり、大量の文章を書いていらっしゃるので、情景描写や心理描写はさすがだと思いました。常にコミカルな明るさが漂っていて、楽しく読めました。

  • 齋藤孝「読書力」でお薦めされてましたので。(高校生向けのラインナップに入ってました)
    コレ、椎名誠の自伝的小説だそうです。
    男子高校生の喧嘩やらハードな部活やら、今なら大問題になるであろう教師達の指導(?)風景やらが淡々とした文章で描かれていて、大変そうやけど爽やかです。
    作者の年齢に近いオトナには「あるある」「こんなヤツおったわ」ですが
    齋藤孝はなんでこれを高校生へのお薦めに入れたんでしょうね?別次元の話にみえるでしょうに。
    椎名誠はこの自伝を書いて大丈夫やったんかな。大問題なクソ教師達に叩かれへんかったんかなと思いまして。まぁ、私らの時代にもいっぱいおったけどね。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688996

  • 椎名誠の私小説っぽい。
    椎名さん、エッセイとか旅レポは面白いけど、コレはいまいち。

  • 飾りのないリアルな青春物語で、ドラマチックな展開が無い分、共感できました。

  • 麦の道 (集英社文庫)

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    津田尚介は、県立高校の受験に失敗し、創立2年目の“落ちこぼれ救済”の市立高校に滑り込む。最初は「まあいいやどうだって…」とすべてに醒めていた尚介だったが、親友ができ、打込めるスポーツをみつけ、気になる女学生が現れ、しかも喧嘩相手には事欠かず―と、その高校生活は徐々に熱くなって行く。喧嘩と柔道に明け暮れた高校時代を、パワフル&爽やかに描く、自伝的熱血青春小説。

    椎名誠の青春小説はどれもこれも自伝的な本ばかりなので、登場人物に愛があります。本人が郷愁を感じながら書いているのが分かるので、自分も失われた時間を見つめながら読んでしまうので、懐かしい気持ちとほんのりとした寂しさで胸がキュッとします。しかし僕の30歳くらい上の先輩方は結構バイオレンスな青春を送っていたんですね。殴り合いで歯が折れたり、待ち伏せしてリンチしたりとか今考えると事件ですよね。先生も平気でグーパンするし。

  • 最近、殺人事件が起こるような小説ばっかり読んでたので、たまにはのんびりしてそうな青春小説でも読もうと思い、この本を手に取りました。
    が、あまりにものんびりしすぎてるというか、コレといった山場やオチがあるわけではなく、なんだか物足りない。気になる女子生徒と恋が発展する…と思いきや何もなく、ライバルのあいつと大騒動になるような争いが起こる…事もなく。
    つまらないわけではないけど、少々退屈でした。やはり事件が起こる小説でも読もうかなぁ。

  • 母から借りて読みました。
    一昔前の高校生の青春時代を描いた、著者椎名さんの自伝的私小説。
    よってフィクション作品に較べれば、内容は淡々としていて劇的展開にも欠けるが、殴り合いの喧嘩ばかりしていて奔放な一方、純情である主人公の柔道少年の心情を客観的な語り口で清々しく描写しているので、昭和生まれの自分にとっては感情移入しやすく、次の展開がどうなるのかドキドキしながら読めました。
    何気ない日常の中の友情、上級生や他校の不良との対立、束の間の恋等、色々と過去を思い出させてくれました。

    椎名さんて意外にも、不良少年だったんですね。

  • 「読書力」の35ページにある本…
    法政大学第一中・高等学校で岩井歩教諭が実践した、定期テストに読書問題を取り入れた実践。

    11冊目…高2の定期テストに

    たぶん、読みやすかったような…。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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