- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087470819
作品紹介・あらすじ
町沢静夫は岸田秀と初対面だった。幼少からのうつ病体験を反すうするかのように淡々と語る岸田に、自分の病理を防衛しようという姿は感じられず、町沢は尊敬の念を抱いた。精神科医町沢がうつ病に陥った岸田を分析した結果は、強迫神経症的性格と、ダブル・バインド(二重拘束)の母子関係…。そこには、増えつつある強迫神経症と家族崩壊に悩む現代人のこころを探る鍵がひそむ。
感想・レビュー・書評
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ふと気が向いて再読。二十年以上前の本なので、精神医学的知見としては古い所もあるだろうが、それでもやはり面白い。「自分のこころ」を「探る」、それはとても困難なことで、困った状況に立ち至ったときには、専門家の手を借りた方が良いのだろう。だが、岸田秀レベルの知性の持ち主ならば、ここまで自己を分析できるものなのだと思うと、なんとなく励まされる。
若い頃に「ものぐさ精神分析」を読んで、ものの考え方にかなり影響を受けたと思う。「ものぐさ~」は今でもたまにパラッとめくってみたりする愛読書だ。いまだにロングセラーだそうだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんと、
精神科医町沢静夫と、
心理学者岸田秀との、
対談集。
岸田先生自身の、
神経症的経験について、
町沢さんが、
分析を行っています。
人間は神経症的と、
誰かが言っていたけれど、
たしかに、
人間はいつもこころに、
なにかしら病を、
もっている。
これは人間が、
生物として、
欠損を持っているからなのかもしれない。
神経症万歳!! -
かつての岸田秀は思想界の寵児といった感があったが、ここで語られるのはうつ病と神経症に悩む一人の初老の男の赤裸々な内面である。それもとても静かに落ち着きを持って。
しかしフロイトの汎性欲論や自身の唯幻論に話が及ぶと見事なきらめきを見せる。--「私が私である」というのは、私と私の周囲の人々との共同幻想--
町沢による精神疾患、性格の解説はわかりやすくて役に立つ。