めぐりあいし人びと (集英社文庫)

  • 集英社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471021

感想・レビュー・書評

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  • 118ページ
    「どうも日本国民というのは、そういうイデオロギー的な面における矛盾に耐えられるというか、きちんと始末をつけなくても平気なんですね。」
    本当にそう!!!

  • 20世紀を俯瞰し、21世紀の展望へ。歩みと思索が縦横無尽に地球を巡り、歴史の重層性を反芻しながら、ミクロとマクロの視点が未来を考察する。ダイナミックな国際論と歴史と文学。いつ読んでも未だ新しい。

  • 宮崎駿の本を読んでいたら、何度もこの堀田さんのことに言及していたので、どんなことが書いてあるんだろうと思い彼のすすめていた「めぐりあいし人々」を読んでみることにした。

    私に分かったことは、
    やはりとても潔くて自分の「ものさし」をきちんと、
    この上なくきちんと持った人であるということ。
    そして、本当に教養のある人というのは、「感じる力」をちゃんと持っているということだ。

    私はバカだったな。
    知識が増えると、感じる力が衰えるような気がしていた。
    それは、知識だからだ。
    「知っている」ことは何でもない。
    それを自分の毎日に、考え方に、どうやって引っ張りだして来れて、肥やしにできるかに全てはかかっていたのだ。
    そこを、全然肌感覚で理解していなかった。
    頭ではよく聞く話だし、分かってはいたけど。
    私は、そういう意味では、「知識」ばかり蓄えて来た気がする。
    本の読み方や、映画の見方も。
    自分にとって興味のある面白いことはアンテナに引っかかりやすいから、残っているものだけど、
    そうでないことは、プイと目にも留まっていなかったと思う。

    でも、ひとつひとつの事実や知識に自分として向き合えば、
    そこから得られるものは多いのだ。
    どんどん広がって行くものなのだ。

    そのことをとても教えられた気がする。
    内容は、私は歴史をきちんと勉強してこなかったので、
    少し難しかった。
    歴史も、大切なんだな。

  •  薄い本なのでで立ち読みをしていたけれど、止まらなくなったので買って家で続きを読んだ。けっきょく一日で読んでしまった。内容的には著者の人生を振り返る回想録。でも戦前戦中戦後と激動の時代を生きてきた方なので、さらっと書いているひとつひとつの出来事が濃い。
     
     以下はレビューではなく、この本の中の出来事から個人的に感じたことをつらつらと書く。

     著者は上海でモスクワ放送を聴き、8月10日に日本がポツダム宣言を受諾する意向であることを知る。この時点で国営放送が日本の降伏を放送していたのなら、やっぱり北方領土は降伏後の不法占拠じゃないか。スターリンのやったことは会津に対して薩長のやったことと一緒だ。卑怯者!

     戦後も中国に残っていた日本人に対して、中国人は意外にも優しかった。中国人が憎かったのは軍人で、それ以外の一般人は憎しみの対象ではなかったこと。中央政府への鬱憤を排日運動ではらす今の中国の暴徒とは比較にならないほど常識人だ。
     日中国交回復の立役者で、人民の父と慕われる周恩来首相が「日本の国民も戦争の被害者だから」と戦後賠償を放棄したことも、中国の懐の深さに感じ入る出来事(この本には書いてない)だが、あくまで報道から判断することだけれど、いつから中国人はこんな偏狭な人々が多くなってしまったのかと思う。

     フルシチョフに会ったときに、ソ連には”修理屋”の看板が多いですねと、失言してフルシチョフを怒らせる。ノーベル賞作家のソルジェニーツィンに会ったときは、彼の質問攻めに傲慢さを感じ、腹を立てる。インドのネルー首相と会ったときは、なんだか怖い親父だったという印象しか残ってない。
     これだけ読むと、せっかくのチャンスをすべて逃した残念な人にしか思えない。
     反面教師として一期一会の精神で明日から頑張ろうと思う。

     執筆のため、ゴヤの絵画や戦争版画集の実物を観るために四苦八苦している様子が描かれている。でも自分は去年上野で開催されたゴヤ展で、いとも容易くそれらを観れてしまった。なんだか申し訳ないのと同時に幸せな時代に生きていることを感謝したい。
     

  • 面白すぎる。
    堀田善衛は巨大だなあ。

  • 最初に読んだ堀田さんの本。何回読み直しても面白いし、読み返すたびに自分がものを知らない人間か思い知る。

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著者プロフィール

1918年富山県生まれ。小説家。1944年国際文化振興会から派遣されて上海に渡るが、敗戦後は中国国民党宣伝部に徴用されて上海に留まる。中国での経験をもとに、小説を書き始め、47年に帰国。52年「広場の孤独」「漢奸」で芥川賞を受賞。海外との交流にも力を入れ、アジア・アフリカ作家会議などに出席。他の主な作品に、「歴史」「時間」「インドで考えたこと」「方丈記私記」「ゴヤ」など。1998年没。

「2018年 『中野重治・堀田善衞 往復書簡1953-1979』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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