女たちのジハード (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1093
レビュー : 173
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471489

作品紹介・あらすじ

中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。直木賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 6月-14。4.0点。
    直木賞。損保会社の一般職女性4人の奮闘を描く。
    結婚やら、夢やら。面白い。吸い込まれるように読んだ。
    さすがの筆力。時代は少し前だからOL像も少し古いが、心理描写が秀逸。

  •  『プライベートライアン』が現役軍人に刺さるがごとく、『桐島、』が現役高校生に刺さるがごとく、結婚適齢期に差し掛かかりつつある私には、この『女たちのジハード』がものの見事に刺さってしまった。

     お話の主人公は、ある損保会社に勤める5人のOLたち。女の幸せは結婚か、はたまた仕事か。この絶対命題の間を揺れる20~33歳の女性たちの生き様を描いている。
     男社会の色が未だ根強い日本。会社は「華やぎ」要員の若い女性社員だけを求め、年をとったら使い捨て。さらに不況で男性社員さえリストラに遭うような状況で、女性が生き残る道は会社にはない。だから「売り手市場」の時に結婚して寿退職か、自活の道を自ら切り開くしかない。
     そうした背景のもと、それぞれがそれぞれの信念に従い、自己実現のためのプランを立てては見るものの、なかなか思うようにいかない。社会にはこういった、女にだけ向ける厳しい顔というものがある。
     主人公たちは厳しい現実に泣いて、悩んで、苛立って、もがいて、ズタボロになる。がむしゃらになって、つまずいて、ぺしゃんこになって、またべそをかく。そうしてその先にようやく自分の生きる道を見つけ出し、現状を乗り越えていく様は勇ましく、読むものの「生」を力強く鼓舞してくれる。
     彼女たちから感じた強さとはいったい何なのだろう?よく、「人生は選択の連続だ」と言われる。選択の裏には必ず捨てるものがある。彼女たちが新しい扉を開くことができたのも、大きな「選択」ができたからこそ。つまり捨てることができた。みな、決断の時には各々に巡ってきた出会いによって、これまで自分がもっていた凝り固まった考えや信念を捨てて、新しい道に歩み出して行った。そういった意味の強さが、ひいては生きることの強さでもあるのだろう。
     そして人生は思うようにいかないものでもあり、思いがけないものでもあるようだ。その「思いがけない」ということを、恐れず楽しむのも彼女たちの強さなのだ。
     様々な生き方を通して女の生の辛さと、生本来の喜びや楽しさを教えてくれるというところが実に魅力的な作品だった。

  • 女性たちが元気である。
    その元気さは、この小説を読んで理解した。

    康子という女性が、鮮やかな生き方をしている。
    バラを作っている「男の品位」のなさ
    女性の位置とマンション購入をめぐる闘い
    ボランティア活動のあり方。ファーストクラスの客。
    個人のネットワークの大切さ。

    女性が生きていく上での方向性。
    英語を勉強して。

  • 何の気なしに図書館で手に取った一冊。
    読み始めたら、止められない。
    5人のOLの生き方。
    それぞれ迷いながら自分の生きる道を見つけて行って偉いなぁ~
    遠い昔のOL時代、何の疑問も持たずに過ごしちゃった(@_@;)
    そして今があります・・・

  • 読んでいて気持ちのよい小説、凄く楽しめた
    緩急のテンポがよくて、盛り上がってくると一気に読ませる
    同じ職場に勤めるOLたちの話だけど、それぞれが面白い
    セックスもでてくるけど、さらっと何とも気持ちよく描いてたのが印象的
    今となっては20年前の結構古い小説だけど、古さは全く感じなかった
    設定は古くなっても人間の考え方や感情ってのはかなり普遍的なのかもしれない、というか、そういう普遍的なものを描いた作品は時代を超えて楽しめるってことかな

    ただ、十分楽しいんだが、ちょっと軽いかな
    これはこれ、不満は無いけど

  • いろんな女性たちのいろんな心情がすごくよく伝わってくる作品。個人的には苦手なタイプの女性ですらあっぱれな描かれ方で 、一気読みしてしまった。

  • 半年以上前に買ってそのまま放置していた。一度に数冊買った中の一冊で、なぜだか読んでいなかった。今日、読み終えて、正直よかった。
    5人の中堅保険会社に勤務するOLの話。女性が会社勤めしながら自ら自分の生きる道を見つけていく姿は、読むものに希望というか勇気を与えてくれ、グイグイと読み進めることができた。自分で道を開こうとしないと未来は開かれない。人間ひとりで生きているわけでもないので周りの人たちの影響を受けながら、それぞれの道が開けていく様子は気持ちよく映った。読後、爽快感が残った。

  • いわゆるバブル期の頃あたりの男女差別的な価値観が描かれている。という事だけど、それほど登場人物の言動や描写に私は違和感を感じない。何故かと言うのを考えてみると、やはり私の職場にこのバルブ期的男女差別というものがかなり強く残っているからではという所にたどり着く。
    ○○は女の子にやってもらおう。女性の皆さんは手が空いたら○○の片付けをしていて。

    「OLとは、あくまでオフィスにいる女性なのだ」という所にすべては集約される。

  • 強かに生きていこう

  • この本が出て13年、彼女たちを取り巻く状況は変わったのだろうか。少しは変わったように思うが、まったく同じところもある(特に国外の日系企業の経営者の多くは、そのままの考えが当たり前だと思っている)。嘘がなく、最後はとにかくさわやか。いい本です。

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著者プロフィール

1955年、東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『美神解体』『静かな黄昏の国』『純愛小説』『長女たち』『冬の光』『竜と流木』など多数。

「2018年 『インドクリスタル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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