青のフェルマータ Fermata in Blue (集英社文庫)
- 集英社 (2000年1月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087471496
感想・レビュー・書評
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オーストラリア,青く澄んだ海。失声症リオはイルカとの触合いで元気を取戻す。言葉や体でなくチェロで結ばれるリオとJB。JBとは反対に若く暴力的なゲイリー。声なきリオの心の叫びが痛ましい。
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イルカ、出てきます。しかもなかなかに重要な役割です。
どんなに落ち着いた立派な人間でも、心の中に必ず弱い部分を持っていて、そうした個の人間同士が支え合い、思いやることで、それを補完しあうと。意外と身近なところにもたくさんあることだと思います。 -
20年以上前に読んだ本。
友人から誘われて、夏休みにイルカと泳ぎに行くことになり、その前にこの本を渡された。
(イルカと泳ぐことも、本を読むことも、あまり気乗りしなかったが、どちらも思ったより良かった。)
傷ついた少女が、大自然のなかでイルカと泳いで癒される物語。繊細さと野生的なものの対比が印象的だった。
実際にイルカと遊んでみたら、イルカはかわいくて、忘れられない経験になった。(大自然ではなく小さなプールにいるイルカでかわいそうだったが。) -
登場人物が外国人だとやはり人物把握に時間を要します。ゲイリーの印象が物語の中で何度も更新されました。
読んでいる最中、常に海、そして青を感じながら読み進めていましたが作中で一番印象に残ったのは
”淡いピンク色の小さな粒が無数にわき上がり、波の動きに合わせてゆうらりゆうらり揺れながら、海面へ向かって浮かび上がっていく。~中略~数億の卵たちがたゆたい、揺れ、音もなく、果てしなく浮かび上がっていく。風に散って舞い上がる夜桜を、スローモーションで見ているようだ。”
このシーンです。一年に一度の特別な夜の描写ですね。グレートバリアリーフに起こるこの奇跡のような光景をぜひ目にしたいと思いました。
読了後、非常に心地良くなりチェロの音を聴きながら南の島で海にプカプカ浮かびたいと感じる小説でした。 -
極上の時間だった。
この本を読んでいると、たくさんの透明なもので心が満たされる。
静かな海やどこまでも続く水平線、澄んだ空、深く優しいチェロの音色、イルカたちの眼差し。
心の奥に傷をかかえながらも、痛くなるほど精一杯まっすぐに生きている人たち。
海の向こうの小さな島に、こんな世界が広がっていると思うと、なんだか頑張れる気がする。 -
海とイルカと音楽。
声を失った少女の愛と再生の物語。
海に抱かれ、イルカと戯れ、チェロを奏でる。
リオのそんな海外生活に少しの憧れを感じた。
最終的に彼女が選んだ相手に正直驚いたけど、
愛の形はそれぞれ。 -
2回目を読み終わりました。
1回目に読んだ時よりは主人公の気持ちの揺れ具合に共感できるものがあった。
同じ村山由佳さんの本なら野生の風の方が好きだけど、こちらもわりと好き。
エピローグ的なものがもう少し見たかった。 -
イルカ好きなら是非。海とイルカとチェロ、読んでいても映像が浮かぶ本でした。
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両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとのふれあいを求めて、オーストラリアの島にやってきた。研究所のイルカの世話を手伝ってクラス彼女の島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いたとき、海のかなたから野生のイルカが現れて──。
人は、誰もが自分の中に「痛み」を抱えているが、イルカたちとの触れ合いを通して、自分を見つめ直しながら一歩を踏み出していく様子が、とても感動的だった。海や波に関する描写は、実際に目の前で展開されているかと錯覚するほど幻想的だった。
ただ、物語の中で、ゲイリーにもう少し救いを与えてあげてもよかったのではないかと思う。彼もまた、とても哀しいものを背負った人間なのだから。 -
2009/03/27読了
もう、すばらしい作品でした。
オーストラリアの美しい青の世界。イルカとの遊泳シーンの美しさ。
村山先生の一番好きなところは、こんな風な情景が、詳しくても余分なことが無く、目の前にぐわっと拡がっていくように錯覚するくらい、描写がうまいこと。
そして人と人の関係とか、エロチシズムなところは、徹底的に追いかけること。
オーストラリアの海も空も青も、恋も
大好きな私の欲求を満たしてくれる作品でした。
アレックスとタグに支えられ
JBとチェロにも支えられ
少しだけ声を取り戻したリオだけど
この先、声を完全に手に入れることが出来るのかな。彼女の心が折れないことを祈って。
パーフェクトブルーに恋をした。