青のフェルマータ Fermata in Blue (集英社文庫)

著者 :
制作 : 香山 リカ 
  • 集英社
3.36
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本棚登録 : 1817
レビュー : 153
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471496

感想・レビュー・書評

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  • 極上の時間だった。

    この本を読んでいると、たくさんの透明なもので心が満たされる。
    静かな海やどこまでも続く水平線、澄んだ空、深く優しいチェロの音色、イルカたちの眼差し。
    心の奥に傷をかかえながらも、痛くなるほど精一杯まっすぐに生きている人たち。

    海の向こうの小さな島に、こんな世界が広がっていると思うと、なんだか頑張れる気がする。

  • 登場人物が外国人だとやはり人物把握に時間を要します。ゲイリーの印象が物語の中で何度も更新されました。
    読んでいる最中、常に海、そして青を感じながら読み進めていましたが作中で一番印象に残ったのは
    ”淡いピンク色の小さな粒が無数にわき上がり、波の動きに合わせてゆうらりゆうらり揺れながら、海面へ向かって浮かび上がっていく。~中略~数億の卵たちがたゆたい、揺れ、音もなく、果てしなく浮かび上がっていく。風に散って舞い上がる夜桜を、スローモーションで見ているようだ。”

    このシーンです。一年に一度の特別な夜の描写ですね。グレートバリアリーフに起こるこの奇跡のような光景をぜひ目にしたいと思いました。

    読了後、非常に心地良くなりチェロの音を聴きながら南の島で海にプカプカ浮かびたいと感じる小説でした。

  • 小学校だか中学校の時だかあやふやだけど、ジャケット買い。
    月並だけどイルカが好きだったので、さぞかし瑞々しい青春ストーリーだろうと思って読んでみたら、相当エロくてびっくりした覚えがある。
    今思えば大人へのステップアップのきっかけになった本かも(爆

    ずいぶん昔に読んだのに結構内容覚えてます。
    主人公は声を失った女の子で、イルカセラピーを受けるためにオーストラリアに滞在。
    この人物背景からおとなしくて繊細な子なのかなと思ったけど、結構ギラギラしてる子なんだって思ったのが印象に残ってる。
    でも最後はいただけなかったなぁ。イルカ好きなだけにね。

    残念だったのは声を取り戻すシーンとかあっけなかった気がするなぁ。
    「えっ戻ったの?」って読んでて拍子抜けしちゃった。でも印象に残ってるけど。

    「お前の声、意外とアルトなんだな」って友人に言われるとことか。

    ドラマか映画にしたら面白いかも。

    関係ないけど、そもそもなんで主人公はオーストラリアなんかに行ったのでしょう?
    三宅島とか小笠原の方が癒される気がするけどなぁ。

  • 中学生の時に村山さんを知り、無我夢中で読んだ作品の中の一冊。
    最近出された「放蕩記」を読み終え、作者の思いや育った環境等を知り、また読み返してみようと思って再読に選んだ一冊。
    タイトルや、表紙、イルカのもたらす人への癒し、海の魅力、チェロの奥深さ、私のストライクど真ん中でした。
    私はこの作品でイルカに惹かれ、まだ実現できてませんが「いつか珊瑚の産卵を見たい」という夢を持ち続けています。
    ただ、今回読み進めていく中で、どうしても主人公理緒の恋愛面での行動は私には理解に苦しむところがありました。
    女として、男に惹かれる。その結果がゲイリーと関係を選んだとはいえ、「傷を負った」理緒があそこまで露骨に人を傷付けられるだろうか。それに激怒した彼の行動も、私には考えられないほどに残虐でした。彼がそこまで豹変するだろうか、と。
    そして、突然のFin。
    思わず、え、っと声に出してしまいました。
    終わり方が唐突過ぎて私には消化不良でした。その後の彼らは想像にお任せします、では無責任ではないか。と、少し残念に思いました。事件や色んな人の思いがやっと見えてきたところなのに、もう少し描いて欲しかった。
    ただ、理緒とBJの思いには温かなものを感じました。タイトルが「青のフェルマータ」、フェルマータは私のイメージでは永遠なのですが、人やイルカの命は永遠ではなく時間が限られている、その対比が悲しくもいとおしく思えました。
    欲しいと思った時に手を伸ばさなければ、手にいれることは出来ない。若い時は命の終わりなんて考えもしない。無意識にこの日常が毎日続いて行くものだと思っている。だけど、人にフェルマータは無いのだ。そして、手にいれたいと手を伸ばしても、全てを手に入れることは出来ない。
    そんなことをこのストーリーから感じました。

  • 両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとのふれあいを求めて、オーストラリアの島にやってきた。研究所のイルカの世話を手伝ってクラス彼女の島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いたとき、海のかなたから野生のイルカが現れて──。

    人は、誰もが自分の中に「痛み」を抱えているが、イルカたちとの触れ合いを通して、自分を見つめ直しながら一歩を踏み出していく様子が、とても感動的だった。海や波に関する描写は、実際に目の前で展開されているかと錯覚するほど幻想的だった。
    ただ、物語の中で、ゲイリーにもう少し救いを与えてあげてもよかったのではないかと思う。彼もまた、とても哀しいものを背負った人間なのだから。

  • 2009/03/27読了

    もう、すばらしい作品でした。
    オーストラリアの美しい青の世界。イルカとの遊泳シーンの美しさ。
    村山先生の一番好きなところは、こんな風な情景が、詳しくても余分なことが無く、目の前にぐわっと拡がっていくように錯覚するくらい、描写がうまいこと。
    そして人と人の関係とか、エロチシズムなところは、徹底的に追いかけること。
    オーストラリアの海も空も青も、恋も
    大好きな私の欲求を満たしてくれる作品でした。
    アレックスとタグに支えられ
    JBとチェロにも支えられ
    少しだけ声を取り戻したリオだけど
    この先、声を完全に手に入れることが出来るのかな。彼女の心が折れないことを祈って。

    パーフェクトブルーに恋をした。

  • イルカ好きなら是非。海とイルカとチェロ、読んでいても映像が浮かぶ本でした。

  • 両親の不和が原因で声を失ったリオはイルカセラピーを受けるためにオーストリアに移住。親に捨てられた乱暴者のゲイリー。チェロ奏者のJB。娘のフィオナ、イルカ研究所スタッフに囲まれて暮らすがゲイリーに無理矢理関係を迫られる。野生のイルカがリオのチェロに誘われて現われる。

  • 過去の家族関係のトラウマによって声を失ったリオはオーストラリアのイルカ研究所で生活をするようになる。恋をして、傷ついて、イルカに懸命に向き合い等々、暖かい人々に囲まれて声を使わない心のコミュニケーションをとるリオを羨ましく思います。

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著者プロフィール

村山由佳(むらやま ゆか)
1964年7月10日生まれ、立教大学文学部日本文学科卒業。不動産会社、塾講師などの勤務を経て作家となる。
1991年 『いのちのうた』でデビュー。1991年『もう一度デジャ・ヴ』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作、1993年『春妃〜デッサン』(『天使の卵-エンジェルス・エッグ』に改題)で第6回小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で第129回直木三十五賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。ほか、代表作として『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズがある。

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