夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 16254
レビュー : 2065
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471984

感想・レビュー・書評

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  •  独特の世界観に包まれた作品。それは違和感からくる世界観なのかな。
     よく見ると、この表紙の絵にも違和感がある。その違和感も読み終えて初めて気づくことになるのだが。

      まず、仲良しの健くんと弥生ちゃんという兄妹がいる。弥生ちゃんと弥生ちゃんの友だち五月は2人とも健くんのことが好きだ。弥生ちゃんと五月ちゃんで木の上で遊んでいる時、弥生ちゃんが健くんと兄妹じゃなければ良かったと言う。結婚できないからだ。そして、五月ちゃんも健くんのことが好きと伝える。
    すると、弥生ちゃんが五月ちゃんの背中を押して落としてしまった。それで五月ちゃんが死んでしまう。そこに来た健くん。弥生ちゃんが五月ちゃんが足を滑らせて落ちたと伝える。すると、健くんは驚きもせず、五月ちゃんをどう隠そうかと計画を立てる。その顔はどことなく嬉しそう。
    もう1人のメインの登場人物。緑さん。緑さんは兄妹の従姉妹だ。緑さんも五月ちゃんと仲良しなのだが、五月ちゃんがいなくなってからも、毎日心配することなく、その生活ぶりは変わらない。

     そもそもの違和感は、殺された五月ちゃん目線から物語が語られるということ。そして、五月ちゃんもあくまでも淡々と見たままを語る。
     
     でも、現実にいる殺人鬼になれる人は、きっとここに登場する健くんや緑さんのような人なんだろうなって思った。

     この文庫本にはもう1つの短篇、『優子』が収録されているが、私としてはそちらの方が好みかな。なんだか切ない話だけど。
     
     2つの作品ともに読後感は良くないです。独特の世界観に浸るには良いかも。

  • 前に読んだ作品がすごく良かったので
    評判の良いこれも読んでみたけど、
    うーん、ちょっと読みたかったのとは違ったかな。

    『死体の目線』という語り口は
    斬新だし(っていうかほとんどない)
    見つかりそう!というハラハラ感は凄いんだけど、
    やはり気分的に良いものではない。
    さっさと見つかってくれよ、可哀想だろうって思ってしまう。

    最終的に大人?の力で助かったことにはなってる。
    ただ、きっと一時的なものだよね。

    今度はきっと、彼が『死体の目線』になる番。

  • 緊張感のあるシーンで一緒に息を詰めてしまうこの感じ。読み始めると引き込まれてとまらない。物語の季節ともあいまって、夏の夜にちょっとヒヤヒヤしながら読むのが一番しっくり。

    ちなみに乙一氏の作品は、読後のさっぱり感は、ないと思います。それを求めて読んじゃうと、きっと疲れるだけ笑。

  • 今さらながら、乙一のデビュー作。お~、なかなか読ませるね。子どもが主役のドキドキサスペンス。謎解きじゃないから、すっきりとはならないが、あっけにとられる幕引きが印象に残る。死体の私に語らせる意味も、最後の一節に収束する。中編だけど、短編の名手になりそうなキレを感じさせてくれる。ダーク系が苦手な人も、騙されたと思って一度ラストまで読みきってほしい秀作。

  • 2016年54冊目。
    意外な視点からの作品でそれだけでまず面白い。普通に考えたら気持ち悪いのに、の目に浮かぶようなのどかな田園風景がそれを消してくれてるのかな。
    ラストも衝撃的。
    でもいちばん衝撃なのは、この作品が著者が16歳の時に書いたものだってこと!

  • 主人公の視点が面白かった。

  • 夏になったら読みたくなる本です。

  • 再読

    <夏と花火と私の死体>
    九歳の夏休み、少女は殺された。
    あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなくー。

    九歳の夏休み「わたし」五月は、同級生の弥生ちゃんと仲良しで、
    弥生ちゃんのお兄ちゃん・健くんが好きだ。
    「わたし」は、ある日登った木の上から突き落とされて弥生ちゃんに殺される。
    健と弥生の兄妹は、五月ちゃんの死体を隠す。
    度々ピンチが訪れて隠すと見付かりそうになり、それでまた移動させる…。

    この物語の主人公は「わたし」五月。
    五月は序盤に殺されて、死体になってしまうにも関わらず、
    初めから終わりまで語り手となっている。
    主人公の目線で物語が進行していくのが斬新で興味深かった。
    夏の長閑な田舎の風景や、集落の人々の姿や自分の母の姿、
    自分を殺した弥生ちゃんや隠そうとしている兄妹の姿を、
    恨むでもなく、その語り口調が余りにも淡々としているのが、
    何とも言えない気持ちにさせられた…。
    冒険を楽しむかの様に、事態を切り抜けていく健の姿が怖い。
    そして、ラストにはゾワッとさせられた。

    突っ込み所が満載でしたが、この小説を書いたのが、
    著者が16歳の時だという。
    16歳のデビュー作でこれを書くって凄いって思ったので★3つ


    〈優子〉
    見事に騙されたーーー!!って、思っていますが、
    どちらが正しいのか…本当に、混乱してるのは誰なのか…。

  • 今まで味わったことのないような違和感。なぜならこのストーリー全体が『わたし』の死体目線だで書かれているから!この世界観は本当に独特で面白い。作者がこの話を16歳のとき書きあげたというのには驚いた。
    ここからは個人の趣向の問題だけどストーリー全体を見て私はあんまり好きじゃない。人を殺しておいて罪を問われないなんて。妹の弥生ちゃんなんてほんの一瞬湧いた衝動的な嫉妬に身を委ねて五月を木から突き落としたのに結局なんの罪にも問われてないんだから。

    もう一つ「優子」という短編もなかなか不気味な話だった。でもこの不気味さは嫌いじゃない。

  • 乙一作品はどれも面白いが、一番を決めろと言われれば、これを選ぶだろう。自分が本の中にいるかのように思わせる情景描写、ゾクゾクとワクワクが交錯した気分に浸れる。個人的には二編目の「優子」も好きである。

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著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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