夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471984

感想・レビュー・書評

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  • 語り手は冷静なのに読み手はハラハラドキドキだった。
    意外な視点で淡々と語られる日常が新鮮。
    まさかのオチに背筋が冷えた…

  • 狂気じみた兄と罪悪感のある妹、どちらも子供ながらの残酷さが窺える。設定はありがちだが、語り部が死体なので不思議。ホラー小説は初めてだったが、とてもスラスラ読めた。面白い。

    同時収録されている優子も素晴らしいものだった。事実が分かったとき、ハッとさせられた。

  • 「夏と花火と私の死体」

    気味が悪い。その一言に尽きる。

    私(死体?幽体?)から見る4日間の話。
    もちろん私は動かないわけであるから主体は兄妹なのだが、それを俯瞰して見る私の目線で淡々とかつ繊細に表現されている。

    が、恨みや憎しみの感情は表現されていない。
    全体を通して、私の悲しさや恥ずかしさといった感情や肌に水が触れるなどの感覚は表されている。
    しかし、殺された人間として抱くであろう感情は一切ない。
    この表現のアンバランスさが、より一層不気味な雰囲気を醸し出しているのだろう。


    「優子」

    この手の話の本当に狂っている人は…
    と、たかを括ってはいけない。
    読めば読むほど、誰が正常で誰が狂っているのか、
    何が実像でどれが虚像なのか、分からなくなる。
    自覚の無い狂人になり果てることほど恐ろしい事はない。

  • 幼馴染の兄に担がれ運ばれる私は、木から落ちて死んでしまった。幼馴染に押されて落ちて即死したのだ。
    兄は泣きじゃくる妹をなだめて冷静に死体の処理を考え、怪しまれないように隠ぺい工作する。それを淡々と解説する私。未練など微塵も感じさせない落ちつきぶりで兄妹の行動を実況している。

    ありえない現象なのに蠢く本能が脳を刺激してこの設定を許容してしまいます。

    兄妹は突然の出来事に常軌を逸して正常な判断能力を失い、あやかしの入り込む隙間を作ってしまったのかもしれない。そしてあやかしが倫理観を壊していく。
    計画性のある犯行じゃないし事故で片付けることもできたと思うのですが、全力でもみ消そうとする4日間。
    死体の私は俯瞰できてるのに対して、兄妹は俯瞰できず隠すのに必死で死体に翻弄されている様子が滑稽にみえてきました。兄は楽しんでたようですけど。
    上方落語の「らくだ」のように。
    思えばあれもホラーっぽい話なんですが滑稽な話に仕上がってました。

    そして結末に、思考はフリーズしてしまいました。

    • なおなおさん
      しじみさん、はじめまして!
      フォローといいねをいつもありがとうございます。
      「結末に思考が“フリーズ”した」…うまい事おっしゃる〜と思いまし...
      しじみさん、はじめまして!
      フォローといいねをいつもありがとうございます。
      「結末に思考が“フリーズ”した」…うまい事おっしゃる〜と思いました(*ºωº*)!!
      私はあそこにまた○体が増えていく気がしてなりません( ;꒪⌓꒪;)
      2023/05/15
    • つくねさん
      なおなおさん、こちらこそです。
      コメントはいろんなところで拝見してましたのではじめましての気がしないのですが嬉しい限りです♪

      カゴメカゴメ...
      なおなおさん、こちらこそです。
      コメントはいろんなところで拝見してましたのではじめましての気がしないのですが嬉しい限りです♪

      カゴメカゴメで怖すぐる_:(´ཀ`」 ∠):
      2023/05/15
  • 乙一さんが16歳の時に書いたデビュー作。
    ゾクゾク&ハラハラドキドキであっという間に読めました。死体の一人称視点で物語が進んでいくのが珍しくて面白い。夏に読みたい一冊。
    「優子」も面白かったです。

  • これも、おそるおそる読みました。
    多くの皆様のレビューで気になりすぎました。
    乙一さんデビュー作品。しかも当時16歳でこの作品を?と衝撃を受けました。

    『夏と花火と私の死体』
    九歳の夏休み。少女(五月)は、殺された。
    あまりにも無邪気な殺人者によって、あっけなく。
    私の死体をめぐる幼い兄妹の、悪夢のような四日間。

    まず「私(死体)」目線で描かれている奇抜さが斬新。
    しかも「私」の、犯人に恨み、憎しみ、怨念などの描写がないのが返って、気持ち悪さ感や奇妙さを醸し出している。それから自分の死体が運ばれたりしていく様子を実に淡々と実況中継していくようなところが、不気味感が漂う。
    大きな事件になっているし、死体を隠そうとすることで当然……次々に訪れる危機があるのだが、それも、ハラハラ、ドキドキさせられていく描写となっていて引き込まれてしまう。

    そして衝撃が走る怖〰️いラスト。
    伏線もちゃんと回収されているところも鮮やかで凄く良かった!!
     
    もう一作品、短編
    『優子』
    ずっと不穏な空気感で不気味なのに、更にラスト
    でひっくり返されて、ゾッとした。
    もともと私は「人形」って苦手なのに
    この作品でもっと苦手になったと思う…w

    乙一さんの凄さを思い知った一冊、
    面白かったー。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      う〰️わ、わ、わ、わ!!
      確かに~!!

      ほんとだ! (;゜0゜)

      ぴったりですわ〰️!!!!

      ((( ;゚Д゚)))ガクガクブル...
      う〰️わ、わ、わ、わ!!
      確かに~!!

      ほんとだ! (;゜0゜)

      ぴったりですわ〰️!!!!

      ((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

      音響……など…お任せします_(..)_




      2023/05/01
    • mihiroさん
      わ〜!高評価ですね✩︎⡱
      この作品、まだ読めてないんです、、
      これデビュー作なんですね!
      感想読んだら読みたくなってしまいました〜( ˶>ᴗ...
      わ〜!高評価ですね✩︎⡱
      この作品、まだ読めてないんです、、
      これデビュー作なんですね!
      感想読んだら読みたくなってしまいました〜( ˶>ᴗ<˶)
      2023/05/01
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      機会があれば是非、是非~♪
      機会があれば是非、是非~♪
      2023/05/01
  • 乙一の振り出しに戻る。1996年ジャンプ小説ノンフィクション大賞。
    まさかの死体の擬人化(元人だから違うのかな?)ではなくて、語り部。何が気持ち悪いかって、死体が冷静で、主人公なのにモブキャラと化している。友人をこの死体にしてしまった女の子の兄が妹思いで行動力があり、これまた冷静。この斜めからのホラーを16歳で書いている乙一さんは、解説で小野不由美さんも言っているけど驚異的。
    朝井リョウさんが、デビュー当時だったと思うが「瑞々しい」と褒められると、フルコース準備したのにサラダだけ褒められた様な感じと言っていて、面白い事言うな、プライド高いなと思った。でも、確かに乙一さんはデビュー当時の作品に「瑞々しい」と評価された事はないんじゃないかなぁ。ホラーというジャンルだからではなく、巧さの方に惹きつけられるから。

    • みんみんさん
      読んだ時のけぞったもんなぁ…
      なんだこの人…天才?って(°▽°)
      読んだ時のけぞったもんなぁ…
      なんだこの人…天才?って(°▽°)
      2023/04/25
    • おびのりさん
      なんかね、さらっと書いている感じが、にくいよね。
      なんかね、さらっと書いている感じが、にくいよね。
      2023/04/25
    • 土瓶さん
      そうそう。なんてこと書いてるわけじゃないんだけど、ずっと読んでいたいし、読みやすい。
      あれはやっぱりセンスなのかな~。
      そうそう。なんてこと書いてるわけじゃないんだけど、ずっと読んでいたいし、読みやすい。
      あれはやっぱりセンスなのかな~。
      2023/04/25
  • 表題作と『優子』という2作の短編でホラー作品だが怖くはなく読みやすいし、どんでん返しがあり面白いです。

  • 解説が小野不由美というだけで怖い

  • 本当にあっさりと主人公は死ぬ。そのあとの物語を死人は本来知る由もないが、小説というフィクション上ではそういった常識は必要ないのかもしれない。画期的。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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