夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 2062
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087471984

感想・レビュー・書評

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  • 今更読んだ、乙一さんのデビュー作。
    若干16歳で!というのは知っていたけれど、読んでみると改めてすごいなぁと思う。
    文章はこなれていないかもしれないけれど、乙一さんの世界観の原点があり。
    (淡々と紡がれる、ぞわっと不思議に気色悪い世界観…)

    表題作の「夏と花火と私の死体」
    幼馴染の兄への恋心を打ち明け、幼馴染に木から突き落とされて死んだ「私」。
    その死体をばれないように兄と妹が奔走する姿を、死んだ「私」の視点で見る。
    怯える妹と、冷静かつ大胆な行動に出る兄。
    二人の隠ぺい計画は、大人にばれずに完遂されてしまうのか…。

    乙一さんの物語は勧善懲悪ではない。
    妙な余韻と妙な救いを残し、静かに幕を閉じる。
    こんな客観的で冷静な目を、16歳の少年が持っていたのかと思うと、
    なんか話とは別に、それもそれでぞくっとするものがある。

  • 「夏と花火と私の死体」が乙一の17歳の時の初作品です。

    他、「優子」の2本立て。

    9歳の少女 五月と弥生、そして弥生の兄11歳の健が主人公。

    3人がいつも登っている大きな木に登って遊んでいると、弥生が転落して亡くなってしまう。

    弥生と健は、五月の遺体を隠すことにしてしまう。

    何度も遺体が見つかりそうになる度にドキドキしてしまう。

    最後には付近で起きていた児童連続誘拐事件とのつながりが・・・・

    特記すべきは死体になった五月の視点で物語が進行していく点。しかも五月が二人の味方のように感じてしまう所が、作者の独特の感性を醸し出しているように思う。

    高校生ででここまで書き込めるのはすごいなあと感心しました

  • 「死体になった私」が主人公であること、そしてその主人公がやけに淡々としていることが、すごく奇妙で違和感があり、魅力的だった。
    ただ、この表題作も収録作「優子」も、お話の決着は軽く、雰囲気を楽しむものなのかなという印象。

  • 黒乙一はグロいと聞いていたので覚悟しながら読みました。そのせいか思ったより不気味な感じがせず、弥生に殺された五月が無邪気に語ることでグリム童話の残酷さを彷彿とさせます。内容は嫌な話だけど文章は面白いです。「優子」は江戸川乱歩の『人でなしの恋』に少し似ていますね。結末は全然違いますが、表題作より「優子」の方が好みでした。

  • 死んだ「わたし」視点で語られる、彼女を殺した兄妹の話。何度か大人たちにばれそうになりながらも、兄妹は「絶対に見つからないはずの場所」に死体を運ぶ。淡々とした語り口で進んでゆき、花火のように儚いクライマックスとともに物語は幕を閉じる。人の死をなんとも思わない、むしろ楽しんでいるような兄の姿は薄気味悪くもあるが、後日談として語られる真相にはさらにぞっとさせられた。同時収録されている「優子」は戦後という舞台設定から少しとっつきにくく感じたが、じわじわにじり寄ってくるような不気味さはこれぞ乙一作品である。真相にベラドンナを使った点も小洒落ていて気に入っている。ただどちらも後味がたいへんによろしくないので、再読はしないだろうと思う。

  • ミステリーっぽいホラー。
    後味が悪いし、主要人物が皆頭のネジが外れているのでちょっと苦手だけど、話は面白い。
    でもやっぱり後味悪いって思う自分は、案外道徳的なのかな。

  •  独特の世界観に包まれた作品。それは違和感からくる世界観なのかな。
     よく見ると、この表紙の絵にも違和感がある。その違和感も読み終えて初めて気づくことになるのだが。

      まず、仲良しの健くんと弥生ちゃんという兄妹がいる。弥生ちゃんと弥生ちゃんの友だち五月は2人とも健くんのことが好きだ。弥生ちゃんと五月ちゃんで木の上で遊んでいる時、弥生ちゃんが健くんと兄妹じゃなければ良かったと言う。結婚できないからだ。そして、五月ちゃんも健くんのことが好きと伝える。
    すると、弥生ちゃんが五月ちゃんの背中を押して落としてしまった。それで五月ちゃんが死んでしまう。そこに来た健くん。弥生ちゃんが五月ちゃんが足を滑らせて落ちたと伝える。すると、健くんは驚きもせず、五月ちゃんをどう隠そうかと計画を立てる。その顔はどことなく嬉しそう。
    もう1人のメインの登場人物。緑さん。緑さんは兄妹の従姉妹だ。緑さんも五月ちゃんと仲良しなのだが、五月ちゃんがいなくなってからも、毎日心配することなく、その生活ぶりは変わらない。

     そもそもの違和感は、殺された五月ちゃん目線から物語が語られるということ。そして、五月ちゃんもあくまでも淡々と見たままを語る。
     
     でも、現実にいる殺人鬼になれる人は、きっとここに登場する健くんや緑さんのような人なんだろうなって思った。

     この文庫本にはもう1つの短篇、『優子』が収録されているが、私としてはそちらの方が好みかな。なんだか切ない話だけど。
     
     2つの作品ともに読後感は良くないです。独特の世界観に浸るには良いかも。

  • 前に読んだ作品がすごく良かったので
    評判の良いこれも読んでみたけど、
    うーん、ちょっと読みたかったのとは違ったかな。

    『死体の目線』という語り口は
    斬新だし(っていうかほとんどない)
    見つかりそう!というハラハラ感は凄いんだけど、
    やはり気分的に良いものではない。
    さっさと見つかってくれよ、可哀想だろうって思ってしまう。

    最終的に大人?の力で助かったことにはなってる。
    ただ、きっと一時的なものだよね。


    ・・・今度はきっと、彼が『死体の目線』になる番。

  • 緊張感のあるシーンで一緒に息を詰めてしまうこの感じ。読み始めると引き込まれてとまらない。物語の季節ともあいまって、夏の夜にちょっとヒヤヒヤしながら読むのが一番しっくり。

    ちなみに乙一氏の作品は、読後のさっぱり感は、ないと思います。それを求めて読んじゃうと、きっと疲れるだけ笑。

  • 2016年54冊目。
    意外な視点からの作品でそれだけでまず面白い。普通に考えたら気持ち悪いのに、の目に浮かぶようなのどかな田園風景がそれを消してくれてるのかな。
    ラストも衝撃的。
    でもいちばん衝撃なのは、この作品が著者が16歳の時に書いたものだってこと!

著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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