スクランブル (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472165

感想・レビュー・書評

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  • 好きな作者だったので。

    衝撃的な冒頭だった。
    高校時代の友人の結婚披露宴に出席したその場で、
    過去の殺人の犯人が判るとは。
    しかも当然のごとく、作者のミスリードにひっかかって、
    犯人は新婦なのか、新郎なのかとハラハラしてした。

    中高一貫教育の名門私立女子高「新国女子学院」では、
    高校から入学した生徒たちは〈アウター〉と呼ばれていた。
    学校で起こった殺人事件に、ほぼアウターの文芸部のメンバーは、
    勝手な推理を繰り広げる。

    他にも、弁当の盗難、体育祭での毒物混入、生徒の交通事故死と続くが、
    この作品の中心は謎解きではない。
    少女たちの焦燥と葛藤と傷心のお話。

    章タイトルに「スクランブル」「ボイルド」「サニーサイド・アップ」と
    卵料理の名前がついていた。
    人生は卵の殻を割り続けなければならないと話し合うラストに向けて、
    物語の内容になぞられたタイトルだと思い、
    その関係性を読み取るべく、もう一度読みたいと思った。

    が、読めなかった。
    それは自分自身の卵時代を、
    ひりひりとした痛みを感じて振り返れないのに似ていた。
    まだ割る殻が足りないのだろうか。
    いつか、読み返したい。

  • 好きな作品。 自分が生まれる前の高校生、という感じがしないのは、結局が95年当時の30代になった彼女達があの頃のことを思い出しているから? 新国女子校に通う文芸部の6人は、内4人が高等部からの編入生「アウター」。異端児とされる彼女たちの周りで起こる事件。犯人にされたり、探偵になり損ねたり。 殺人事件の犯人は誰なのか。場所は仲間の結婚式。各々が回想の中で事件と、想い出を辿る。最後に辿り着いた犯人は… 女子高生の『通常』とはかけ離れた彼女たちが面白い。やっぱり子供と思うところも、達観しているところも。

  • 女子高が舞台で、このような世界もあるのかと思うほど女子生徒同士の人間関係は複雑。自分にはないものを持つ他人を羨んだり、将来に不安を抱えたり、青春時代を思い起こさせる物語。

  • ガイド本の粗筋紹介を読んで、気になっていた作品。金屏風の前に犯人がいることに気付くオープニングから、では一体それが誰なのかってのが気になって、どんどん先が読みたくなる展開。仲良し6人組の、それぞれの目線から次第に明らかになっていく真相、っていう流れも秀逸で、リーダビリティも高かったす。ただ、被害者の人物描写は一切なく、実際、被害にあったのは外部の人間なんだから仕方ないけど、哀惜の念を感じにくかったのはちょっと残念。総じて面白くて、新年一発目の読書としては及第点でした。

  •  学園ミステリしかも舞台はバリバリの女子高というだけで、あんたはお呼びじゃないよと言われているようで、いささか敷居が高い。まあしかしお嬢様学校といったって内情は、というわけで主役級の夏見やマナミの言動は抱腹絶倒で楽しめる。文芸サークルの6人(夏見、マナミ、洋子、サワ、飛鳥、ラビ)が各章の主格となり、校内で起きた殺人事件をそれぞれの視点で順に推理するという趣向で、各章では付随して校内で起こるちょっとした謎とその解決もされており、日常謎解き短編プラス全体の長編推理という二重構造になっている。加えて、全体が6人のうちの誰かの結婚披露宴でのそれぞれの回想という形式になっており、冒頭に大胆にも犯人は金屏風の前にいると開示されている。しかしそれが誰かは最後までわからず、おおっとひっくり返されるという仕掛けにはうならざるを得ない。

  • 80年代の匂いプンプンだったけど、けっこう楽しめた。

  • 結婚披露宴の最中、女子校文芸部の仲間たちがそれぞれ回想を始めます。その内容は殺人から日常の些細なことまで様々ですが、これら全て15年前の事件が影響していることが次第に判ります。
    そして、最後に連作短編集ならではのあっと驚く仕掛けが施されています。
    登場人物があだ名や本名で呼ばれるので誰が誰だか把握するのに苦労しましたが、トリックは素晴らしいですし、女子校独特の世界観や思春期ならではの青臭さが丁寧に描かれています。青春ミステリーの傑作と言えると思います。

  • 女子高の生徒って、こんな感じなんですかね。友達に居たら面白かったろうなぁ。

  • 高校で起きた殺人事件とそれにかかわる諸々の事件。
    果たして犯人は誰なのか?

    現在と過去とが交互に語られながら、次第に犯人の姿が明らかにされていく形。

    青春っていう感じがしてよかったなぁ。

    登場人物が多かったせいか、キャラクターを把握しきれなかったような気もする。

    紹介されている本でおもしろそうなものがあったので読んでみたいと思う。

  • 4

著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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