風が吹いたら桶屋がもうかる (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 421
感想 : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472219

作品紹介・あらすじ

牛丼屋でアルバイトをするシュンペイにはフリーターのヨーノスケと、パチプロ並の腕を持つイッカクという同居人がいる。ヨーノスケはまだ開発途上だが超能力者である。その噂を聞きつけ、なぜか美女たちが次々と事件解決の相談に訪れる。ミステリ小説ファンのイッカクの論理的な推理をしり目に、ヨーノスケの能力は、鮮やかにしかも意外な真相を導き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 短編は苦手なのですが、この作品はとても楽しめました。

  • 牛丼屋でアルバイトをするシュンペイにはフリーターのヨーノスケと、パチプロ並の腕を持つイッカクという同居人がいる。
    ヨーノスケはまだ開発途上だが超能力者である。
    その噂を聞きつけ、なぜか美女たちが次々と事件解決の相談に訪れる。

    シュンペイたちが住む倉庫を訪れる女性たちが抱える悩みごとはただの取り越し苦労で、ヨーノスケの超能力はもちろんのこと、毎度横から嘴をはさみ、自己満足の推理を展開するイッカクも全く役に立たないというのが決まったパターン。
    まるで水戸黄門でも見ているような気にさせられる予定調和は飽きがくるところもあるが、安心感のようなものを与え、一定の水準を保つための助けにはなっている。

    推理の外れたイッカクは「論理に破綻はない」とうそぶき、ヨーノスケの超能力は毎回、事件が収束した頃にその能力を発揮し、そしてシュンペイは毎度連れてきた美女に彼氏がいることを告げられ、お決まりの愚痴を呟く。

    さて、ところで、この作品で僕が一番気に入っているところは、実は推理小説部分ではない。

    ひとつはイッカクの推理が外れるところ。
    彼の推理は本格ミステリの世界ならばおそらくは的中するはずだ。
    なぜなら本格ミステリの世界の住人たちは必ず合理的かつ論理的な行動をとることになっているからだ。
    その世界では、左利きの人間は決して右側のポケットに鍵を入れたりしないし、自殺をする人間は絶対に本に栞を挟んだりしない。
    イッカクの推理が外れるということは現実世界とあまりにもかけ離れたミステリに対する痛烈な皮肉になっているのだ。
    (念のために書いておきますが、僕は本格ミステリが好きだし、こういう論理はむしろ愛している)

    もうひとつはヨーノスケの超能力を、シュンペイが揶揄するところだ。
    ヨーノスケはまごうかたなき超能力者だ。
    彼はラーメンを食べるために、指一本触れずに目の前の割り箸をまっぷたつにしてみせることができる。
    ただし、それにかかる所要時間は三十分。
    割り箸が割れた頃には、ラーメンはすっかりのびきっている。
    うまいラーメンを食べたければ、超能力など使う必要はない。手で割り箸を割れば済む話。
    ヨーノスケのことをシュンペイが「低能力者」と呼ぶゆえんだ。
    僕が超能力者(と自称する人たち)を好きになれない最大の理由はここにある。
    彼らの能力が本物かどうかなんてどうでもいい。
    問題なのは彼らの能力がちっとも「超」能力ではないところなのだ。
    スプーンなんてちょっとの力で誰だって曲げられる。
    そんなものよりも100mを走るのに10秒もかからない短距離走者の方がはるかに超能力者と呼ぶに相応しい気がしてしまう。
    もし彼らが曲げてみせるものがビルを支える鉄骨だったなら僕だってそれは「超」能力だと認める。
    彼らが普通の人間には決して真似できないような力を発揮してみせてくれない限り、誰もが彼らを「低能力者」と呼ぶだろう。

  • 昔読んで好きだったのを思い出して購入。
    牛丼屋でバイトをしているシュンペイは、ヨーノスケ、イッカクらの三人で同居をしている。
    そして、このヨーノスケは実は、超能力者なのである!噂を聞いて、次々と現れる相談者たち。なぜか美女ぞろいの彼女らの持ち込んだ事件を、果たして解決できるのか!
    …というわけなのだけども、いやあ、読んだ当時は実に衝撃的だった。
    なんせ、ヨーノスケの超能力は「ぜんぜんすごくない」のである。
    ・超能力で割り箸を割る(30分かけて)。
    ・超能力でお湯を沸かす(数時間かけて38度)。
    ・超能力でウクレレを弾く(たまに音が鳴る)。
    ・超能力で絵を描く(発泡スチロールに墨をつけて転がす)。
    …。
    「超能力というより低能力」「彼がやるより、僕たちが普通のやり方でやったほうが、ずっと確実で効率もいい。」
    至極雑な扱いを受ける超能力!「あくまで趣味」な超能力!
    相談者の持ち込んだ、人探しやら箱の中身の透視やらに苦戦するヨーノスケを尻目に、事件を解決しようと論理的な推理を展開するのはまさかのイッカク!
    推理を聞き、慌てて戻っていく相談者!
    …いやあ…これで結局その推理も外れてるってんだからなあ…。
    「いつだって、そうなのだ。ヨーノスケの超能力が人の役に立ったためしはないし、理屈屋イッカクの推理がなにかを解決したこともない。結局、こうなるのだ。」
    当時の自分は「超能力」も「推理」も「すごいもの」カテゴリーに入れていただけに、相当の衝撃でした。当人たちがまったく気にしていないのも含め。それでいて、おもしろいっていうのがまた……。

  • 軽めの方の井上作品。

    今までに読んだ井上作品で一番あっさり味。
    たまにはこうゆうのもいいね。

  • 推理マニアのイッカク、超能力(低能力)者のヨーノスケ、毎回プチ失恋のシュンペイ。
    毎回同じ展開だけどそれもお約束で、3人の個性がうまく噛み合ってゆる~く事件解決。
    軽く読めて面白かった。
    それぞれの章のタイトルが内容と全く関係なくてはてなだったけど、解説を読んでなんとなく納得。

  • さすがです。

  • 3人の登場人物がいい。そこに依頼人が来て一つの話が始まっていく。ヨウノスケはシュンペイに言わせれば低能力者だが超能力だ。イッカクは理論的というかうるさい。毎回同じことの繰り返し。気軽に読める一冊。

  • 毎回同じ展開で話が進む連作短編。
    それをマンネリと見るかどうかで面白さが変わりそう。

    個人的には有り。
    登場人物三人組がいいキャラをしてるし、主人公の語り口が面白い。

  • 連作短編。遊び心たっぷりなミステリー(=^ェ^=)超能力(低能力?)を趣味にしているヨーノスケ、勤勉な牛丼屋アルバイトにして美女に弱いシュンペイ、パチプロにしてミステリマニアのイッカクのトリオが依頼人の持ち込む小事件を解決?気楽に読めて面白い。パターンは全話変わらないので(笑)『風が吹いたらほこりが舞って』〜『とどのつまりは桶屋がもうかる』で終了するけど内容なんも関係なし(゜◇゜)某夢の国のコピペ思い出した。

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著者プロフィール

昭和25年生まれ。昭和57年に徳山諄一との岡嶋二人名義で第28回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。平成4年に『ダレカガナカニイル……』(新潮社)で再デビューした。代表作に『ラバー・ソウル』(講談社)など。

「2020年 『平成ストライク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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