神々の山嶺 上 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.19
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本棚登録 : 2281
レビュー : 251
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472226

作品紹介・あらすじ

カトマンドゥの裏街でカメラマン・深町は古いコダックを手に入れる。そのカメラはジョージ・マロリーがエヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎を解く可能性を秘めていた。カメラの過去を追って、深町はその男と邂逅する。羽生丈二。伝説の孤高の単独登攀者。羽生がカトマンドゥで目指すものは?柴田錬三郎賞に輝いた山岳小説の新たなる古典。

感想・レビュー・書評

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  • なんかのサイトで読むべき文庫のランキングにあって。古い作品ばかりのランキングだったけど、気になって読んでみた。正解だった。山を題材にした作品は濃いのが結構多い気がするけど、これもかなり濃い。グイグイひきこまれる。まだ上巻なのに

    2018.1.8

  • 上下巻を読んだ。男のロマン、夢、プライド、愚かさ、惨めさ、などなど心を揺り動かすすべてが詰まった作品。読後感は最高レベルに感動するものがある。たとえ低山でも登山経験があった方がより共感できる。

  • 下巻まで読了した感想です。
    山岳小説の名作に挙げられるだけあって、とても読み応えありました。

    簡潔に要約すれば、結局世界一の頂きを目指す男達の話なのですが、幾つものエピソードが重層的に構成されていてなかなかに複雑で楽しい。
    また、登山における常識や道具などについて、適宜作中で解説されるので、登山未経験者でもスムーズに読み進められるのも良いです。

    幾つかの謎が物語を牽引している点や、時間軸をばらして再構成する手法など、一流のミステリーのような側面を持った小説です。
    それでいて、最終的には「山に登ること」の一点に物語が集約していくため、やはりこれは一流の山岳小説なのです。

    この小説を読むと高所登山がなぜ恐ろしいかが分かりますが、それ以上に山に取り憑かれて生きることの怖さ(ある意味では幸福)が存分に味わえます。

  • 夢枕獏の「陰陽師」シリーズは好きだが、山岳短編集の「呼ぶ山」は好みでなかった。新田次郎の山岳小説は面白いと思ったが、「孤高の人」は魅かれる要素がなく上巻でやめた。一般評価は高いにもかかわらず。この流れから察するに、「神々の山嶺」は私の好みでない可能性が高いと思われたが、予想に反して面白い。共通して言えるのは、登山家が好きになれないということのようだ。「孤高の人」の加藤文太郎も「神々の山嶺」の羽生丈二も。だから、登山家が主人公の小説が好きではないのかも。新田次郎で面白かった山岳小説は、「剣岳<点の記>」と「八甲田山死の彷徨」であり、どちらも主人公は登山家ではない。登山家である羽生丈二は物語上重要人物ではあるものの主人公ではない。納得。わかりやすい好みだった。

  • 山岳小説で外せない一冊に挙げられる事が多いので読了。
    映画も見たけど、映画よりは小説の方が良い。

  • 面白い。
    羽生、魅力的な人物。親しくはなれないが、孤高のクライマー。シャイで極めて実は極めて優しい。
    生死をかけた高度登山の描写が素晴らしい。詩のよう。

  • (上下巻あわせての感想)
    学生時代に持っていた”自然に対する畏怖の感情”を思い出しました。

    大自然の中で、宇宙と空と自分と大地が渾然一体となっているところは圧倒されます。
    渾然一体になる瞬間って、神様と一瞬触れ合っている瞬間なんだろうな、とおもいます。
    そういう体験をしたであろう人の魂に魅せられてしまう感覚もわかる気がします。
    そうなってしまったら、主人公のように、自分でエベレストに答えを見つけにいくしかなんだろうな。

    圧倒されました。
    20160229

  • 多数巻を平行に読了月間。
    夢枕獏といえば山。その中の山でもエベレストにかけた男羽生、その謎に満ちた人生を追う。

    エベレストの麓の町の古道具屋で、とある古いカメラを見つけた深町。その形になぜか見覚えがあり、買い求めたところ、エベレスト登頂を果たせなかった伝説の登山家、マロリーの物と同一であることを知る。そのカメラの入手先と中にあったはずのフィルムを追うと、謎の日本人登山家、羽生にたどり着く…。

    上下巻の長い話なのに登場人物は限られていることもあるのだが、ストーリーの巧みさについ引き込まれる。前提の部分は若干のダレはあるわけだが、人物や事件にはほとんど無駄なく構成された話と言える。

    相変わらず、あらすじや前提を読まずに読み始めたのだが、「羽生丈二」には、実在のモデル(森田勝)がおり、そのエピソードを追っていることがわかるが、小説家で脚色が入ったとはいっても、相当な波乱万丈の人生をたどっていることは容易に想像がつく。

    上巻では、半ばの半分は日本での聞き取りという形になっており、羽生の軌跡をたどっているが、残り半分のチベットでの事件や日常がこれがまたよくできており、キャラクターのアクの強さも相まって、映画のノベライズのように情景が見えてくるのが面白い。

    上巻だけではまだ始まったばかりというところだが、登山が好きな人でなくても十分に楽しめる作品であろう。

    どうでも良いツッコミ。
    コダックベストは、ベスト版フィルムで、ブローニーではないし、この手の中盤フィルムは、未現像だとだめなんじゃないかなーというのが、カメラマニアからのご意見。

  • エベレスト冬季南西壁単独無酸素登頂を目指す愚直な男が、圧倒的な筆力で描かれている。

    「著者の全てを出し切った」と著者が巻末で書いているように、正に鬼気迫る内容だ。
    一人の登山家の意地、プライド、理想、生きる価値観、山を登ることの意味など、全てを書ききっている。
    また、嘗ては登山家を目指し、挫折して今はそれを追う写真家に、読者は自らを重ねて読むのかもしれない。「自分は一流にはなれなかった。ただせめて、一流を側で見ていたい」と。

    山岳小説と限定せずとも、間違いなく名著である。

  • 名著としか言いようがない。グズな男の恋愛小説としても秀逸。

  • マイベスト3確定の大作。一気呵成の筆力はさすが夢枕貘。

  • 山岳小説だけど、上巻はミステリーや冒険要素もありぐいぐい読ませる。

  • 登山の経験も興味もないけどサクサク読めた。涼子さんが誘拐されちゃった所で上が終わってしまったけどストーリーの雰囲気からして酷いことにはならないような気がする。カメラが本当にマロニーの物なのか、フィルムはあったのか、早く下が読みたい

  • 推理小説を読んでいる様な、先を読まずにはおられない感じ。登山、ネパールにも、興味湧いてきた!

  • 本の分厚さに圧倒されたが、読んでみるとさほどボリュームを感じさせない。映画の宣伝用の番組を見たが、それと対して変わらない。非常に重たいテーマを扱っている割には重みを感じない。下巻もこの調子ならすらすら読める事だろう。

  • 映画化されて気になってきたので、積読していたものをやっと読みました。
    山に対してどこまでもストイックな羽生。
    グイグイ引き込まれました。
    下巻も期待です。

  • 何年も積んでいた本。
    上巻500ページもあるものの、引き込まれて一気に読んでしまいました。

    どうしてそこまで山に魅せられてしまうのでしょうか。
    山の魅力の何と怖い事か。

    空気が薄い、それを想像しただけでも何だか息苦しくなってきます。

    上巻では思っていたより山のシーンが出てこなかったので下巻に期待。

  • 岡田くんの映画に影響されて読んだ!
    この作家さん初めてだけどすごく面白い…
    分厚いけどその分読み応えがあって、下も楽しみ(´∀`=)

  • 願望と現実の違いぐらいは理解できる。”行きたい”ということと、”行く”ということがどれはど違うか 森の中を歩いている時、獣道に迷い込んで、ふいに濃い獣臭を嗅ぐことがある。その男を見た時、深町は、その臭いを嗅いだような気になった マロリーのことば:アルプスで過ごした良き一日は、すぐれた交響曲に似ている 誰も、いちいち、過去の自分の感情にひとつずつ名前を与えながら生きていけるわけでもないし、自分の行動に理由をつけながら生きているわけでもない 

  • 1953年エベレスト初登頂あたりからの登山ブームは、今の山ガールとは違って男のロマンだったことがわかる分厚い上下巻。20年代のイギリス人初登頂の謎にはじまって、どのルートから登るかで意味が違うとか、ネパールとチベットで呼び方が違うとか、じつは登山料金がめっちゃ高いとか、もちろん登山の装備やキャンプやシェルパまで、山登りのうんちく満載でおもしろかった。わざわざ厳しい条件で登りたがるおじさん達が主人公だから、つらい、苦しい、でもやめられない、みたいに熱く描かれる。それはそれで惹き込まれるのだけど、今は設備もグッズも改良されてるし、ちょっと時代遅れ感もあるかも。ちなみに2012年5月に73歳の日本人女性がエベレスト女性最高齢記録を更新したそうだ。タミーズカフェのタミちゃんもびっくり。ところで今ではヒマラヤ山頂でもケータイはつながるのか知りたくなった。

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著者プロフィール

1951年、小田原生まれ。「上弦の月を喰べる獅子」で第10回日本SF大賞を受賞、「神々の山嶺」で第11回柴田練三郎賞を受賞。平成11年4月朝日新聞に「陰陽師(おんみょうじ)」を連載、陰陽道ブームの火付け役となる。著書に「魔獣狩り」シリーズ、「闇狩り師」シリーズなど。

「2019年 『キマイラ20 曼陀羅変』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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