神々の山嶺 下 (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 227
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472233

感想・レビュー・書評

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  • これはしばらく余韻を引きずる事になりそう。

    まるで私も一緒にエヴェレストに登っているかの様に息苦しくなってしまいました。

    あぁ、この人たちはどうして山へ行ってしまうのだろう。

    酸素が薄い中で深町が自分自身へと問い掛けているシーン、とても生々しくて
    思わず「もう良いじゃない」と言ってしまいたくなりました。
    羽生の手記も同様に凄まじいものを見てしまったとガツンとやられました。

    作者があとがきで『書き残したことはありません』
    『全部書いた。全部吐き出した』
    と書いていますが、
    その心ちゃんと受け取りました。と伝えたい。

  • 山岳小説を読むのはほとんど初めて。

    タイトルからしてただ山に登るだけのストーリーかと思っていたが、人間ドラマが濃密に描かれた、人の生きざまを描いた作品。

    ネパールのカトマンドゥ、怪しげな古道具屋で主人公があるカメラを手にとったことで物語は動き出す。

    そのカメラは、かつてエヴェレスト登頂に挑戦して帰ってこなかったイギリスの登山家、ジョージ・マロニーのカメラと同じ型のものだった。

    そのカメラを通して、羽生という山に生きる男と出会い、主人公は羽生に惹かれていく。

    本作品の発刊後、ジョージ・マロニーは遺体で発見されたのだが、カメラは実際見つかっていない。
    マロニーはエベレストの初登頂を果たしたのかどうか。
    そのカメラのフィルムには、真実が写っていると言われている。

    上記のような史実をミステリー要素として組み込み、上下巻のボリュームでもさらさらと読めていく。
    発刊されたのは20年以上前だが、気になることは特にない。

    羽生というキャラクターは実在した日本人の登山家をモデルにしたと言われている。

    カトマンドゥの町の熱気、高山病、標高5000mより上の登山環境、ベースキャンプの様子など、緻密に描かれており、特に高山病の描写(幻覚、幻聴など)は読んでいるこちらまで苦しくなる。

    「エヴェレスト南西壁冬季無酸素単独登攀」、人類が成し遂げたことのないことへ挑戦する羽生と、それをカメラで追う主人公。

    最後に羽生が残した手記が心に刺さる。

    「ありったけのこころでおもえ。想え。」

  • 物凄い熱量を持った小説でした。手記が圧巻。想え。

  • 山の魅力、山の怖さを
    存分に堪能出来る骨太の作品。

    羽生が山に挑む姿には狂気さえ感じる。

    ネタバレしたくないから、書きたい事が書けない(笑)

    とってもボリューミーな本だけど
    山の事だけでなく、複雑に色んな話を描いているので知らなかった事が沢山!!でした。

    とにかく、迫力満点!! 力強く、また悲しいぐらいに山を愛する伝説的クライマーの生涯。

    オススメしたいですm(*_ _)m

  • 圧巻の一言。

  • 圧倒された。
    独白って読むのしんどいんだけど、この作品はすごく効果的だったし、山で一人で登っている感がすごく伝わってよかった。

    こう言う作品って最後が難しいと思うんだけどすごく相応しい最後だった。

    2018.1.10

  • 人が死んだ時、何の途上であったかが重要だ。心に響いた。

  • 「ヒリヒリする山」、8000メートル級の山稜が持つ意味をこれ以上に的確な表現した言葉があるだろうか。マロリーの「Because it's there.」のように、登攀者に余計な言葉は要らない。最善を尽くしても山嶺を望めない、神に愛されているか否かが支配する世界。

    「エヴェレスト南西壁冬季無酸素単独登攀」という人類未踏に挑む羽生と、山に魅せられた者として後を追う深町。一つひとつの文章が躍動的で時に息苦しい。「ヒリヒリした山」が読者に伝染する。画家がキャンパスに命を刻むように、登攀者が山に命を賭けるように、著者は魂を削って本書を描き上げた。

    トレッキング程度の登山しか嗜んだことはない私だがが深町の語る「濃い時間」を味わってみたくさせる。

  • 幻覚や幻聴、雪崩、吹雪、落石、全ての描写にやられる。読書中ずっと、死がすぐ隣にいる。読み終わって山から生還するかのような安堵。

  • 下巻も面白かった!
    クライミングシーンの緊張感に飲み込まれ、更に、幻聴幻覚のリアル感がすごすぎて、手に汗握るどころかこちらまで息が出来ない感じ。
    8000mを超える山に登るということがどういうことか、身を以てしりました。(身を以てないけど)
    こんなリアル体験ができる小説はそうそうないね。圧倒的な迫力に、もう、へとへとです。

    それと、1999年に実際にマロリーの遺体が発見された(!)ので、ストーリーを事実にあわせて変更したとのことで、単行本と文庫本にはラストシーンに違いがあるということがあとがきに書かれていました。
    で、ネットでその違いを調べようとしたらなんと、つい一か月前の日付で「2016年に神々の山嶺、映画化決定!」という記事を発見!
    びっくりしました~、運命感じちゃった。
    実際にエベレストにも行くんだよね?!羽生の役が務まる肉体派俳優ってダレだろう??
    他のキャストも含め、いろいろ楽しみです。

    (何故山に登る?との問いに)
    「そこに山があるからじゃない、ここに、おれがいるからだ」
    ・・・羽生丈二、かっこよすぎる。

  • 山岳小説の傑作。

  • 面白かった。一気読みした。著者の夢枕獏が自ら言うように”ど真ん中”なストーリー。道具を使う登山はやらないのでそのリアリティは想像するにも限界があるが、丁寧に、あるいはねちっこく、登場人物の内面およびその目を通して見る世界が描写されてるので、のめり込んでぐいぐい読める。

  • 山岳小説で外せない一冊に挙げられる事が多いので読了。

  • 圧倒的な濃さで描かれるエベレスト登攀の物語。
    かなりのボリュームの作品ですが、上下巻を一気読みさせられます。

    最初はちょっとミステリーチックに始まるので面白そうと思っていたのですが、実態は超現実的な山岳小説でした。
    そして、それ故に、登山をしない自分としてはちょっとその辺りの熱量、内容の濃さを冗長に感じてしまう所もありました。

    しかし、最後まで読むと、最終章の手記がより一層胸に刺さり、こみ上げるものがあります。そこは流石の一言。

  • 登山に興味のない自分が上・下合わせて1000ページを読み切る事が出来るのか不安だったので、まず上だけ購入し読み始めた。一気に上を読み終え下に突入。誘拐事件解決からラストまでは緊張の連続だった。ただし主人公の自問自答がダラダラと多くて挫折しそうになった。

  • 下巻では、誘拐事件に片が付き、いよいよ、羽生が未踏のエベレスト南西壁単独無酸素登頂に挑む。そして、カメラで追う深町。臨場感が凄い山岳小説に圧倒された。
    羽生の登頂がどうなったかで終わると思いきや、最後はそういう話にもっていくのかと上手さを感じる。

  • 初めての山岳小説。
    登山シーンでは、臨場感あふれる描写が散りばめられ、のめり込むように読んでしまった。
    最近登山にはまっていることもあり、すぐにでも登りたい気持ちにさせる本であった。
    映画化もされているから、是非観てみたい。

  • 読み始めたら、止まらなくなったわ、、すごい、「人には、役割がある」うんー ネパール、ヒマラヤが、近く感じられてきた

  • 映画化されると聞き、映画を見る前に読もうとしたけど、上巻読んで映画見て、やっと読破できた。
    文章は読みやすいけど、山への熱さ、ヒリヒリする感じがものすごく伝わってきて1ページ1ページが重い!良い意味で。
    映画見るとすごーくカットされてる。いや、この原作は映画にするのは難しかっただろうな。読み応えがとてもありました。
    前半の深町の加代子への想いがふらーふらふらーふらしてるかんじがすごく男の人ってこんなかんじなの?!!!!ってもどかしさがあったけど、羽生の生き様がまっすぐでシンプルで。深町もそんな背中見たら憧れるね!って思います。
    最後、深町がエベレスト登頂すると決めたときは、もう羽生の生き方になってたね。涼子が深町を好きになったのも羽生が内にいたからなんじゃないかなぁといろいろ考えながら読んじゃいました。山岳小説読むとは思わなかったよ、岡田くん。山に行かないとわからない。山に登っても人生はわからないこともいっぱいあると思う。でもそんなヒリヒリする体験してみたい。山に登ろう。

  • エベレスト登山の過酷さと人間の限界をギリギリまで追い求める。映画も観たくなった。阿部寛とイメージ合っている。

  • 熱き山男たちの心の叫びと神々しき自然に対峙する姿は、一点の曇りなき5☆。カメラマン深町はカトマンズにて、1924年世界初のエベレスト登山登頂を目指し、頂上付近で行方不明となったマロリーのものと思しきカメラを偶然手にする。が何者かにカメラを盗まれてしまう。そして行方を追う中、孤高の登山家羽生丈二と出会う。日本を捨てカトマンズに滞在し続ける彼の狙いは、何と前人未到のエヴェレスト冬季無酸素単独登攀!?挑戦の行方そして深町が最後に見たものは。。特徴は、発見されたカメラを通じ、エベレストにおける現実の羽生と想像上のマロリーの姿を絶妙に交錯させた事。伝奇小説として有名な作家が己の作風を封印して挑んだ山岳小説の金字塔。人界を超えた山時間を感じる筆致にただただ圧倒~。

  • グッと引き込まれ一気に読破。周りの空気が薄く、息苦しくなるかのような錯覚を感じる。場所は違うが、深海映画「アビス」を観たときも似たような感覚になったことを思い出した。

  • めっちゃ面白い!
    分厚いけど読み終わりすっきり(((^-^)))
    私はハイキング部だからレベルは全然違うけど山の気持ちはわかった!
    また読み返したい!!

  • 常につきまとう死と向き合う。精神的、肉体的な極限状態の中で葛藤する人間の強さに心が震えた。
    エベレスト登頂にドラマティックなエピソードがちりばめられていて、フィクションなのにノンフィクションのようで、面白かった。
    【2015.12】

  • 悪くはないけど…山岳小説の最高峰ってこの程度なのかな?もうひとつワクワクしなかった。何故か。作者あとがきにもあったが要はあれもこれもと詰め込みすぎなのだ。まず、女の部分が必要ない。雑味でしかない。作者の女性観がそうさせているのか、出てくるのはみな都合のいい女ばかりだ。だから女性パートは読んでいて本当にイライラした。尾野真千子だと思うと尚更だ(笑)。カメラ盗難だとかトルコ石だとかグルカ兵だとか、余計な寄り道をしないで羽生と深町の出会いから最後まで真っ直ぐに書けばすっきりしたのでは、と思う。

  • 上巻を読み終えてから、半年以上ブランクがあって今やっと下巻を読み終えた。途中から、高山病に侵された深町が色々な事を頭で考え、自問自答して苦しむシーンが続いたが、感情移入してすごく苦しかった。まるで深町の隣に自分もいて、地上の何分の一かの薄い酸素の中で喘いでるみたいに苦しかった。この小説は山岳小説だけれど、それにオーバーラップさせる様に、人は何故生きるのか?あなたは自分の人生をどう生きたいのか?という事を問われている小説だった。そして、筆者の綿密なまでの描写に本当にのめり込む様にして読んだ。辛かったけど、すごく良い作品。個人的には大好きだ。来年は映画も公開されるとの事なので今から、楽しみだ。余談で、この小説読みながら蜂蜜たっぷりな紅茶を何度飲んだか(笑)

  • 下巻はひたすら山に登ってるシーンが多い。静寂の中に聳え立つエヴェレストの存在感に圧倒されます!まさに神々という名がぴったりです!
    「何故山に登るのか?」明確な答えは出なかったが、なんとなく分かった気がする!
    最後はとても感動しました。
    撮影が心配だが、映画楽しみにしてます!!

  • ひたすらエベレスト登頂のシーンが続いて、それがすっごくリアルだった。
    極限の状態で自分と向き合う主人公たちから「自分も頑張らなくては!」というパワーをいただけたような気がします。
    ぬくぬくと生きているのがはずかしい…ってね(笑)

    とにかく1つのことを追い求めて行く羽生丈二の姿勢は、困った性格でもあるんだけれど、考えさせられるものがありました。
    また、気分がダレたときには、この小説を読んで自分に喝を入れたいと思います。

  • 【最終レビュー】

    図書館貸出。

    (上)の最終レビューのラストからの「続き」

    〈(上・下)計…1,047P〉

    つい先程、全ページ読み切りました。

    週末2日間。かなりのページを読み進めてたので、その分、今日は残り『数十ページ』あっという間でした。

    〈読み切った!という『爽快感』〉

    読み終わった直後の『自分の中での「率直な心地よさ」』そのものです。

    ■特に(下)の[核]になっていたのは

    〈『自分の「内部」への「旅」』を基に〉

    エベレスト登山に関する『初心者の基本ルール・セオリー・持参物のポイント・山の儀式』

    ネパール独特の『仏教に対する深い祈祷にこだわった「文化」』

    山の急変時の瞬発力ある行動・判断力

    現地の女性の装い・振る舞いから伝わってくる『謙虚で品格のある姿』

    山に生きる現地人の男たちの『内側にある「クールな中」に秘めた「熱い想い」』

    謎のカメラの真相

    [何故、山に登るのか]

    という、私達読者への『問いかけ』ともいえる『答え』を、深町と羽生の姿を通じて、確かめさせるかのように書かれていた『鋭い描写』

    想像を絶する

    〈並大抵以上のメンタル・体力・気力+心理面との『葛藤』〉

    こういった登場人物・一人一人の姿を通じて

    今、日本人として、どう『生きていくか』

    イメージ・雰囲気的には頭の中では思い描かれるものの、これらを、映画化を通じて、どうこの膨大なページを切り取りつつ描いていくのか、全く想像がつきませんし分かりません。

    『単なるエベレストという「一言」では、決して一括りにできないということ』を…

    〈ネパールという『国柄の文化・歴史・土地柄・生活観・人間性』〉

    〈エベレストの周りにそびえ立っ壮大な山々の、それぞれの独特の『姿』〉

    も同時に、並行して詳細に書かれたので、この著書を通じて

    〈また、一つ二つと『数々の「新たな収穫」〉

    を得ることができました。

    《足掛け・三年以上に渡る執筆期間》

    《会心作の一言》

    ただただ、これに尽きます。

  • 羽生丈二の登頂なるか、の話と思いきや。。。 感動しました。山岳小説は面白い。

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著者プロフィール

1951年、小田原生まれ。「上弦の月を喰べる獅子」で第10回日本SF大賞を受賞、「神々の山嶺」で第11回柴田練三郎賞を受賞。平成11年4月朝日新聞に「陰陽師(おんみょうじ)」を連載、陰陽道ブームの火付け役となる。著書に「魔獣狩り」シリーズ、「闇狩り師」シリーズなど。

「2019年 『キマイラ20 曼陀羅変』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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