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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784087472301
作品紹介・あらすじ
北海道でヒグマに襲われた動物写真家・吉本を救ったのは、クマを自在に操る能力を持つ謎の女だった…。野生のヒグマと人間の壮絶な戦いを描く、第10回小説すばる新人賞受賞作。(解説・阿刀田高)
みんなの感想まとめ
自然と人間の関係を深く掘り下げた物語が展開され、主人公の吉本は北海道での取材中にヒグマに襲われ、謎の女に救われる。彼女はヒグマを操る能力を持ち、吉本は彼女と共にヒグマの研究に取り組むことになる。作品は...
感想・レビュー・書評
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大好きな熊谷達也さんのデビュー作。
ものたりなーい!もっとよみたーい!
主人公の吉本は、北海道取材中にクマに襲われ、謎の女に助けられる。謎の女は吉本とクマの間に現れ、催眠術をかけるかのようにクマを追い返してしまった。彼女はヒグマの研究をする学者で、彼女たちの活動に吉本はカメラマンとして同行することとなり…。ヒグマはどうしてウィンカムイになってしまったのか。人間が自然に与えた影響とは何なのかを考える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
熊が人の世界に現れる。
いま、とても身近な話題。
熊谷達也のデビュー作で1997年のすばる新人賞受賞作。
本当は「邂逅の森」を読むべきと思ったけど、ある意味原点では?として、短い方を選んでしまった。
短い中にも、「自然」というものに対する人間の感覚の過ちを露わにしており、ひとつ腹に落ちる物語。 -
熊谷さんはやっぱり浸かっていると思う一作だった。熊に対する並々ならぬ執着心と山の神に対する畏怖。ここぞとばかりに散りばめられている。
前半よりも後半の方がよめてしまうのと、カムイとの対峙にはもう少し余韻を持たせて欲しかったなどと思ってしまった。山で暮らす人達に魅入られた想いは十二分にも伝わった気がする。 -
熊と人間
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<素>
仙台在住作家 熊谷達也デビュー作。づっと読みたかった本。何度か読むチャンスがあってテチテチと近寄っていったもののあと少しのところで今まで読めずに来てしまった。本を手に取ってまづ思ったこと。存外短い作品なのだなぁ。シンプルに面白いなぁ。であった。 そんでこの文庫版,阿刀田高の解説が何故かちょっとイカしているのな。ホント何故かね。(実は僕はこの頃から既に偉そうな発言が目立つ この あとうだ爺い が大嫌いなのだ。あとうだ もしかするとまだ生きてたりするのかなぁ,あとうだw)
以下私的体験談。4年くらい前に知床で遊覧船に乗って半島をめぐってなんと幸運にも海岸をうろつく野生の熊を海から見ることが出来た。しかし そして その遊覧船は件の沈んでしまった遊覧船と同じ航路をたどる同じ仲間の船なのであった(のはむろん後から分かった事なのだが)亡くなった方々に合掌。 -
インドア派のくせに(だからこそ?)冒険小説はわりと好きです。
観光客が野生のヒグマに食べ残しの弁当を与えたり、写真を撮りたいがため不用意に近寄り無知がゆえに危険な目にもあい
地元の人々へ結果的に迷惑をかけるんですよね。人間馴れしたクマほど恐ろしいものはない。
自然を満喫したい、野生動物が見たいっていう人はこれを読み予習してから北海道へ、と言いたい。 -
巻末の参考文献を見てもそうだがこの人はきっと色々な資料調査や取材等をキッチリしているのだろう。羆に関する生態や保護研究の実態等の情報を作品内に分かり易い様丁寧に描いている。これ迄にクマ本を色々と読んできた為、どうしても羆の残虐性や怖さを期待してしまうのだが、本作品はあまりそこに重点を置いて無いのでパンチ力の弱さは否めない。しかしストーリーの全体構成はそれなりに纏まっておりクマ本入門書としてみれば非常に読み易い作品ではなかろうか。
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すばる文学新人賞を受賞した熊谷達也のデビュー作。
マタギ3部作の1作目である『相剋の森』に繋がる前段の話。
200ページ足らずだが構成も面白く、あっと言う間に読める。
『相剋の森』や『邂逅の森』と比べると、かなり荒削りな感じはするが、それはマタギ3部作があまりに凄すぎる所以だろう。
2013.11.28読了 -
「ヒグマと人間」は私の好きなテーマ。つまりは人間にとっての神、人間にとっての恐れるべき存在というもの。ただつくりとしては単調。新人っぽいともいえるが。「邂逅の森」を書いた重厚な熊谷達也とは思えないほどの軽さ。もうちょっと主人公及び准教授の内面を描くべきだ。一方でどうでもいい大学生たちの描写が細かかったり。
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著者名が記されていなければ『山背郷』と同じ作家だとはわからなかっただろう。直木賞作家・熊谷達也氏の処女作。ストーリー展開等さほど気に掛けず、東北という風土の断面を無作為に抜き取って、無造作に並べた様な構成であるにも拘わらず、限りなく魅力的であった『山背郷』に比べ、本作は全く以て普通の文体である。まあ、その分、非常に読み易く数時間で読み終えた。羆版『サンダ対ガイラ』みたいな話。古く遡れば『海彦山彦』のテーマか?二本足で立ち上がって咆哮する、ウェンカムイらしい金毛羆を描いたイラスト(写真?)が結構お気に入り。
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第10回小説すばる新人賞受賞作にして、『邂逅の森』で直木賞を受賞した熊谷達也氏のデビュー作。
マタギ系の古風な狩猟モノではなく、現代風のクマ小説。
登場人物の描写が甘いのと、展開が早過ぎ&終盤がアッサリし過ぎの感もありつつ、良い意味でサラッと読める。
巻末の阿刀田高の解説が、かなりの上から目線。 -
再読。
吉村昭を思わせる(記録文学的な吉村さんよりずっと物語よりですが)動物文学です。
かなり綿密な調査を行った物だと思います。熊との遭遇シーンなど、リアリティも迫力もあります。戸川幸夫さんに嵌り、吉村さんのマタギものを大好きだった私からして、熊谷さんの登場は喜ぶべきものでした。
「面白かった」と言う記憶があって再読したのですが、意外に粗さが目立つ。改めて調べてみたら前回の感想も「もう少し・・・」でした。
設定や登場人物が魅力的なだけに残念です。
熊谷さんはどうもばらつきの大きな作家さんですね。
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05-071 2005/07/16 ☆☆☆
熊谷さんのデビュー作。 羆との遭遇シーンなど、迫力があります。そこだけ取り上げれば、吉村昭と比較しても遜色が無いほどではないでしょうか。しかし、さすがに荒さが目立つような気がします。ストーリーそのものは面白いのですが、人物造形がやや甘いのでしょうか。準主役の老猟師など、もう少し上手く書き込めば、もっと迫力ある作品になったのではないかと。 -
熊谷達也のデビュー作です。
アイヌの人々は善い羆のことを山の神『キムンカムイ』いい、性悪の羆を『ウエンヤップ』という。そして人間を食ってしまった羆のことを、真の悪神『ウエンカムイ』と呼ぶ…
北海道で撮影旅行中だった動物写真家・吉本は、ある日巨大な羆と遭遇してしてしまう。しかし今まさに襲われそうになったとき、彼はひとりの女性に救われた。その女性はまるで羆を魔法にでもかけたかのように自在に操り、山へと導いた。
なぜそんなことが出来るのか。彼女は何者なのか。
一方でそれとは別の羆が、キャンプ旅行中の学生たちを襲い3人を惨殺してしまう。一度人間の味を覚えた熊は警戒心より、人肉への嗜好のほうが勝ってしまい再び襲う。『ウエンカムイ』だ。
羆の生態や、北海道の生態系が直面している自然破壊、そして羆を保護する調査研究の実態や、駆除か放逐かを分ける法律的基準など、羆に関するあらゆる情報が詰め込まれているし、羆から身を守るための様々な防御法なども詳しい。通勤の行きと帰りの電車の中で読みおわってしまうほど薄い本なのに内容は非情に濃い。
羆の恐怖という点では吉村昭『羆嵐』には及ばないし、ラストが意外とあっさりだったので物足りなさもありますが、いろいろと勉強になるので、自然保護とか動物の生態に興味がある人にはとくにオススメします。 -
北海道の山に登る予習も兼ねて読んでみた。”野生と人間の壮絶な闘いを通して、生命の尊厳と自立を描いた傑作”との紹介文は大げさだが、ストーリーは面白かったし、熊の生態やアイヌ文化に関していろいろ勉強になった。いろんな要素を盛り込みすぎたせいでテーマが薄まっている点、科白のやりとりや人物設定にリアリティに欠ける点は多少あったものの、別の著書を読んでみたいと思った。今度は、東北の山に行くときに『漂泊の牙』を持っていこうかな。
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熊谷達也ならではの野生の描き方。
人を喰ってしまう悪い熊『ウエンカムイ』は、自然への畏敬の念を忘れている現代人に警鐘を鳴らす存在なのではないでしょうか?決して説教臭い作品ではないけれど、根底にはそんな思いが込められているような気がします。 -
野生のヒグマの話
ではない
アイヌ語(アイヌ文化)が
あまりにも適当に描写されている
のが気になるが
入門編としてはあり
なのか
な・・・ -
熊にもいい熊、悪い熊がいるらしい。
アイヌの言葉で、いい熊は「キムンカムイ(山の神)」悪い熊は「ウエンカムイ(悪神)」。
たとえいい熊だとしても、山の中でばったり出会ったら、怖いはず。熊は熊。
それもでかいヒグマならなおさら。
都会で生活しているとそんなシチュエーションは想像しにくいけれど、この「ウエンカムイの爪」を読むと、熊の息遣いを耳元に感じるような気がします。
駆け出しのフォトグラファー吉本は、北大の熊の研究チームのフィールド調査を取材する。
自然と対峙する世界へ踏み出した吉本と、金色に輝く毛並みの巨大な熊「カムイ」との出会い。
日本最大の野生動物であるヒグマを取り巻く自然環境の変化と人間社会との関わり。
自然と人間とがどのように関わっていくべきかを問いかけながら、シンプルかつ力強く、ヒグマとの緊張感あふれる対決を描いています。
子供の頃に「シートン動物記」を読んだときのドキドキ感を思い出しました。
この「ウエンカムイの爪」は熊谷達也のデビュー作。
文庫本はとても薄くて、すぐ読めちゃうのですが、「俺はこういう小説を書くんだ!」という作家自身の宣言のような小説です。 -
熊谷達也様の光り輝く処女作。わたしは森三部作が大好きで、とりわけ「邂逅の森」には白目になるくらい夢中になったからか、後の小説の中で下敷きになるだろうこの「ウエンカムイ」も十分おもしろかったが、やはりここから進化した「森」が断然よい。文庫版の解説を選考委員だった縁で阿刀田高が書いていて、作中の登場人物について「いまどきこんなアホな大学生いるだろうか」と不思議がっていて、笑えた。
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アイヌの言葉で、カムイとは神のこと。人間を食ってしまう悪いクマのことをウエンカムイというらしい。ヒグマと共存してきたアイヌたちとは違い、現代人たちは、ヒグマの生息地を荒らし、生活圏を分断している。中途半端な環境問題を描くのではなくて、もっとリアルにこの本は心にせまってくる。作者は人よりもクマの方に親近感感じてるんじゃないかと思うくらい。初期の作品ということで、人物の描き方などは荒い気もするが、でも、そうした欠点以上に内容がおもしろい。でも、クマに襲われる大学生たちはバカすぎてちょっとどうかと思うけどね・・・
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ひょんなことから、マタギや熊文学の話になり、夫が実家の自分の本棚からごっそりその手の本を持ち出してきた。
しばらく続きそう。
薄い本だけど、ヒグマとの緊迫感漂うシーンは、臨場感抜群。
ラストには切なさも残してくれる。
これが新人賞だったのだからスゴイ。
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