ウエンカムイの爪 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.32
  • (9)
  • (35)
  • (68)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 325
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472301

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大好きな熊谷達也さんのデビュー作。
    ものたりなーい!もっとよみたーい!

    主人公の吉本は、北海道取材中にクマに襲われ、謎の女に助けられる。謎の女は吉本とクマの間に現れ、催眠術をかけるかのようにクマを追い返してしまった。彼女はヒグマの研究をする学者で、彼女たちの活動に吉本はカメラマンとして同行することとなり…。ヒグマはどうしてウィンカムイになってしまったのか。人間が自然に与えた影響とは何なのかを考える。


  • 熊が人の世界に現れる。
    いま、とても身近な話題。

    熊谷達也のデビュー作で1997年のすばる新人賞受賞作。

    本当は「邂逅の森」を読むべきと思ったけど、ある意味原点では?として、短い方を選んでしまった。

    短い中にも、「自然」というものに対する人間の感覚の過ちを露わにしており、ひとつ腹に落ちる物語。

  • 熊谷さんはやっぱり浸かっていると思う一作だった。熊に対する並々ならぬ執着心と山の神に対する畏怖。ここぞとばかりに散りばめられている。
    前半よりも後半の方がよめてしまうのと、カムイとの対峙にはもう少し余韻を持たせて欲しかったなどと思ってしまった。山で暮らす人達に魅入られた想いは十二分にも伝わった気がする。

  • 熊と人間

  • <素>
    仙台在住作家 熊谷達也デビュー作。づっと読みたかった本。何度か読むチャンスがあってテチテチと近寄っていったもののあと少しのところで今まで読めずに来てしまった。本を手に取ってまづ思ったこと。存外短い作品なのだなぁ。シンプルに面白いなぁ。であった。 そんでこの文庫版,阿刀田高の解説が何故かちょっとイカしているのな。ホント何故かね。(実は僕はこの頃から既に偉そうな発言が目立つ この あとうだ爺い が大嫌いなのだ。あとうだ もしかするとまだ生きてたりするのかなぁ,あとうだw)

    以下私的体験談。4年くらい前に知床で遊覧船に乗って半島をめぐってなんと幸運にも海岸をうろつく野生の熊を海から見ることが出来た。しかし そして その遊覧船は件の沈んでしまった遊覧船と同じ航路をたどる同じ仲間の船なのであった(のはむろん後から分かった事なのだが)亡くなった方々に合掌。

  • インドア派のくせに(だからこそ?)冒険小説はわりと好きです。

    観光客が野生のヒグマに食べ残しの弁当を与えたり、写真を撮りたいがため不用意に近寄り無知がゆえに危険な目にもあい
    地元の人々へ結果的に迷惑をかけるんですよね。人間馴れしたクマほど恐ろしいものはない。
    自然を満喫したい、野生動物が見たいっていう人はこれを読み予習してから北海道へ、と言いたい。

  • 巻末の参考文献を見てもそうだがこの人はきっと色々な資料調査や取材等をキッチリしているのだろう。羆に関する生態や保護研究の実態等の情報を作品内に分かり易い様丁寧に描いている。これ迄にクマ本を色々と読んできた為、どうしても羆の残虐性や怖さを期待してしまうのだが、本作品はあまりそこに重点を置いて無いのでパンチ力の弱さは否めない。しかしストーリーの全体構成はそれなりに纏まっておりクマ本入門書としてみれば非常に読み易い作品ではなかろうか。

  • すばる文学新人賞を受賞した熊谷達也のデビュー作。

    マタギ3部作の1作目である『相剋の森』に繋がる前段の話。
    200ページ足らずだが構成も面白く、あっと言う間に読める。

    『相剋の森』や『邂逅の森』と比べると、かなり荒削りな感じはするが、それはマタギ3部作があまりに凄すぎる所以だろう。

    2013.11.28読了

  • 「ヒグマと人間」は私の好きなテーマ。つまりは人間にとっての神、人間にとっての恐れるべき存在というもの。ただつくりとしては単調。新人っぽいともいえるが。「邂逅の森」を書いた重厚な熊谷達也とは思えないほどの軽さ。もうちょっと主人公及び准教授の内面を描くべきだ。一方でどうでもいい大学生たちの描写が細かかったり。

  • 著者名が記されていなければ『山背郷』と同じ作家だとはわからなかっただろう。直木賞作家・熊谷達也氏の処女作。ストーリー展開等さほど気に掛けず、東北という風土の断面を無作為に抜き取って、無造作に並べた様な構成であるにも拘わらず、限りなく魅力的であった『山背郷』に比べ、本作は全く以て普通の文体である。まあ、その分、非常に読み易く数時間で読み終えた。羆版『サンダ対ガイラ』みたいな話。古く遡れば『海彦山彦』のテーマか?二本足で立ち上がって咆哮する、ウェンカムイらしい金毛羆を描いたイラスト(写真?)が結構お気に入り。

全43件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

熊谷達也の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
熊谷 達也
宮部みゆき
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×