快楽の伏流 鑑定医シャルル (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472387

感想・レビュー・書評

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  • 厳格な祖母が取り仕切る名門一家が
    希望と絶望の間を揺れながら
    少しずつ悲鳴をあげ軋むように崩壊していく。

    あまりに残酷で凄惨な事件と、
    情熱的で鮮やかに展開する官能の世界。
    今まで自分がふれてきたひとみさんの世界との
    違いに驚きつつ、見事な表現に感嘆!

    環境的要因で捻じれ壊れた心が
    生み出していく世界が深く暗く恐ろしい。

    シャルルの目を通して知る精神の深みを
    いろんな角度から見ながら、いつの日か
    幸せに包まれるシャルルを読めたらいいのにな。
    鑑定医シャルルもぜひぜひ続刊してほしい!!

  • 藤本ひとみの『鑑定医シャルル』シリーズは3作出ていて、この本がその3冊目です。

    シリーズの前2作は出版された当時、単行本の頃に買って読んでいましたが、しばらく藤本作品から遠ざかっていて、3作目をまだ読んでいなかったのはブログの2013/2/24の記事 のコメント返しでちょっと触れている通りです。


    出てるとわかったら読んでみたくなるのが人情。なにかしらの折に書店などでちょっと気にして見たりしていましたが、最近古本店で見つけてラッキーでした。


    買ってすぐに読み始めましたが、内容はというとかなりえげつない物語で。。。(^_^;)

    シリーズ通してそんな感じなんですが、平たく言えば、『猟奇的連続殺人事件を追う女性検事代理と若き天才医師』。殺人現場のグロさもさることながら、物語のベースになっている家族の人格支配、これがまた言葉巧みで逃れられないえげつなさ。

    面白いからお勧めしたいんだけど、あまりのひどさに勧めるのがためらわれる、そんな本です。あああ。(ノ_・。)


    文庫本の巻末に掲載されている対談にもありますが、この本の単行本が出版される頃に起こった現実の殺人事件と類似点があったために、オビに注意書きを載せるようなご苦労もあったのだとか。

    抑圧された感情のはけ口が猟奇殺人に向かう少年犯罪は年々増えているような気がして、真面目に読み過ぎると落ち込んじゃいますね。


    藤本作品なのでミステリーだと思い込んで読み始めたら、あまりにも最初から犯人が分かっていて、「おや珍しい、サスペンスかしら」と思い分かり切った犯人を追いかけながらも面白くてどんどん読み進めていたら、なんと最後の最後に黒幕発覚。真打登場ー! ヤラレタ。


    さすが藤本ワールド。

    皮肉たっぷりのシャルルのキャラにハマりますよー(*^.^*)




    ところでこの『若き天才医師シャルル』。

    藤本作品の中ではかなり定番キャラなんですが、初出は集英社コバルトシリーズの『漫画家マリナ』だったと思うんですよね。


    日本人の売れない貧乏漫画家マリナがいろんな事件に出くわして、美少年の登場人物たちと事件を解決していくという、完全に女子向けのシリーズなんですがミステリーとしての質はかなりハイレベル! と、高校生だった私は思ってました。

    このシリーズの3作目だか4作目あたりからシャルルは登場していて、結局その後最後までレギュラーキャラとして登場してたんじゃないかと思います。


    当時から口が悪くて皮肉屋で、相手をバッサリ切って捨てるような物言いが気持ち良かったんですが(笑)、実はかなり深い心の闇を抱えてて、母性キャラに弱いんです。

    だからシャルルが登場する物語には必ずと言っていいほど母性キャラが登場しますね。そういうキャラだけが心の闇に入り込めるんだと思います。


    なんて、こんなこと書いてたらまた『漫画家マリナ』シリーズ読みたくなってきましたよ!

    いやもう、さすがにもう・・・買わないだろうけどさ。


    『鑑定医シャルル』前2作は押入れにしまってあるので、また機会があったら出して読み直して見たいと思います。

    面白いんだよー!

  • 最後の最後で、最初の心の声が誰のものかはっきりと分かる.
    心理学でこんなにも鮮やかに行動を推し量ることが可能なのだろうかと思う.
    殺人の状況が私から見ると非常に変質的と感じられるので、記憶に残りそうな印象.

  • 鑑定医シャルルの第三作目。シリーズの中では一番残虐な事件とその背景になるので、読み終えた後に鬱々とした気分になってしまうかもしれません。
    第一作同様、犯人の独白シーンなどがあり、途中で誰が犯人か、を思わせる文章があります。しかしその背景には……というのが今回の書かれ方です。
    前作と今回の共通点は、家庭の在り方、母親の存在、です。今回はそこに加え、子供をどのような育て方をするか、子供がどのように育てられてきたか、が事件の背景に深く影響してきます。
    この作品を書かれた時期に、日本中が大騒ぎになった殺人事件があり、その殺害後の行動について作品内と類似する点があるから、と文章を削除したり書き換えたりと苦労された部分もあるそうです。だからこそ、家族間の人間関係について重要視した作品を書き上げられたのではないかと思います。
    今回も難解な専門用語と精神疾患が描かれており、理解しながら読むには少々時間がかかるかと。

    三作品は事件の発生場所も状況も違うので、一話ごとにヒロインとなるべき女性、もしくはそれに近しい女性が代わる代わる登場するのは仕方ないですが、それぞれにあっさりと心を開いてしまうのは、やはりシャルルらしいとは思えません。人間嫌い、という設定の割には、ちょっとしたことですぐ自分の心の闇を人に打ち明けるのはどうなんだろう……。

  •  マリナシリーズで出てきたシャルルの話。以前はコバルトだったからか、そしてこの話のシャルルが青年になったためか、それなりに大人らしい描写があります。10代向けではないでしょうからね。ですが、ミステリーですので、シャルルの分析話が面白い。そして相変わらずの彼の傲岸不遜振りも。マリナシリーズでの恋も多少引きずっている部分もあるようで、いい男になったなぁと思いました。

  • 鑑定医シャルル#3

    【2017.07.19再読】

  • シャルルってだけで、最高です。

  • 鑑定医シャルルシリーズ。
    一気に読みましたとさ。

  • 三冊の中では一番グロイのかも。
    にしても、シリーズを通して思うのは、シャルルが意外と惚れっぽいということ。

  • すごくグロイ部分がありました。相変わらずの藤本ひとみ色ある作品だったと思います。シリーズものだって知らなかったので他のものも読んでみたい。

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著者プロフィール

藤本 ひとみ(ふじもと ひとみ)
1951年、長野県生まれの作家。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。
国家公務員として厚生省に勤務し、その後は地方公務員に。兼業で少年・少女漫画の原作を手がけて、1984年集英社第4回コバルト・ノベル大賞を受賞。1992年に西洋史、犯罪を主題とした小説を描き始める。『侯爵サド』『ジャンヌダルク暗殺』で第19回および第23回吉川英治文学新人賞の最終候補。
ほかの代表作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』など多数。

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