光の帝国 常野物語 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.79
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  • (1534)
  • (2005)
  • (155)
  • (35)
本棚登録 : 10459
レビュー : 1278
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472424

作品紹介・あらすじ

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから-「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。

感想・レビュー・書評

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  • 200年以上という長寿を生き、遥か遠くを見渡せる
    目や耳を持ち、未来を予知し、記憶と想いを保存する。
    大多数の人達と異なる能力を持つ常野の人々。

    異形のものは憂惧され淘汰される民主主義の国で
    散り散りになった常野の人たちは
    長い長い時間の川を越え、
    幽かな光の元に集まり始める。

    等しくきらめく生命の海。
    大きな営みの中に生かされていることを
    忘れてしまった私たち。

    星と夜明けを夢見ながら、
    全ては全てありのままに平行し
    存在していくための常野の人達の運命と戦い。
    光の生まれた場所が心穏やかに
    手を繋ぎ暮らせる場所であるよう
    祈りながら続きの常野の世界へ。

  • 1話目の「大きな引き出し」からもってかれて1冊通して心地の良い緊張感があった。
    優しくて品のある世界観が素敵過ぎて本を(常野の人たち)をぎゅっと抱きしめたい気持ちになった。
    全貌が詳しく書かれていないのと、一つ一つの話が複雑に絡み合って、、みたいな感じではないから色んな解釈ができて、それが尚この世界観を美しく作ってる気がした。
    めちゃめちゃよかった!

  • ただ人として生きていたいだけなのに、世界はそれを許してくれない。そんな痛みを抱えながら息をひそめている人たちは現実世界にもいるはず。イジメとか、妬みとか、虐待とか。なんて哀しい世の中だろう。こんな世の中おかしい。そう思うのだけれど、思うだけじゃ何にも変わらない。それは分かっているのだけれど。
    常野の人々はそれぞれの不思議な能力を持っているために辛い道を歩んできた。それでも、彼らは穏やかで知的で、ひっそりとふつうの人々の中に埋もれて暮らしている。心根の優しく強い人たち。
    彼らにも親はいて祖父母がいて、その先に沢山の祖先がいる。赤い血が流れ、温かい涙が頬を伝わる。愛の言葉を伝えあい、友情を深める。そう人なのだ。彼らの紡いできた歴史を、誰が否定する事が出来ると言えるのだろうか。人としてただ生きていくことを許さないと言えるのだろうか。
    人数が多いほうが正しいとか偉いとか、人と違うことをするから変わってるとか、わたしは人を否定するようなことは絶対しない。そう誓った。

  • 不思議な常野一族にまつわる連作。
    春のきらめく海のようであったり、夜の激しい時化のようであったり。
    それぞれに違う色合いや温度を見せつつ、それでいて全体を通すと、常野という1本のまとまった波がうねっているよう。
    過去の話をしても遠いお伽話でなく、ごく自然に現在につながっている感じがした。
    宿命、ルーツ、優しさ哀しさ、怖ろしさとあたたかさ。
    これだけでも十分おもしろかったけれど、まだまだ話は広がりそう。
    シリーズ化されているようなので、そのうちに。

  • 予想以上によかった!
    いろんなところで涙がこぼれそうになりました
    ツル先生や亜希子の両親の話など、熱い文章では
    ないんですが、そこがまた頭にすっと染みこんで
    いくようで素直に没頭できました

    基本的に恩田陸さんの「人」に対する目は
    暖かだと思います
    その暖かさと透明感とそして根底にある寂しさと。

    遠野物語がベースにあるようですが、それよりは
    土着的でなく恐怖感もなく、東北地方独特の
    雄大な山々に吹き抜ける風のようなさわやかさを
    感じます

    続編があるようですので、それを読むのが楽しみです

  • 2019.06.02 再読
    不思議な力を持つ常野一族に関する短編集。1度読んだ時にも、あまり印象に残らなかった。再読してみたけれど、断片的な印象で入り込めなかった。

  •  まず、連作短編集という形式が好きなので、のめり込むには早かった。どの部分がどう繋がっているのか、考えるだけでも昂るのに、気がつけた時はなおさらだ。
     「常野」という言葉の由来「権力を持たず、群れず、常に在野の存在であれ」が心に残っている。えてして人智を超越した能力を得た人々は、その力に奢り、振りかざしそうなものであるが、人間よりも人間らしく、慎ましく生きていることに、魅力を感じた。そんな常野一族が表題作である光の帝国で、能力を持たない人間たちに研究対象として蹂躙されるのはなんだかやるせなかった。
     個人的には「歴史の時間」「黒い塔」の二作の繋がりが気に入っている。シリーズ作品も手に取ってみたい。

  • ファンタジーとして気構えずに読めるけれど、描写の精緻さがコミカルまで落とさず現実との地続きを感じさせ、ところどころゾッとする。面白かった。

  • 『きみが見つける物語 スクール編』というアンソロに冒頭の『大きな引き出し』が載っていて、雰囲気だけは知っていました。
    あらすじを見ると超能力者たちがどうのと書いてあるし、タイトルからするとスターウォーズみたいなSFを予見させるんですけど、和風の、ほっこりかつずっしりする話でした。

    表題作の『光の帝国』は、中でも重厚感があってとても良かった。戦争の悲惨な感じ、その頃の人が抱えている闇がこれでもかと書かれていました。
    だいたい和のテイストなんですけど、『オセロ・ゲーム』と『歴史の時間』は、何というか西洋のSF感。理系を駆使した感じがするというか(理系のワードなんてちっとも出てこないんですけど)。
    オセロ・ゲームの方は完璧にサイキックバトルですね。ここに出てくる人たちだけの続編があるようなので機会があれば読んでみたい。
    歴史の時間は、宇宙が誕生してから云々…みたいな悠久の時間を感じさせる不思議な話。亜希子の話は、あとに出てくる『黒い塔』に続きます。

    短い話が集まって一つの話になっているのでとても読みやすい。それぞれの断片が合わさり、ぴったりするのは、伊坂幸太郎みたいなあの感じというか。
    その、合わさってくるところに唸らされます。

  • 幻想的で夢を見ているような気分のお話もあれば、ドキドキハラハラして涙が出そうになるものもあった。
    少し暗い雰囲気が漂う感じもする。

    個人的に連作短編という構成が好きなので、
    「あ、この人は前回こういう事をやっていた人だなあ」と親しみを持ちつつ読むことができるのももうひとつの楽しみ。
    ストーリー、穏やかなんだけれど時に恐怖、でも最終的に優しさに溢れている。

    (物語最後の方、涙が溢れそうになって慌てた;)

    読んでいる途中で調べてみたら、常野物語はこの作品だけにとどまらず、他にも2冊出ているようで。
    確かにこの一族の物語はこれで終われない気がした。
    まだまだこれからあれらの話の続きが気になる。

    ※久美沙織の解説で、なんだかハッと目が覚めた感じ(笑)

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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