誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.94
  • (58)
  • (47)
  • (65)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 414
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472455

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ドラガン・ストイコビッチ。彼が日本でプレーしたこと自体が、引退した今でさえ信じられない。政治に翻弄された彼の選手人生がこの本を読むとよくわかる。良本。

  • ストイコビッチが大好きだから、大昔に読んだ。
    未だに家の本棚の一番手前に置いてある。
    彼が如何に優れたプレイヤーであるのかを知ることができると同時に、
    各個人のアイデンティティー形成に国家・文化がどのように影響を与えているのかを知ることができる良書。
    今思えば、民族紛争などに興味を持ったのもピクシーの影響を受けているからなのかもしれない。

    著者の木村さんも、丁寧に取材をしていて素晴らしい。

  • 初めて生で観戦したJリーグの試合に出場していた。
    一人別次元だった。その当時、彼が誰か把握できていなかったけど、思い出すのはピクシーのプレーばっかりだ。
    この本を読んでピクシーは様々なものを背負いながらもあんなプレーを見せてくれていたんだなと…。
    戦争なくなれ。

  • ワールドカップやオリンピックが近づくといつも読み返したくなる本。

    少しでもユーゴ紛争のことか、ストイコビッチのことを知っている人であれば、まえがきの
     -ワールドカップは誰のために戦いますか?
      「祖国のために」 
    これだけで良い作品だと感じてもらえるはず。

    あと作品を読みながら思い出すのは、深夜にかじりついて見てたEURO2000の中継。3点ビハインドを追いついたスロベニア戦でのユーゴスラビア!ユーゴスラビア!の大合唱。祖国を追われた移民の母国への純粋な想いと、ユーゴスラビア紛争により敵となったかつての同胞への異常なまでの敵意の爆発。
    youtubeなどで探せば動画も見つかると思いますので、作品と合わせて観るのも良いのではないでしょうか。

  • 「ストイコビッチ戦記」というサブタイトルが思い浮んだ。

    ストイコビッチがベンゲル監督の名古屋グランパスで活躍していたころは、現在ほどJリーグを見ていなかった。
    博多の森にも来ていたんだろうな。彼を見逃すとは、なんて惜しいことをしたものだ。

    われわれがピッチ上のサッカー選手を見るとき、そこで動いているのはわれわれの操り人形ではなくて、一人の人間であるということ、われわれと同じ感情と個々の歴史を背負った一人の人間であるということ、そのことをついつい忘れてしまってはいないか。

    私は試合に敗れて怒るが、彼は怒らないかのように。
    私は傷つくが、彼は傷つかないかのように。
    これだけわれわれから応援されて、しかも大金を貰っているのだから、批判され罵倒され屈辱されるのが当然であるかのように。

    ストイコビッチの背景を知ってしまうと、はたと立ち止まってしまう。
    応援するわれわれに応えて素晴らしいプレーを見せる選手がいて、そして、われわれはいったい何者なんだろうかと。

  • 重く、哀しく、強い。

  • これだけの背景と才能を持った人間が語る、『スポーツと政治は別』という言葉の重みを、実感できないにせよ想像できないといけないと思わせる良著です。この裏側としての『戦争広告代理店』と併せた読みを強く強くオススメします。

  • 名古屋のスーパースター、ドラガン・ストイコビッチ。1993年にプロサッカーリーグのJリーグが開幕し、沸き上がる日本の中で唯一取り残されたのが、名古屋の名古屋グランパスエイトだった。観るのも悲しくなるぐらいの弱さ。まったく希望の持てないチームに、市民はサッカーから遠ざかっていた。
    そんな中、誰も期待していなかった空気の中に一人の男が入団した。そうドラガン・ストイコビッチ。リネカーという超大物外国人で大失敗をしているグランパスエイト。またどうせ期待外れだろう、名古屋市民はみんなそう思っていた。
    しかし、その空気は彼の魅せる異次元のプレーで変えられた。言葉では表現できないスーパープレーの数々。説明は何もいらない。彼が魅せるプレーを見れば、彼の凄さが分かるだろう。
    そんなピクシーが弱小チームだった名古屋グランパスエイトを変えた。名古屋だけでなく、日本のサッカーを変えた。
    あまりにプレーが華麗なので、この本を読むまでこんな苦労があったとは知らなかった。あまりに複雑すぎて、この本をどう語っていいか分からない。しかし、彼の華麗なプレーがあったのは、この数々の苦難があった故に、より一段と輝いていたんだと思う。
    文庫本で追加された後書きに、「誇りとは過去の実績に依存するものではなく、今を懸命に生きる自分の中にこそ存在するのだ」という一文がある。
    どんな環境であれ、今をベストにすること。ピクシーが我々に教えてくれた誇りを胸に生きていこう。

  • 2012/05/31
    from Y.S.
    すっかりピクシーファンに。

  • かつてユーゴスラビア代表として活躍し、Jリーグ名古屋で現役を終えたストイコビッチのサッカー半生記。セルビア・モンテネグロサッカー協会の会長を経て、現在は鈴木隆行が在籍しているレッドスター・ベオグラードの会長を務めています。優れたサッカー選手としてだけではなく、ユーゴ内乱という激動の時代に代表チームの精神的支柱としてもキャプテンシーを発揮する姿が描かれていますが、偏狭なナショナリズムではなく本当に心の底から祖国を愛する姿にその偉大さをつくづく再認識しました。

全39件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年愛知県生まれ。中央大学卒。ノンフィクションライター。東欧やアジアの民族問題を中心に取材、執筆活動を続ける。おもな著書に『オシムの言葉』(集英社文庫)、『蹴る群れ』(集英社文庫)、『無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代』(ころから)、共著に『さらば、ヘイト本!』(ころから)など。

「2019年 『13坪の本屋の奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

木村元彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×