四季・奈津子 改訂新版 (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2000年10月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (472ページ) / ISBN・EAN: 9784087472462

作品紹介・あらすじ

奈津子は3年ごしの恋に終止符を打ち、東京へと旅立った…波留子、奈津子、亜紀子、布由子。それぞれの宿命の中で生きる4人姉妹の人生は…。自由な生を求めて旅立つ若い冒険者たちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 四姉妹の次女・奈津子の物語。自分自身のなかに奈津子とケイと布由子とを住まわせるような感覚で生きてみたい。(現実というより心構えとして)生活の方法もお金の得かたも感じ方も違う三人だけど通底するものは似ていて補完しあっているように思った。わたし一人のなかに取り込めたらいいと思う。
    私自身に引き付けて色々考えられたので良い読書だった。現実的には、麻痺の関係で、奈津子やケイのように身一つで生きることは難しい。ただ色々試してみること、率直であること、期待しすぎないことの大切さを考えさせられた。
    ★★素直、率直であることと、自己演出すること・秘めることの両立。

    次は『四季・布由子』を読もう。
    『冬のひまわり』もそうだけど、五木寛之さんは何気ない人物の手の動きとか風景描写がとても良い。


    以下エッセイ風?長文

    『四季・奈津子』五木寛之 2(変化について)
    ・「きみが変わってゆく、その変わり方を一瞬のうちにスクリーンに再現してみるというのがぼくの考えだ。十年間うまくいけば、二十年、三十年、そしてもし、ぼくときみが生きていれば、五十年でも撮れるだろう。
    (略)
    〈時間〉というのが、そのタイトルだ。」

    主人公の奈津子が出会うカメラマンの言葉。
    以前は変わることを「気紛れ」というようなマイナスイメージで捉えていたけれども最近マイナスイメージではなくなってきた。わたしのような頑固な人間は、表現したい根底にあるものを、自分の気分や人の負の感情に振り回されて見失わないように慎重にしていれば充分だと思う。むしろ変わることは日々新しくなると考えるほうがいい。
    確か2015年に、「自分の気持ちとも、人の気持ちとも、いつか変化によって別れてしまう。だからこそ、その時その時の自身の変化にずっと寄り添ってくれるのは音楽や文学だ」とメモした。
    もう一度思い出して、人との縁は意志によって絶やさずに依存もせずに。激しさ、やりきれなさや嬉しさに寄り添うものを作りたいし享受したい。

    一瞬を残す事が堆積して時間になり、とても個人的なことが普遍性を持って人の胸を射ぬく(高校生のころ見た対談番組で福山雅治が似たことを言っていた)、ということがずっと気になっている。

    一瞬を作品として残すためには、(短い言葉を並べるのではなく、字数としても時間としても)膨大な量が必要という話を、別の人たちと別の場所でしたことが心に残っている。せっかくそんな話をしても、わたしは焦ってしまうけれど、求め続けていたらまた思い出させてくれる作品や人や思想と出会える(宗教哲学の先生の他力の捉え方はとても参考になった)。




    奈津子と出会った詩人が、奈津子の妹に書いた手紙も良かった(文庫178ページ)。人に出会うことでもたらされるエネルギーは停滞している精神や身体を動かしてくれると思った(またわたしのエネルギーがなくなってしまっても鬱は波のようなものだと言い聞かせること)。わたしは停滞することや立ち止まることを必要以上におそれて結果的に長く立ち止まってしまうことがあるけれど、それすらも生きることの一部だと思ったほうが良いように思う。



    人と人の会話も、人が作ったものから受けとることも、解釈は相手に委ねられているから、自分の思うような出会い方をしないこともある。それでも、違いを楽しむ余裕を持つこと。読み継がれる長編小説の醍醐味が、あらすじよりも普遍的な感情などを描いたディテールであるのと似ている。時代が変化しても残っていくものはディテール。
    人と同じ荷を背負うことも、同じ景色を見ることも出来ないから、だからわたしは、私たちは作品を作る。

    訓練さえ積めば、人の感情と自分の感情を一緒にせずに、客観的な優しさでそばにいることが出来る。他人よりも、自他の境界が曖昧になりやすい私でも。
    身体の中途半端さゆえに辛いことにも、気持ちの揺れにも溺れてはならない。
    強さを伴った優しさを以て人と接したい。
    925-27



    五木寛之『四季・奈津子』1
    「失われて行った若さの匂いを、どこかに残した大人こそ、わたしが出会ってみたい人物なのだった」
    「(カメラマンの男性よりも)むしろケイ(女性)のほうが、はるかに自分の若さを映してみることの出来る鏡のような存在だったのだ」。奈津子 〈未熟と素直の違いを内省する〉

    今後。経済的精神的安定(無理はしないけど、なにもできない/感じない状態を極力避ける)と、未知に出会って思考が啓けること(奈津子とケイのような出会いを求めるための努力、積極性)のバランスをどう取るか。



    20170922~1011

  • 2012/05/08完讀

    ★★★★☆

    福岡四姊妹,大姊是美人,老三很會讀書,一邊進行社會運動,一邊念醫學系。老四則有憂鬱症,住院中。老二奈津子是這本書的主角,來到生命面對蛻變的時刻。和穩定的男友分手,去東京拍裸照。上京路上結識詩人金子貞生,又因為攝影師中垣昇和ケイ,讓她的人生展開變化,辭掉福岡的工作待在東京,後來成為女明星的電影替身,最後轉變的季節終於到來,她也要遠渡美國。

    讀這本書,正是在心情正好纖細地適合讀文學的時候,因此裡面每個細膩動人的小細節,都不斷地抓住我的心(例如奈津子在東京找工作時走在路上那一段)。可惜實在沒有太多時間把他的佳句抄下來,這是唯一可惜的地方。大概抄一下這一段關於自信的話語。

    「自分の弱点や、欠点だと思い込んでいる部分を他人の目から隠そうとする、そこからすべてのマイナスが生まれてくるんですな。私があなたにアドバイスしたかったことの一つは、自分を隠すな、という点です。」
    「隠さなければどうなるんですか」
    「自信というものが手に入る」
    「自信?」
    「確信、といってもよい。確信するとき、人は美しくなる、たしかに手ごたえを感じさせる。魅力になる、ソニー・ロリンズという演奏者をご存知かな…ソニー・ロリンズの演奏がわれわれの心を打つのは、演奏の技術とか、音楽家としての才能とかいったものによってではない、彼が自分の演奏を信じている、その確信の深さ、その強さによってである、と。」
    「自分を信ずる、自信を持つ、確信を持って生きる、これほど大切なものはない。ことにあなたのような若い人にとってはね、それが持てないとでは、人間としてまったく違った存在になってしまうのだ。わかりますな。」
    「でも、自信過剰の人間って、好きになれないわ。」
    「あなたの言うことはわかりますよ。だか、そういう連中は、本当に自信を持った人間とは違う。むしろ自信のなさをこけおどしの外見でごまかしているのです。本当に自分に確信を持っている人間は、もっと素直で、素朴で、なにより謙虚だ。そして自由だ。こわばったところがない。自然に振舞える。傲慢な人間ほどぎこちないものです。自分を信じるということは、傲慢さとは反対の極に立つことだ。…そんな場でも本当に自分に確信を持ってる者は、絶対に美しいのです。それは物理的な美しさを超えて、人々の目をひきつける。内側からなにが輝き出からだ。いわば一種のアウラとでも言うべきものが背後に見えるのです。」
    「でも、そんな本当の自信はどうやって持つことができるんですか。素直に自分を見つめて、自信をもてるほどのものがないと思えたらどうすればいいです?」
    「そのことを言おうと思っていたんです。そのために身につけることは沢山ある。でも一つ一つでも発見し、自分のものにしていけば充分なのだ。例えば、自分の弱点を隠さないこと。欠点をごまかそうとしないこと。これだけでも大したことですよ。肉体的な弱点でも、内面的なものでも、それを他人に気づかされまいと苦心するところから人間は醜くなるのです。持っていないものを持ってるふりをしようとするから、ぎこちなくなるのです。知らないことは、決して、知っているふりをしない。知らないとはっきり言う。持たないものは、持たないと言う。
    欠点や弱味をごまかすことをやめる。これだけであなたは相当の確信を自分に持てるはずだ。」
    「自分と他人に対して、正直になれ、とおっしゃってるんですね。」
    「それがまず第一歩ということです。なによりも小さなことから率直になる必要がある。それを通りすぎると、今度はもっと大きな問題がいくつも出てくるが、差し当たりその辺からスタートすればよい。自分を無理に立派に見せようとしない。知らないことは、知らないとはっきり言う。持っていないものを持っているようなふりはしない。これだけでもたいしたことだ。」

  • 四人姉妹の次女・奈津子。恋人からプロポーズされるも、まだ人生を決めたくないと断り福岡から上京する。

    自由奔放な彼女に上手いタイミングで手助けする男達が現れる。
    そんなタイミングで出会うか!と思う一方、人生の岐路に立つ時、その方向を見定める為に助けてくれる存在に出会うことはあり得るのかもしれないとも思いました。
    欲していれば現れる、というか。

    電車の中で出会った老詩人のアドバイスがとても良かったです。

  • 1979年(昭和54年)第3位
    請求記号:Fイツキ 資料番号:010319770

  • この時代の考え方はこうだったのかな?って思うこと色々。
    ノスタルジーを感じはしたが、内容はいまひとつ。
    この本を手にとったのも20代に時々読んでいた雑誌「more」に連載されていたのを懐かしく思ってのこと。始まりからノスタルジーにかられていたようだ。

  • 私も もっと 奔放に なれる 気がする

  • 奈津子は出会い運があっていいね。
    きっと奈津子の人柄がいいから、いい人がいっぱい現れて助けてくれるんだろな。

  • 四姉妹の中でも一番お気に入り。このシリーズは特に読みやすく、読書を始めるには取っつきやすいかも。学生の頃、性描写にドキドキした記憶が・・。

  • 性格も外見も全く似通ったところがない四姉妹だが、一貫して持っているのは生に対する激しい情熱。波留子、奈津子、亜紀子、布由子、共有するのは人騒がせな無鉄砲さと、自分で決めた道を進み尽くす勇気・自信。金子詩人が奈津子と初めて会った時に言った言葉がよかった。
    「タフでなくては生きていけない、優しくなくては生きている資格がない。」

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著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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