猫背の王子 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 618
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472684

作品紹介・あらすじ

自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた-。女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家・王寺ミチル。彼女が主宰する小劇団は熱狂的なファンに支えられていた。だが、信頼していた仲間の裏切りがミチルからすべてを奪っていく。そして、最後の公演の幕が上がった…。スキャンダラスで切ない青春恋愛小説の傑作。俊英の幻のデビュー作、ついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。それも何度目か分からないほど。
    中学の頃に今でもどうしようもない気持ちを湧かせる友人に薦められた一冊。山本文緒さんが嫉妬したという作品。

    王寺ミチルはカイロプラクティックという劇団を主催する。レズビアンであり、女たらしの、永遠の少年を魂の双子に持つ。横暴と傲慢と純粋と絶望の甘さに酔うナルシスト。
    彼女を支えた人々は彼女を愛し、憎み、守り、叩き潰し、演劇の神様のもとへ引き摺り出す。
    栄光は一瞬で彼女を焼いて影にしてしまう。こびりついた影のなかで彼女の心臓はやはり演劇の神のもとで一脈を生み出す。

    血で濡れたような文章。坂を転げる身は炎に巻かれている。中山さんの処女作はまるで生まれたての赤子のように女の血でぬらぬらとして恐ろしいまでの自由の前に泣き叫んでいるように感じる。

  •  鮮やかな破滅だった。
     ここの選択が違えば少しは変化が、って思う所もあるにはあったけど、初めの段階でもう崩れていて、変化を起こしても取り繕いにしかならない感じがして、なによりミチルさんが破滅の予感を受け止めながら進んでいくので、もうこれでいいやと思ってしまう。
     実際この人が傍にいたらぜったい嫌だなと思うけど、これだけ切々と生きている人の芝居は是非見てみたい。
     愛したくても愛せなかったり、破滅に人を呼んでしまう業の深さ。それでもミチルさんが自分を愛せるのならよかった。

  • 燃えるような恋愛だったり、時として儚く狂おしい恋愛だったりといろんな側面を持つ百合小説である。ミチルさんはたくさんの女性と関係をもつ事で意中の女性へ嫉妬をさせ、恋の駆け引きを楽しんでいたのだろうか。私自身は異性愛者(ノンケ)だが、ミチルさんが目の前に現れたら惚れてしまうだろう。実際、ミチルさんに虜になった登場人物たちに感情移入をしてしまった。最後は切なかったがそれすらも美しいと思ってしまった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      Jan Saudekの表紙写真に眩暈がしましたが、それ以上にクラクラする内容でした、、、
      Jan Saudekの表紙写真に眩暈がしましたが、それ以上にクラクラする内容でした、、、
      2014/03/04
    • 610@活字中毒さん
      表紙も作品も衝撃的でした。読了後、私もクラクラでした。
      表紙も作品も衝撃的でした。読了後、私もクラクラでした。
      2014/03/04
  • 久々に、心掴まれて揺さぶられる本を読めた。
    没頭できた。
    幸福だった。

    中山可穂さんの本は『弱法師』以来。これからまた大事に読もうと思う。

  • ミチルがあなたに似ている、と言われて読み始めた“猫背の王子”。まったくそのとおりだ。たらしで自己愛主義者で、そのくせ仲間を失うことを恐れる。一度は身を引いた舞台へ、あの静かな熱気の真中へもう一度立ってみたいと思わせてくれる、鮮烈で魅惑的な作品だった。

  • 溺れるように読んだ。破滅していきながらもまだ自分の足で立っているミチルがすごく好きです。
    女の子に優しいたらしの王子さま、舞台では毅然とした女王さま、ひとりになると寂しさを抱えたお姫さまのようで、見ていて胸がざわつきます。作中でミチルは少女のなんたるかを語っていますが、王子さまで女王さまでお姫さまなミチルこそ、本物の少女な気がします。
    由紀さんへの独白と、トオルの告白の台詞が重なるようで切ない。決断せざるを得なかった、ぎりぎりに立っていたトオルも好きです。
    続きがあるそうで、早くミチルに会いたい

  • 続きがある、ときいて、やった!と跳ねるほど喜んだ作品。ミチルとの再会が楽しみ。

  • 最近気になっている作家、中山可穂さんのデビュー作。

    衝撃的ながらもミチルの奔放でどこか一途な性格に強く惹かれ、またその同性愛の切なさに胸が痛い作品。ここまで描くのってすごく神経をすり減らすだろうし、こういう作品はなかなか人に理解されないけれど、私はとにかく良かったと思った。いや、分かる人にはぜひ薦めたい本だと思う。

  • 中山さんらしい、勢いのある文章、そしてストーリー展開でした。
    ぐいぐい引き込まれて、気が付いたらあっというまに読み終わってしまう。
    読みやすさ。それが中山さんの力なんだと思います。

    この人の本は、いろいろ読んだけど
    私はこのお話が一番面白かったかな。
    演劇に命をかける気持ち、私もかつて通った道なので分かります。

  • この作家さんの本の中で、私が初めて読んだのはこの本だった。
    正直、表紙に一瞬購入を躊躇したけれど中身を読んだ後では「まだソフトな方だ」と思ってしまった自分が嫌になる。
    中身としては劇団の団長であり、淫蕩なビアンである主人公が一人の人を欲しながらも幾多の人の肌を求めては自分の体を削って劇団を動かしていく話。
    しかし、話はこれだけで片付けてしまうには惜しい程に交錯する要素が多い。
    どうして、自分じゃ駄目なのか。ただ、セクシャルの違いだけと言ってしまうにはあまりにその壁は厚かった。
    求めるものが手に入らないのならば、自分もろとも沈む。
    そんな生き方をする主人公ミチルに惹かれたのは私だけではないだろうな、と思う。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学教育学部英文科卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞を、01年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。その他の作品に『感情教育』『マラケシュ心中』『ケッヘル』『サイゴン・タンゴ・カフェ』『悲歌』『愛の国』など

「2018年 『娘役』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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