いくつもの週末 (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2001年5月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (178ページ) / ISBN・EAN: 9784087473193

作品紹介・あらすじ

いくつもの週末にデートを重ね、サラリーマンの彼と結婚した著者。日々の想い、生活の風景、男と女のリアリズム。恋愛小説の名手が告白する、甘く、ときにはビターな「結婚生活」。(解説・井上荒野)

みんなの感想まとめ

結婚生活のリアルを描いた本作は、日常の中での愛や葛藤、そして幸福を見つめ直す内容です。著者は、自身の結婚生活を通じて、夫婦の間に生まれる矛盾や不自由さ、さらにはそれを受け入れることの大切さを語ります。...

感想・レビュー・書評

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  • 公園の近くに越したくなるし雨も好きになる。
    夜の空気や土と虫の匂い、1人の時間も2人の時間も有限のなかで感じることを大事にしたい。

    我々も趣味嗜好が違ったり嫌になるところにたびたび絶望するけれど、それは当然でありそれでいいと思ってる。
    夫婦なんてそんなものだし、それが醍醐味だって改めて気付かされた。

    一緒に同じものを食べて毎週卓球に全力を注いで、じいさんばあさんになっても一緒に働いていたい。そんな私たち。

    お互いをとことん甘やかして、幸福にしたりされたりしよう。
    死がふたりを分つまで楽しく暮らしていこう。
    そう思えた江國さんの素敵なエッセイ。

  • 江國香織さんの結婚生活エッセイ
    江國香織さんってこんな女の人だったんだ
    言葉がきれいでゆっくり味わってよんだ
    わたしの結婚生活とは全く違う感覚だけど
    「出会った時、人はお互いがもっているその違う景色に惹かれるのだ。それまでの時間、一人一人がつみあげてきた風景。」
    ほんまそれな!

  • 結婚するということは、自分の在り方や生活に大きな変化をもたらすこと。
    生活が「色つき」になったり(この章がとても好き)、週末という概念ができたり。

    江國さんが美しい文章で、変化について、堂々と面倒くさがったり不安がったりしているので、少しほっとする。結婚は、面倒くさいし、不自由。喧嘩と、仲直りはちょっとの諦め。

    たくさん矛盾もあるし、感情も行ったり来たりする。それが、リアルだとも思う。

    愛する人と「幸福」に暮らすことを最優先事項として、すべての面倒くささを引き受けているようにみえた。

    愛することは、くっつくことでもあるし、離れることでもある。

    するする読めるけど、何度もページを戻って、ん?と思ったり、なるほどと思ったり。だから、手元に置いて、何度も読み返したい本。

  • 昨年、江國香織さんの独特で繊細な文章にハマり、一気に10作品以上を読んだ。

    毎回「不倫」が出てくるし、不倫を決して悪にはせず純愛に描く、江國香織さんは一体どんな恋愛をしているんだろう?と気になっていた。

    そんな中、偶然エッセイを見つけたので前情報なしで読み始めてみた。

    「いくつもの週末」は江國香織さん自身の結婚生活にいついて綴られていた(この時は結婚3年目)

    本作を読むまで、江國香織さんと絶対に恋愛観が合わないと確信していたのに、実際は納得してしまう話が非常に多くて驚いた。

    出会った頃のように初々しく丁寧に接してほしい気持ちを「よその女になりたいと時々思う」と表現していて、あー!これ!これだ!と心の中で叫んだ。

    夫が好きなのに1人で過ごす時間も大切な部分も自分によく似ていると思った。

    自分の知らないすごい世界を覗き見するつもりが、上手く言葉に出来ないことを代弁して貰っていた。

    対局のような恋愛観を持っていると信じていた江國香織さんにさえこんなに共感してしまう。「いくつもの週末」を通して、夫婦なんてどこも同じようなものだと気付かされた。

  • さくっと読めるエッセイ。
    読みやすいし詩的な表現を素敵だなと感じたり、いくつか共感できる部分もあるんだけど、やっぱり個人的に江國香織さんの作品を読むと何故かものすごく不快になる。
    そんなに数は読んでないですが、なんかだいたいものすごくめんどくさい女の人が一人で静かに大騒ぎして一人で納得して結局は自分が大好きで大いに自己満足している感じがいつもします。

  • 読みながら、仕事と結婚は似ているかもしれない、と思った。

    エッセイの中で彼女はこう述べる。「私はほんとうに臆病だなあと思うのだけれど、もうやめよう、と思うとほっとする。どんなことでも、幻だった、と思うのも一緒だ。いっそさっぱりする。」
    いっそ過去にしたい、と思うのだろうか。全部過ぎ去ったことにして、忘れ去りたいと。

    仕事を辞めて今の生活を過去にできたら、と思う。特に仕事をしていない時に強く思う。
    こっちが本来の自分だ、と思うのだ。仕事中の自分は無理をしたもので、こっちがあるべき姿だと。

    仕事がない生活を夢見るけれど、私は自分が仕事を辞めないことを知っている。ここらへんが江國さんの描く結婚生活と似ている。
    きっと仕事を辞めたら驚くほどすっきりするだろう。踊り出したくなるような軽い足取りで家に帰る。辞めた日の帰路はいつもそうだった。そして同時に不安はひたひたと迫ってくる。どうせ働かずに生きていくことなんて出来やしないから。

    将来への不安。勤めることの数少ないメリットはそれを忘れられることだ。
    錯覚でも、このまま同じような生活が続いていくと信じられる。
    未来を確約されたような錯覚に度々うんざりするけれど、でも私は知っている。それが勤めることの長所であることを。

    学生の頃ずっと抱いていた専業主婦になりたいという憧れはもう薄れてしまった。ずっと家の中にいることを確約された未来だと思えるような時代ではないのだ。
    1日の大半をマンションの高層階の静かな部屋で過ごす。儚い泡のようなそれが、私の逃避する夢の世界である。

  • 「雨」が印象的で雨が降ると思い出します。今まで雨は嫌な現象として捉えていましたが、このエッセイを読んで衝撃を受けました。江國さん、雨が好きだなんて…!でも、その後から静かに降る雨を窓から眺めるようになり、自然と心が落ち着くようになりました。適度な温度と湿度。心と身体に染み込む感じで雨が好きになりました。
    時々読み返してしまいます。

  • 最高だった!情熱と狂気の間みたいな文章が大好き。あつくてつめたい。小説でもエッセイでも、江國香織さんが恋愛や結婚について描くと等しく甘美で危険なかんじがする。

    ※またここから感想文というには個人的すぎる、最早日記文章をそのまま投下します↓

    最近のわたしは、恋人にもっと満たしてほしくて満たされなくて、他の人だったら、、?をよく考えてた(そうすることで、わたしたちって合わないのでは?を考えないようにしていた。わたしは1人だけで悲しい方向に考えてしまう癖があるので・・・)けど、この本を読んで、誰と一緒にいてもきっとこの満たされない感覚は消えないんだろうなと思った、この本を読んで思うこととしては多分適切じゃないけど。誰とも、わたしと全く一緒の感覚だと思えることはないし、わたしの分身みたいな人はきっと存在しない。持って生まれた孤独感は消えず、「2人だから」の孤独に変わってずっと感じるんだろうなと思えた。
    救いになった、これから結婚するかもしれない身として参考になったというような本ではないけど、こういう女の人が、こういう結婚生活があるんだ、また江國香織さんが自分の結婚生活を書いたらこうなるんだ、を知れたなという角度で読んでとても良かった。いやでもやっぱりちょっと救われたところもあるのかも。(どっち)
    人の孤独はどうやっても消えないので自分で抱えていくしかないままならなさ、そういった色々なことを諦めて一緒になるのか結婚は、みたいなことを今回は読んで学んだ。
    次読んだ時はきっと違うことを思いそう。感じたことを素直に残そう。

  • 夫婦間のお互いの気持ちの難しい部分を、優しい言葉で表現している。割り切れない所をどうやって折り合いをつけたら良いか、そのヒントが散りばめられていると思った。
    良いことも、悪いことも2人で味わい尽くす・・・
    それが夫婦生活なんだなぁと感じ、明日から
    ちょっと違った目線を向けて、仲良くやれるかなと、思う。

  • 幸福にしたりされたりする方が、
    教育したりされたりするよりずっと素敵だ

    という一文が心に沁みた。

    尽くすわけじゃないけど、自分がいろいろやってあげる事で、ご機嫌になって、笑顔になって幸せを感じてくれれば、相手は自分の事を大切にしてくれる。上からとか、一方通行とかじゃなくて。

    お互いの持ちつ持たれつ感が感じられる関係性と、
    いくつもの週末。

    ぽかぽか陽気の午後の昼下がりのような、
    気持ちのよい読了感でした。

    この本は1997年、江國さんが結婚して2、3年後に書かれたものだそうで。今の江國さんはご主人とどんな週末を過ごしていらっしゃるのかな?と思いました。
    幸せな週末を過ごしていたら嬉しい。




  • 結婚して2〜3年目の夫婦生活を綴ったエッセイ。
    恋人以上家族未満という感じの距離感がとてもいい。

    特に『よその女』が好き。

  • 結婚生活が綴られたエッセイ。
    著者の感性が嫌みなく豊かすぎて、ただの日常がアートな外国映画みたいに見えてくる。アートの何たるかもよく分かっていないけど、なんとなくそんなイメージ。

  • 読み始めてすぐ、とにかくびっくりした。
    自分が書いたのかと思った。(笑)
    でも私には、こんなに素敵な文章を作りだすことは出来ない。
    「夫とは感性が合わない」なんていう、陳腐で簡単な言葉しか思い浮かばない。
    でも、その「合わない」部分が、結婚の醍醐味だということもなんとなく分かってはいた。
    そんな、結婚してから私も常になんとなく感じていたことを、江國さんらしい文章と行間で綴られた作品。
    果たして未婚の方がこの作品を読んだら、結婚に憧れるのか、失望するのか。
    ぜひ聞いてみたいと思った。

  • ふと読みたくなって再読。多分三回目なのに、エピソードはほとんど忘れていた。それも「あったかもな…」というのでなく、初読みな新鮮さで、この緻密で繊細な妻の記憶をおっかなびっくり読んだ。不穏、という言葉がしっくりくる。エッセイというのか、もういっそ私小説なのか。記録というより記憶であり、夫婦の、というより妻の、と感じるあとがき好きな私は、この本のあとがきが井上荒野さんだと三読目のしてやっと気づいた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      江國香織を読んでみようと思って、フラフラ探している。「不穏、という言葉がしっくりくる。」が気になったのでコレを候補に。。。
      江國香織を読んでみようと思って、フラフラ探している。「不穏、という言葉がしっくりくる。」が気になったのでコレを候補に。。。
      2012/03/14
    • akitukiyukaさん
      江國さんは、瑞々しい表現と文体の作家さんですが、それと同じ分量“不穏”な作家さんだと思うので、他も色々読まれても面白いと思います。
      江國さんは、瑞々しい表現と文体の作家さんですが、それと同じ分量“不穏”な作家さんだと思うので、他も色々読まれても面白いと思います。
      2012/03/23
  • 様々な夫婦の結婚生活が綴られたエッセイ集。
    すべて奥さんからの視点で描かれており、結婚数年後の彼女たちはこんなきもちなんだ、と想像するのがおもしろかった。

    結婚というものは、結婚式や婚姻届の提出といった大きなイベントがメインだと思っていたけど、
    自転車で2ケツしたり、一緒に寝たり、何気ない日常に幸福を感じるのだと、少し驚いた。
    短いエッセイ集だけど、共感できる文章がいくつかあった↓

    「来年もこのひとと一緒に桜をみる可能性がある。そのことがとても希望にみちたことに思えて嬉しい。そうして、それは勿論一緒に桜をみない可能性もあるからこその嬉しさだ。」
    自分も日常の中の、いくつかの選択肢の中でいい選択をしたとき、幸せを感じているなと気づいた。
    成し得なかった選択肢があることが幸せを際だてせる、つまり、失敗は次回成功したときの喜びを増幅させてくれるものだと思った。

    「私たちは、いくつもの週末を一緒にすごして結婚した。いつも週末みたいな人生ならいいのに、と、心から思う。でもほんとうは知っているのだ。いつも週末だったら、私たちはまちがいなく木端微塵だ。」
    自分の思考の根底にある、二面性の考えを、まさに表したような文章であったため共感した。
    旅行などのあとは、ずっと楽しい日々が続けばいいのに、と終わりが切ないけれど、
    日頃頑張っている分、楽しいと思えるし、
    毎日会えない分、幸せだと感じられると、思った。

    いくつもの物語を総じて、必ず自分の感性が違う部分があるから、その分ケンカしたり、不満があったりするけど、その分心地よい景色や美味しい食べ物を共有できることに幸せを感じたり。そんなところが結婚生活の素敵な楽しみ方だと思った。

  • 読んでいて心がほっこりした。1人のほうが楽なことがわかってるけど、旦那さんと一緒にいるからこそ味わえる新鮮な感情と日常があること、エッセイの端々に描かれる旦那さんへの愛情にキュンとしました。こんな夫婦になりたい

  • 日常を楽しく、美しく書ける人は天才だと思う。
    エッセイ好きになったきっかけの本。

  • また読み返したくなる1冊です。旦那さんのことが大好きな江國さんを羨ましく思いました。まるで江國さんが書く小説の登場人物のようです。結婚が「動く歩道」のようと表現されたのはすごく共感しました。

  • 「たとえ理想のかたちではなくとも、”夫婦”はここにあるから大丈夫」と、自分の味方でいてくれるようなエッセイだった。熱すぎず、冷たすぎず、ちょうどお風呂くらいの温度でのびやかに語られる結婚生活は、読んでいてとても居心地がよかった。
    床に服を脱ぎっぱなしにし、飲み物は自分で用意しないという旦那さん。このエッセイを読む前からなんとなくそんな気がしていたけれど、やはり『赤い長靴』の逍三は、江國さんの旦那さんの”一部”なのだなと思った。全部ではなくて、一部。きっと逍三は、妻を花見ドライブに連れて行ったり、妻の好みを把握してチョコレートを贈るようなことはしないだろう。結局のところ、良い面も悪い面もその人を構成する一部に過ぎなくて、「愛している」と「憎たらしい」を行ったり来たりしながら、みな折り合いをつけて暮らしているのだと思った。

  • 結婚してもうじき二年になる秋からもうじき三年の秋までの間に書かれた、著者の結婚にまつわるエッセイ。


    文庫本にて再読。
    結婚生活の中で著者が感じることをこんなに生々しく書かれてしまって、読めば読むほど、そうだよ、結婚ってそうなんだよ!と強く同意したくなりました。
    独身の時に読んで、確か新婚時期にもう一度読んで、今回は十年以上の時を経て再度出会い読むことになりました。
    独身の時は、結婚なんていいことないやんかと絶望し、新婚時期は、そうそう、結婚ってそうなんよね、でも深く考えてはいけないと少し距離を置いて。
    結婚生活も熟してきた頃に読むと、また新鮮な捉え方ができました。
    何より思ったことは、江國さんが可愛らしいということです。そして、結婚生活二桁目に突入してしまった私にはもう、この可愛らしさもいじらしさも、ある種の面倒くささも出すことはできないのだなとしみじみ実感してしまいました。

    新婚時期の私はこの本の中の江國さんと同じように、自分の生活空間に他人がいることの窮屈さと喜びを感じ、目についてしまうあれやこれやをその都度指摘注意し、夫であるこの人を、自分自身のために私の夫たらしめなければと奮闘して失望していました。声を荒げたことも少なからずありました。
    十年経って読むと面白いです。そうだったなぁと思い馳せながら、それらのこだわりの全てを捨てきれず、妥協できていなかったら、とっくに離婚していたのだろうなあと思いました。
    私は堪え性のない人間なので、三度同じことが続けばもう失望して諦めます。そうして諦めてきた事柄や、失望が蓄積されていき、いずれ爆発して離婚だ!!となると思っていましたが、今のところ大丈夫そうです。
    ただ、そうして捨ててきた自分の感情の欠片がこのエッセイのあちらこちらに散りばめられていて、とても眩しく映りました。
    私がもう失ってしまった感情。決して戻りたくはないけれど。

    江國さん、離婚されていると思い込んでいました。いつかのお話、物語でそれらしいことを書かれていて勘違いしていました。
    このエッセイを読む限りでも、このままではこの結婚生活は長続きしないよねと思っていましたが、余計なお世話でした。今もう一度、結婚生活について語ってもらいたいと思っています。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに・かおり):1964年東京生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文学賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞など数々の文学賞を受賞。他の小説作品に『つめたいよるに』『神様のボート』『東京タワー』『抱擁、あるいはライスには塩を』『彼女たちの場合は』『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』『シェニール織とか黄肉のメロンとか』『川のある街』など多数。『絵本を抱えて部屋のすみへ』『いくつもの週末』『雨はコーラをのめない』『旅ドロップ』などのエッセイ集や詩集・童話・翻訳など多彩なジャンルで活躍。 

「2024年 『読んでばっか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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