いくつもの週末 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 343
  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087473193

感想・レビュー・書評

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  • 読みながら、仕事と結婚は似ているかもしれない、と思った。

    エッセイの中で彼女はこう述べる。「私はほんとうに臆病だなあと思うのだけれど、もうやめよう、と思うとほっとする。どんなことでも、幻だった、と思うのも一緒だ。いっそさっぱりする。」
    いっそ過去にしたい、と思うのだろうか。全部過ぎ去ったことにして、忘れ去りたいと。

    仕事を辞めて今の生活を過去にできたら、と思う。特に仕事をしていない時に強く思う。
    こっちが本来の自分だ、と思うのだ。仕事中の自分は無理をしたもので、こっちがあるべき姿だと。

    仕事がない生活を夢見るけれど、私は自分が仕事を辞めないことを知っている。ここらへんが江國さんの描く結婚生活と似ている。
    きっと仕事を辞めたら驚くほどすっきりするだろう。踊り出したくなるような軽い足取りで家に帰る。辞めた日の帰路はいつもそうだった。そして同時に不安はひたひたと迫ってくる。どうせ働かずに生きていくことなんて出来やしないから。

    将来への不安。勤めることの数少ないメリットはそれを忘れられることだ。
    錯覚でも、このまま同じような生活が続いていくと信じられる。
    未来を確約されたような錯覚に度々うんざりするけれど、でも私は知っている。それが勤めることの長所であることを。

    学生の頃ずっと抱いていた専業主婦になりたいという憧れはもう薄れてしまった。ずっと家の中にいることを確約された未来だと思えるような時代ではないのだ。
    1日の大半をマンションの高層階の静かな部屋で過ごす。儚い泡のようなそれが、私の逃避する夢の世界である。

  • えええ…めっちゃいいじゃん……

  • すーと体に溶け込んでくるようなみずみずしいエッセイ。
    いつでも、どこでも読める感じがよいです。

  • 読み始めてすぐ、とにかくびっくりした。
    自分が書いたのかと思った。(笑)
    でも私には、こんなに素敵な文章を作りだすことは出来ない。
    「夫とは感性が合わない」なんていう、陳腐で簡単な言葉しか思い浮かばない。
    でも、その「合わない」部分が、結婚の醍醐味だということもなんとなく分かってはいた。
    そんな、結婚してから私も常になんとなく感じていたことを、江國さんらしい文章と行間で綴られた作品。
    果たして未婚の方がこの作品を読んだら、結婚に憧れるのか、失望するのか。
    ぜひ聞いてみたいと思った。

  • 江國さんの結婚生活についてのエッセイ。
    夫との日々が軽やかに描かれており、筆者の可愛らしさも相まってしあわせな気持ちにさせてくれる一冊。

    お正月のエピソードの中のフレーズが大好き。
    『新しい年がきて最初に顔をあわせるひとが夫だというのには憧れるけれど、新しい年がきて、最初に「会いたい」と思うひとが夫である方が、私には幸福に思える。』

  • 結婚生活が綴られたエッセイ。
    著者の感性が嫌みなく豊かすぎて、ただの日常がアートな外国映画みたいに見えてくる。アートの何たるかもよく分かっていないけど、なんとなくそんなイメージ。

  • 【読了メモ】偶々手に取ったのだが、人生の今の時期(結婚後間もない時)で良かった。巡り合わせを感じる。

  • 「だいたいにおいて少しかなしく、だいたいにおいて穏やかに不幸」という江國さんの結婚生活。毎日が砂糖がけのチョコレートのように甘やかで幸福な日々なら、それこそ嘘っぽい。このビターなバランスが江國さんらしいと思う。

  • 江國香織のエッセイ。夫婦生活を江國香織の言葉をもって描いています。
    綺麗と言えば綺麗。女性なら共感を得るところがありますが、男性は微妙かもしれません。
    <色>の中の一文。
    「誰かと生活を共有するときのディテイル、そのわずらわしさ、その豊かさ。一人が二人になることで、全然ちがう目で世界をみられるということ」
    結婚は二人。一人じゃないこと。絶妙です。
    それにしても、なんだかんだいっても夫婦。江國香織さんが夫に愛情を持っているかがわかります。
    この作品は、結婚2~3年のときの作品。
    時を経たらまた違うでしょう。同時期を過ごしている女性におすすめかも。

  • “風が吹けば傷口は乾く”
    確かにそうなのだ。

    絆創膏がほしくなって偶然手に取ったのだけれど、
    絆創膏はなくてもいっか、と思わせてくれた本だった。

    これでまた少し、答えを先延ばしにする。でも、誰かと生活するのってそういうものなのかもしれない。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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