プラチナ・ビーズ

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (768ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087473445

感想・レビュー・書評

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  • ハードボイルドはそれほど得意ではないし、大地を女体に例える表現に、ちょっと無理かもと思いながら読み始めた。

    HUMINT(HUMAN INTELLIGENCE)の地道さと特異さ。個性的なキャラクターが次々と登場し、謎多き北朝鮮への興味もあいまって、次々とページをめくる。結果、一気読み。スケールが大きく、映画を1本見たような読後感。他作品もチェックしてみようと思った。

  • 週末二日間かけて読了。重厚な物語。日米双方にルーツを持ちHUMINT(人的情報収集活動)のプロである葉山と、在日米軍横須賀基地NISC(海軍調査軍)勤務の坂下。アメリカ国防省の情報組織(通称<会社>)の上司エディの指示で動く二人はそれぞれ、北朝鮮中枢の人事状況と、惨殺された脱走アメリカ兵の謎を追ううちに、日本を巻き込んだ北朝鮮とアメリカの諜報戦争に関わることになる。

    「飢餓は腹の中を空っぽにするのではない。人間の精神を空っぽにするんだ」

    臨場感に溢れる、誠実に書かれた物語だと思う。ゆえに「プラチナ・ビーズ」の正体にはどこか作為のない呆気なさすら感じてしまうのだが、それこそが作中の「謎の男」が糾弾した我々日本人の平和ボケした感覚なのかもしれない。

    切れものだがアイデンティティにも自分の意見にも自信が持てず「メイビー」が口癖の葉山と、辣腕だが直情径行で粗野な言動が目立つ坂下という対照的な二人はバディ小説として読んでも面白い。

    緻密に、丁寧に書かれているがゆえに少しだけ冗長な印象も受けるが、キャラクターも立っていて、ストーリーにも破綻のない、どっしりとした物語。

  • 10年ぶりくらいに再読。
    葉山隆の優柔不断さが懐かしかった。
    「…メイビー」で意見を終わらせる彼の成長?も魅力なのではないかなと。
    しかし、プラチナビーズが何かを知ったとき、
    「え?」
    て思ってしまう自分は、平和なのどかな国でそだったんだなあと思ってしまった。
    さて、続編読もう。(去年出た新作のために再読中)

  • 重厚。アナリスト、という職業を初めて知った。情報を売る商売。北朝鮮に奪われる「プラチナ・ビーズ」の正体とは?
    精力的で自信に溢れる上司や同僚や仕事仲間の中で、自信のないうじうじしてる主人公像ってある程度この時代のテンプレかなーと思います。ハーフをコンプレにしすぎなのも少女漫画の主人公かよ…て思うし、登場人物全体大して魅力を感じないが、ストーリーはとてもリアリティあって起伏も大きく面白かった。

  • 長い小説でした。
    もう少し凹凸があった方が。。

    それにしても、パズルのピースのように
    情報を組み合わせる。
    分析官って、楽しそうな仕事です。

  • 何年経っても色褪せず、今も大好きな作品。
    魅力的なキャラクターと、重厚なストーリー。
    プラチナ・ビーズの正体がわかったときの衝撃と切なさは忘れられない。

  • (2016.4.8)
    (768P)

  •  欧米諸国がアジア諸国を植民地扱いするのは、アジアには豊富な資源があるからに他ならないと、体験入学で聞かされた。文化の発展が遅れているせいで、酷い扱いを受けるけれど、本当に文化の発展が遅いというのは悲惨で、道具のように使われて当然なのだろうかという話だった。
     アジア諸国には美しい文化があって、それは圧倒的に人を感動させることができると思う。それと豊富な資源があって、だからこそ経済的な発展は遅いし、近隣国同士の仲も悪い。互いのよさを理解しているからこそ、負けず嫌いが祟って現在のような経済の停滞を味わわざるを得ないのかもしれない。

     プラチナ・ビーズという作戦名が指し示す通りに、日本は資源を捨てまくり、まさに飽食の状態であった。或いは現在もそうであって、この先もそうあり続け、気付いた時には滅んでいるかもしれない。
     楽観主義的なのかと言えばそんなこともなく、刹那的なのかと問われれば、そうでもないような気がする。しかし無関心ではある。無関心でありながら、実のところ周囲の目を気にしている。目の前の食糧にしか本当は関心が無く、税を徴収されてもおとなしくしているのに、他の国を助けようとする。つまり、恵んであげようという、道義的使命感を抱いている。
     一方で、労働大国である日本は、働きすぎているのにも関わらず、経済は停滞している。停滞しながらも、食料は相変わらず捨てるのに、相反するように自国の問題や政治には無関心だ。生きることに関して、余裕がある筈なのに、自分の生活しか見ることができない。
     それはでも、それだけ働いているということなのかもしれないし、働かなければ食べることができないという不安感は大抵の人であれば持ちうる一般的感覚なのだろうと思う。

     しかし片方を疎かにするのは、国民全員を脅かすことであって、それは決して一人では覆すことのできないあらゆる決定を、国民の団結によってはどうにかできるのではないだろうかという希望的観測に過ぎないかもしれないけれど、それが現実に成り得るかもしれない以上は、そうすることに賭けることでしか自分たちの生活を守ることのできないときが絶対に来る。
     つまりいずれにせよ、自分の生活を守りたいのであれば、常に国の動向を窺い知らなければならない。ずっと事なかれ主義を貫き通しているのではいけない。そう懸念しているのは、ともだちといるときに政治の話をすると、みんなにそんな話は知らないと言われてしまうからである。興味を示し、意見を交換し合えるのはほんの一割程度だけで、とても悲しくなった。政治への参加率の著しい低下にもそれは顕れている。政治に参加し、興味を持つことがステータスであるという風潮を生み出すところから始めなければならない。

     そのことに於いても、友人に五條瑛の小説を薦めるというのは、とても大きな意味を持つと思う。うちくらいの年齢或いはもっと下の年齢のひとが読むことが重要だと思う。

  • 長い!毎日少しずつ読んでたら、読み終わるのに1ヶ月近くかかってしまった。。

  • 日本に対する疑念と矛盾がとりあげられていた。
    アナリストの葉山さんが踏んだり蹴ったりなのに、たいへんかわいかった…。

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著者プロフィール

大学時代は安全保障問題を専攻。大学卒業後、防衛庁に就職し、調査専門職として勤務。退職後、フリーライターを経て1999年に北朝鮮問題を題材とした『プラチナ・ビーズ』で作家デビュー。2001年『スリー・アゲーツ』で第3回大藪春彦賞を受賞。

「2018年 『焦土の鷲 イエロー・イーグル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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