蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087474251

作品紹介・あらすじ

定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地獄に変貌する-。鬼才が彩る妖しの幻想怪奇短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 幻想怪奇短篇集。
    食の嗜好が似通っていて意気投合する猿渡と伯爵。ふたりが食べ物につられて方方を巡り、奇っ怪な出来事に遭遇する。『カルキノス』は、紅蟹の描写が、昏い磯の香りまでふと感じるほどの気味の悪さ。『水牛群』は、「恐怖」の修辞に圧倒された。

  • 三十路を過ぎても定職を持たない猿渡と、その筋では有名な怪奇小説家の伯爵は、豆腐好きが縁で結びついたコンビ。
    伯爵の取材や豆腐料理を求め出掛ける先々で、何故か遭遇する怪奇現象。
    8話収録の幻想怪奇短編集。

    反曲隧道―超短編。よくあるトンネル怪談だけど、ゾワッとしたよ-
    蘆屋家の崩壊―表題作。大学時代のゼミ仲間と久々の再開。旧家の終焉。こーゆー純血主義?って結局は先細りでいつかはこうなるよね。
    猫背の女―ストーカー。ヘアブラシ歯ブラシ共有とかきもいわ…!つーか真の名はどれ?
    カルキノス―蟹の話。私は甲殻類の独特な殻臭さが苦手なので全くそそられないよ-伯爵の推理が違ってて笑。
    超鼠記―鼠駆除。これと埋葬虫が1、2を争うゾワッぷり!数日消えてた間に繁殖か…蜷川の家にはどのようにして?
    ケルベロス―双子と壊された結界。蒟蒻美味しそう。切ない結末だ-
    埋葬虫―虫食いの顛末。食い荒らされるのもゾワっとくるけど、こうやって世界中に広がっていく様が…!
    水牛群―猿渡のぐるぐる脳内。2年近く接触なく疎遠でも緊急時には駆けつけてくれる友っていいね!

    自分が正しく読み取っているのか心配になりました-特に最後の話。多分に私は理解してない。ハズ。

  • 美味い豆腐を食べたくて日本中を東奔西走。
    けれど、毎回怪異事件に巻き込まれる。
    怪しげな文体が恐怖に誘う。

  • 幻想小説・怪奇小説の短編集。
    豆腐好きというところから仲良くなった小説家の「伯爵」と30歳を過ぎても定職に就かない猿渡の二人が、様々な怪奇な事件に遭遇する。

    なめてかかって読んだら意外に面白くてびっくり。表題作の『蘆屋家の崩壊』は設定が面白くてよい。『猫背の女』はふつうに怖すぎて面白い。『カルキタス』は「は? ばかにしてんのか」という感じ。最後に収録されている『水牛群』は解説で絶賛されているように、夢と現が混在したような不思議な体験をうまく表現していて秀逸。『ケルベロス』は最後の科白(「一緒に帰ってきました。これからはひとつの人生を生きようって」)が誰が発したものか書かれていないが、おそらく犬と融合した葉子なのであろう。悲しくて泣いた。

  • 定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地獄に変貌する―。

  • トヨザキ社長が色々薦めていることもあり、とりあえずどれか読んでみたいなってことで、”ミステリマストリード”に取り上げられた本作をチョイス。ポーの”アッシャー家の崩壊”からきてるんだろうけど、断然こちらの方が楽しめました。本家は内容をあまり覚えていないんだけど、面白くなかった記憶だけはある。それはまあ良いとして、本作はミステリというか、ホラー寄りの内容。そして登場人物を一にする短編集でした。とりあえず思い浮かんだのは、京極堂シリーズの主人公たち。伯爵の俗世離れした感じがそう思わせるのかも。扱っている内容が結構ダークにも関わらず、主人公2人のやり取りが結構コミカルで、その隔たりも面白かったです。これ、シリーズにはなってないのかな?幾らでも続けられそうだし、長編も含めて、もっと楽しませてもらいたいと思いました。

  • 期待が大きすぎた。さほど怖い話でもなかったし、二人の関係に萌える要素もなかったなー。

  • 幻想怪奇短篇集。
    定職を持たない猿渡と怪奇小説家の伯爵は豆腐好きコンビ。伯爵の取材の運転手としてあちこちへ行き、その都度 不思議な怪奇現象に巻き込まれる。伯爵が出て来ない猿渡だけの話もある。

    ホラーというジャンルは苦手で避けていましたが幻想文学のジャンルだったので気になり手に取りました。最初の「反曲隧道」はストレートにホラーで初っぱなから参りましたが、後の話はそれぞれ不思議な雰囲気が漂い話の最後に冷んやりゾッとし…。自分は「蘆屋家の崩壊」「超鼠記」「ケルベロス」が好きです。特にケロベロスの最後ははっきりとは書かれておらず、想像を巡らせるとゾッとします。

  • ホラーありテラーありと楽しい短編集。
    何気なく購入した今作、大当たり。
    読書の神の導きに感謝!

    もう何編かこのコンビの物語が読みたいので続編なんぞ出てはいないのだろうか?

    ぞっとする「猫背の女」と物悲しくしかも怖い「ケルベロス」がお気に入り。

    美味い豆腐が喰いたくなる一冊。

  • 幻想小説としての美しさと、後を引く気味悪さ。

    登場人物は魅力的。

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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