チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 841
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087474411

作品紹介・あらすじ

"最後の子供"ルナは、ついに"ナインの創始者"レイディ・アカリのコールド・スリープを解いてしまう。四世紀にわたる眠りから覚めた彼女に、ルナは問う。最後の子供になると知りながら、なぜ母親は自分を産んだのかと。だが、覚醒したアカリがとった行動は、思いもよらないものだった…。生の意味を問い直し、絶望の向こうに確かな希望を見出す、感動の超大作。

感想・レビュー・書評

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  • 意味なんてないことは鼻から分かっているけれど、
    どこか心の奥底では意義を求めてしまう。

    ことごとく論理を潰された中で、
    それでも強くあろうとした穂高灯(レイディ・アカリ)を尊敬します。

  • 面白い世界観のもと、上巻までは、どんなふうに落としていくのだろうと思って読みましたが、何とも考えさせられるエンディングとなりました
    男性よりも女性の方が共感できるかも知れません
    いずれにしろ下巻の方が、新井素子ワールド全開で楽しめました

  • 何とも言えない甘やかな読後感。SF的な設定といえば「惑星間移民」「コールドスリープ」この2つくらいであり、これは将来地球の辿る道ではないかと思えてならない。全体的には文体のせいもあって、ちょっとお腹いっぱい。ラストの「生」と「死」が一体となった情景は美しい。

  • わたし向けではなかった。

  • 「新井素子」の長篇SF作品『チグリスとユーフラテス〈上〉〈下〉』を読みました。

    「新井素子」の作品は1年半前に読んだアンソロジー作品『NOVA 2019年春号』に収録されている『やおよろず神様承ります』以来ですね… 久しぶりのSF作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    遠い未来。
    惑星ナインへ移住した人類は、人工子宮を活用し、世界に繁栄をもたらした。
    だが、やがてなんらかの要因で生殖能力を欠く者が増加し、ついに“最後の子供”「ルナ」が誕生してしまう。
    滅びゆく惑星にひとり取り残された「ルナ」は、コールド・スリープについていた人々を順に起こし始める。
    時を越え目覚めた者たちによって語られる、惑星ナインの逆さ年代記。
    第二十回日本SF大賞受賞作

    〈下〉
    “最後の子供”「ルナ」は、ついに“ナインの創始者”「レイディ・アカリ」のコールド・スリープを解いてしまう。
    四世紀にわたる眠りから覚めた彼女に、「ルナ」は問う。
    最後の子供になると知りながら、なぜ母親は自分を産んだのかと。
    だが、覚醒したアカリがとった行動は、思いもよらないものだった…。
    生の意味を問い直し、絶望の向こうに確かな希望を見出す、感動の超大作。
    -----------------------

    「集英社」の『小説すばる』の1996年(平成8年)4月号から1998年(平成10年)7月号に断続的に掲載され、1999年(平成11年)に書籍化… この年の第20回日本SF大賞を受賞した他、第12回「山本周五郎賞」の候補作にも推された作品です。

    〈上〉
     ■1st マリア・D
     ■2nd ダイアナ・B・ナイン
     ■3rd 関口朋実(トモミ・S・ナイン)
     ■あとがき

    〈下〉
     ■4th レイディ・アカリ
     ■あとがき
     ■解説 大沢在昌


    上下巻で約850ページのボリュームですが、面白かったので意外とサクサク読めちゃいました… 下巻はちょっと冗長な感じはしましたけど、幕切れが印象的だったので、読後感はスッキリでしたね。


    遠い未来… 地球からの移民政策が失敗した惑星ナインに、たった一人取り残された“最後の子供”「ルナ」が問いかける、、、

    生の意味… 絶望の向こうに、真実の希望を見出すSF超大作。

    地球から他星系への惑星間移民が行われるようになった遠い未来。9番目の移民惑星である惑星ナイン、、、

    船長「キャプテン・リュウイチ」、その妻「レイディ・アカリ」を含む30余名の移民船のクルーたちはナインに定着し、いっしょに運んできた凍結受精卵、人工子宮を用いて人口120万人を擁するナイン社会を作り上げた… しかし、原因が判らないままナインの社会では新生児が産まれにくくなり、人口が減少しはじめ、ついに“最後の子供”「ルナ」が生まれてしまう。

    たった1人、ナインに取り残された「ルナ」は、重度の怪我や治療法が確立されていない病気で、未来の治療に希望を託してコールドスリープしていた人間を順番に起こし始める… 「ルナ」は、自分が最後の子供になると知りながら、母親は何故自分を生んだのかを問いかける。

    「ルナ」と4人の女たち… 「マリア・D」、「ダイアナ・B・ナイン」、「関口朋美(トモミ・S・ナイン)」、「レイディ・アカリ(穂高 灯)」により、逆順にナインの400年の年代記が語られて行く、、、

    5人の女性の生きざまがそれぞれに生々しく描かれているだけでなく、コールドスリープから起こされた人々の語る日々が現代社会が抱える身近な問題を象徴するような事柄ばかりなので、意外と感情移入しやすかったですね。

    扱っているテーマは凄く壮大なのに、何だか身近に感じてしまう… 地球の未来を予見しているような不思議な感覚で読み進めることができましたね、、、

    子孫を残すこと、生きる目的等、珍しく哲学的なことも考えさせられたし、作品の世界観も大好きだし… 色んな意味で魅力に溢れた作品でした。

  • 悪いわけじゃないけどちょっと内容に比してクドかったかな。下巻は特にそんな感じがして、最後の方はサーっと流れていってしまった。

  • コールドスリープというトリックで、惑星ナインの歴史が巻き戻され…╱植民第一世代、搭乗員のお母さん役のレイディ·アカリは植民船·船長キャプテン·ケンの妻ではあったが、ケンは使命を終えて70歳で先立ち、長い老後をもて余していたところ、次代総督は、彼女に“永遠の母”となることを依頼してきた…╱日系人ばかりの移民船という設定で、キャラも結末も日本的。別惑星の大自然との融和╱発表の'96年当時さほど深刻に捉えられてなかった少子化、子を持てなかった女性的のステータス、という問題は日本に限らず戦争無い状況の男性優位後退

  • 内容は面白い。書き方を変えればもっと面白そう。

  • なぜ生きるのか、生きがいとは。
    誰かと生きるということ、関わっていくこと。
    個人と社会。多角的な視点を持つことができた。
    ストーリーも切なく、心にグッときた。

    文が途中から難解になってくどく感じる場面があったから星4つ!!

  • 生きることってただの自己満足だけど、その自己満足を見て嬉しいと思う人が居る、不思議。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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