草莽枯れ行く (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087474428

感想・レビュー・書評

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  • 幕末のいい男達を点描。志と友情と、仁義をハードボイルドであえた感じ。プロットは史実ではなく創作で、面白い着眼点であった。
    が、体調のせいか今ひとつはまれず。。

    青臭さも感じる志と革命に負けることのルサンチマンと、過剰な漢の演出。全共闘の青春を美化し吐露しているような印象を受ける。たた、ヤクザの生き方のみが美化されカタルシスを少し得られるか。。
    山岡鉄舟が登場すると聞き読んでみたが、命もいらず名もいらず程の為人に迫るものでもなく。
    ただ、相楽総三、新門辰五郎、次郎長について知れたのは収穫。


    杖下に死す、や、一人群せず、程の爽やかさ儚さはなく、水滸伝ほどの一人一人の造形は深くなく。
    けど本書の挑戦が、これらの名作につながっているのかも。

  • 相楽総三、清水次郎長、山岡鉄舟を中心に3人にまつわる人々の生涯と激動の幕末を描く。

    幕末を描く物語は旧幕府軍と新政府軍の対立という構図で描かれるのだが、ここは新政府軍内の軋轢がメイン。

    西郷と岩倉が裏で糸を引く役回りで、いまの西郷どんとは対照的でなかなか面白い設定。

    史実を読みたい人にとっては、登場人物は実在でもほぼ創作ストーリーなのでなんだよとなるかも。

    でもこの3人が主人公の物語なんてなかなかないので、大河にしても面白いんじゃないかなぁと思ったりして。

  • 歴史小説として買ったが、実際にはハードボイルド小説。このジャンルとしての出来は、良いものだと思うが、歴史小説として充てれないということで、3つ。

  • この本の中では清水の次郎長が登場人物の間をつなぐ触媒として大きな役割を果たします。調べたわけでは有りませんが、おそらく史実とは大きく異なるでしょう。北方さんの魅力はやはり男の描き方。この本の主人公である相楽総三、清水の次郎長ともに、やはりけれんみの無い男として描かれます。いつもそうだと言ってしまえばその通りで、マンネリと言えない事も無いのですが。。。でもその主人公の魅力で史実に関する違和感を消してしまえるところがこの人のすごいところなんだと思います。

  • 草莽の志士
    相楽総三を中心に幕末の志士たちの生き様と死に様とを見事に描いた作品だ。

    北方謙三氏の物語では、男とは、生きるとは、という問いに物語全体を通して様々な人物達が、それぞれの人生で体現している。

    熱い何かが自身の中からたぎってくる、涙なしには見れない漢達の物語だ。

  • 余り歴史には現れない「相楽総三」の生き様が、よく分かった。北方謙三の歴史小説は、相変わらず面白い。

  • 『死んだ人間にしてやれることはねえ。なんにもねえ。もしなにかやるとしたら、生き残った者が、自分のためにやることだ』

    渡世人の死生観だが、不思議にすとん、と胸のうちに落ちる。供養ってのは、浮かばれ無い自分の想いを弔う為にしているのかもしれない。

    赤報隊と相楽総三、名前位は知っていたけど、詳しい事は全然知らなかった。
    そしてこの本を読んで、もっと知りたくなった。

    『死に方を考えるって事は、生き方を考えるって事だ』

    俺も死に方ってやつを考えてみよう。

  • 偽官軍として処刑された相楽総三と清水の次郎長を主役に幕末史を描いている。相楽総三ってるろうに剣心の相良左之介のエピソード程度しか情報がなかったが、関東、中部を中心にかなりの活動を行っていたことを知った(創作の部分もあるにせよ)。次郎長の交友関係の広さにちょっと無理はあるが、倒幕、佐幕側両面の人物を描写するにはうってつけだったとも言える。
    白眉は西郷。怜悧で恐ろしい存在として描かれている。この西郷を主人公に西南戦争を書いて頂きたいと思う。一方で大久保利通は出番まるでなし…。

  • 次郎長を軸にしているのも、〃黒龍の棺〃のイメージのままの格好良い土方、良かった!

  • ≪作品紹介≫
    幕末。天下を憂う相楽総三は、志を持って仲間を募り、清水次郎長や土方歳三とも友誼を結ぶ。薩長に同心し倒幕のため働くが、待っていたのは偽官軍の汚名…。裂帛の歴史長編小説!(解説・井家上隆幸)

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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