王妃の離婚 (集英社文庫(日本))

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  • 集英社 (2002年5月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784087474435

作品紹介・あらすじ

1498年フランス。国王が王妃に対して離婚裁判を起こした。田舎弁護士フランソワは、その不正な裁判に義憤にかられ、孤立無援の王妃の弁護を引き受ける……。第121回直木賞受賞作。 (解説/池上冬樹)

みんなの感想まとめ

歴史的な背景を舞台にしたこの作品は、1498年のフランスでの王妃の離婚裁判を中心に展開します。田舎の弁護士フランソワが、孤立した王妃のために不正な裁判に立ち向かう姿が描かれ、読者は彼の奮闘を通じて同時...

感想・レビュー・書評

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  • これは面白かった!!

    佐藤賢一氏の小説は初読み。歴史書である新書『テンプル騎士団』が面白かったので読んでみました。

    ヨーロッパの歴史を舞台にしたエンタメ小説。
    ちょっと下ネタ満載なのでR15指定してもいいくらいですね。
    でも面白い。

    この時代ってキリスト教がすべてにおいて優先されるので裁判も教会が仕切っていたのですね。勉強になる。

    いわゆる離婚裁判なのですが、この当時のキリスト教では離婚は禁じられています。
    ではどのように離婚を?となりますが、そこは抜け道があります。

    その結婚は最初から無効だったのだ!

    と唱えるわけです!

    ・・・ってそりゃ詭弁だろ!

    いろいろとツッコミどころ満載の当時の制度ですが、いやはや、昔の人と言えど、やはり同じ人間。同じ悩みがあるのですなぁ。

    まあ、すごく面白かったので、ヨーロッパの歴史に興味がある人はぜひ一読を。

  • 主人公フランソワのかつての恋人、美しく勝ち気なベリンダ。
    「醜女」と嘲笑われ、国王から離婚訴訟を起こされるジャンヌ。
    アンボワーズの逞しいおかみさんたち。
    物語に登場する女たちは凛としていて、とてもエネルギッシュ。内面から溢れ出るのは美しさ。
    女たちがとても魅力的に描かれている物語だった。

    主人公は、若かりし頃に挫折を味わった男、弁護士のフランソワ。
    ある因縁の相手でありながらも、被告である王妃ジャンヌの勝ち目のない弁護を引き受ける。
    やさぐれていた男が、もう一度立ち上がり困難にぶつかっていく姿。過去の自分を正面から見据えると同時に、王妃に対しての感情も変化していく姿。王道的なストーリー展開なのかもしれないけれど、それが心地よいほど面白かった。
    萎れた花のようだったフランソワが、時には暗殺未遂にあいながらも、国王という巨大な敵に戦いを挑み、不利な状況を打破していくうちに、いきいきと自信の満ち溢れた花を咲かせていく。そんな姿に格好いいと思いながら、現状に満足している自分に、それでいいのかとお尻を叩きたくなる。

    実のところ、第一印象とかなり印象が変わった男が私には一人いた。
    暴君ルイ十一世の近衛隊長、オーエン。
    彼は最後まで「ルイ王の犬」としての道を貫き通す。その姿に、最初はただの暴力男だと思っていた。けれど、どれだけ自分の仕えた王が悪者とされようとも、一度忠誠を誓ったのなら最後まで貫き通す姿に、いつの間にかオーエンの登場を心待ちにしている自分がいた。
    王を守って死ねずに生きた近衛兵が、その娘を守ることで、やっと本懐を遂げられた。でも、私はフランソワやジャンヌとともに、とても、とても悲しかった。

  • 私の好きな三宅香帆さんのオススメ本の一冊。
    初めは読みにくく、小難しい設定と言葉で面白みを感じなかったが、途中から猛烈な面白みが!心の底から湧き上がるワクワク感、爽快感、ハラハラ感があり、極上の読者体験になった。決して読みやすくはないが、エンターテイメント性が高い作品だ。
    悩んだが、総合的に考えて⭐︎5!

  • 落ちぶれた天才が、圧倒的に不利な状況を、法廷での華々しい論争、国際政治と世論を用いた盤外戦術で、ひっくり返すところが非常に面白かった。ただ、最後の結末は、物語の最初の方でわかるので、星4つ。

  • この手があったか、中世の法廷世界でも圧倒的力量で読ませてしまうのはさすが。

  • スカッとする読み心地で爽快でした。
    西洋史について詳しくないので、ルイ12世とかシャルル8世とか言われても、歴史で習ったかも?…くらいの認識でしたが、全然問題なく読めました。むしろ丁寧に時代背景も説明してくれて興味深かったです。

    本書は王と王妃の離婚裁判についてですが、そもそも、キリスト教では離婚っていうのは許されていないんですよね。でも、どうしても結婚したけどうまくいかない…別れたい…ということはある。そこで登場するのが「結婚の無効取消」。つまり、はじめからなかったことにする、というもの。随分突飛な話だと最初は少し笑えましたが、離婚が許されない以上やむを得ないんでしょうね。

    さて、王妃には伝説の弁護士がついて裁判を戦うわけですが、こんな話をリーガル・スリラーというようですね。私は弁が立たないので、言葉を巧みに操る人に憧れます。さすがは弁護士。ただ、言い負かせば勝ちというわけではないし、裁判に勝つことがすなわち依頼人の幸せに直結するかというと、必ずしもそうではないのが深いところですよね。

    特に男と女の関係について、別れるにあたって「二人だけでは感情的になってしまう数々の問題を整理する」なんていう場合に裁判は有効かもしれないけど、第三者が別れないようにもっていく、なんてことが裁判でできたとしても、残念ながら上手くいく見込みは低いですよね。それでも、諦めきれない女性の気持ちがわかるから、それが切ない。

    そして何より切ないのが、べリンダの話。強がりで奔放なべリンダ、すごく好きでした。「結婚」についても様々な形があって、結婚とは・・・というものについて考えさせられました。結婚を通して家族になるのも素敵だし、結婚をしないでずっと男と女の関係でいるのも潔い。どちらがいいというものではないけれど、大切な人とずっと一緒にいられたらそれはすごく幸せなことなんだろうなぁとしみじみ思いました。

    どこまでがノンフィクションかわかりませんが、読み応えのある満足な1冊でした。

  • 男性の観点から描かれる、ちょっとデフォルメされた女性像が若干引っかかるところがなくも無いけど面白かった。
    あとがき読んで佐藤賢一さん作品読破したるでえええって気持ちがわいた。笑

  • 王妃の離婚裁判に関わらざるをえなくなった弁護士。彼は弁護をしながら自らの過去と向き合うことになっていく。相手を徹底的ににやり込めた時に王は弁護士に何をするのか。若き日の悲恋が最後に報われる。カノン法がよくわからなくても、面白く最後まで読める。直木賞受賞作。

  • どうしようもないフランス王、ルイ十二世から離婚裁判をおこされた“醜女”ジャンヌ王妃の実話をベースにした物語。絶対不利な状況で弁護人に雇われたのは、舌鋒鋭いながら過去にトラウマを持つフランソワ。細かな心情を執拗に描き出す佐藤賢一氏らしい作品は、ハマらないと読むのが辛くなるが、この作品はどんどこ読みたくなる展開に、執拗な描写が見事にハマって、調子良く読み進めることができた。ラストの仕掛けもわざとらしくなくドラマチックで、ハリウッドで映画化したら面白そうと思ってしまった。

  • 裁判モノとしての面白さもあるが、男女の一言ではあらわせない心や在り方について考える一冊でもある。
    結婚とは何だろう、そこに何を求めるんだろう。何せ一生をかけてまで共にあろうというのだから。
    まあ今となっては、そこまで深刻に考えることでもないのかもしれないけどね。

    いかにも男性の書いた作品だという感がした。
    女性の肉感的にして瑞々しい魅力がふんだんに描かれている。女性が女を書くとこうはならない。もっとヒステリックで、不快で、神経質になる。
    異性からみた女性の魅力はこうなんだな~と思った。というか、理想の女性像なんだろうか。

    当の裁判はやったかやらないか、という下世話な議題を延々と繰り返しているのだが、そうでもないと離婚できないご時世だったのね。
    王妃が簡単に離婚できてもそれはそれで問題かもしれないけどね。
    痛快な部分もあればスリリングな部分もあり、最後には男女についての一つの答えのようなものもあり、色んな楽しみ方のできる一冊。

  •  佐藤賢一の第121回直木賞受賞作品。Eテレ「100分de名著(2013年2月)モンテクリスト伯」の指南役として登場したので、彼がどんな作品を書いているのか読んでみることにした。

     著者の佐藤賢一氏は鶴岡市生まれ、東北大学で歴史学やフランス文学を研究し、大学院の博士課程を出ているそうだ。だからこそフランス革命前後の社会情勢や人物に詳しいのだろう。

     弁護士フランソワが請け負ったのは、フランス王ルイ十二世から離婚訴訟を起こされた正室のアンヌ・ド・フランスの弁護だった。それまでいい加減な弁護団で、全く不利だった裁判の行方を、だった一度の公判ですっかり形成を逆転してしまう。フランソワの快進撃が始まった。

     これらにフランソワの若い頃の出来事や失態なども重なり、裁判の行方に影を落としていく。

     筆者の西洋史や宗教史、ラテン語などの深い知識が作品にとても濃い味を付けていると思う。それを深く学んだ者だからこそ湧き上がってくるものがあるのだろう。フランソワが弁護を引き受けてからは一気に読んでしまった。サスペンス的雰囲気もあり、どんどん先を読ませる迫力があった。こういうのをリーガル・スリラーというらしいが、本当に面白かった。佐藤賢一の他の作品も読んでみたい。

  • 小説と言えばそれまで教科書でしかしらなかった私にとって、衝撃的な内容だった。西洋歴史モノ+サスペンス+下ネタというなかなか無い組み合わせ。小説におけるエンターテインメントを初めて教えていただいた。石原慎太郎が激賞してたそうです。

  • 法定スリラーの舞台を中世に設定する発想が面白い。実際にあった実在するルイ12世の離婚をベースに、教会法や聖書の詳細な知識がリアルさを高めているが、気になる史実の方はさすがに小説ほどドラマチックな事件ではなかった模様。中世の教会といえば魔女狩りや拷問などのイメージが先行しがちだが、それは稀なケースであって、民事裁判所として法も体制もうまく整備されており、現代の裁判の原型になった経緯も垣間見ることができる。ちょっとストーリーに無理が生じてるケースもあるが、前情報なしだと展開が楽しみでより読み応えが出るはず。

  • 海外の歴史小説系でしかも中世の裁判だの宗教だのって、とっつきづらく思って長年積んでいたのだけど、登場人物も話も舞台のように掴みやすくて見所が多く、あっという間に読み終えた。彼の想像もつかない長広舌の弁護と、恋人ベリンダの魅力と当時のインテリ学生の若く熱い勢いが小説全体を覆っている。基本的に痛快なやりとりが多くてイヤミスとか嫌な気分になる場面も少ない。1999年とちょっと古いからしょうがないのかな、王族の裁判の話なのに下品とまではいかないけどエロというか世俗的で官能的な表現やシーンが思ったより多い。それが痛快で魅力なわけだけど。

  • 関ヶ原の戦いのころのヨーロッパの裁判小説。
    王までが裁かれる法廷があるのは、作者の創作か?

  • 中世が舞台のリーガル・サスペンス。人間の、男と女の、みっともない、でもどこか愛おしい、生の姿がありありと描かれている。
    序盤で何度か脱落しかけたが、100ページを超えてからは俄然面白くなり、最後まで一気に読むことができた。
    もっと小難しい話かと思っていたら、意外と…会話シーンなどはキャラノベか?と思うような雰囲気も(個人的にはもう少し抑えめが好み)。
    歴史に疎くても十分楽しめる。ルイ十二世とジャンヌの離婚が史実だというのも読み終わってから知った。

  • 想い出と現在との関わり、
    登場人物のディテール、
    当時の文化など、
    非常にうまく繋がって、飽きさせず、
    一気に読まされました。
    真実をついている、と思わされる箇所も多々あり、
    とても面白かったです。

  • 再読。

    これは名作、何度読んでも面白い。
    物語の爽快感がもう抜群。
    熱い弁護士の一挙手一投足に溜飲が下がりっぱなし。
    どの登場人物も魅力があり、特に女性が魅力に溢れかえっていて堪らない。
    この先も何度でも読み返す作品。

  • 121回 1999年(平成11)上直木賞受賞作。15世紀フランスの法廷小説。戦略的な離婚を申し立てられた王妃につく弁護士の話。よくぞこのような小説設定を思いついたものだと感心した。おもしろい、おすすめ。次はコミック化されている『傭兵ピエール』を読もうかな。

  • 15世紀のフランス。時のフランス王ルイ12世は、王妃ジャンヌに対して政治的理由そしておそらく個人的な感情からも離婚裁判を起こしていた。王妃にとって圧倒的不利かに見えた裁判だが、かつてパリ大学で名を上げたものの今は田舎に潜んでいたフランソワ・ベトゥーラスが王妃の弁護についたことで状勢が一変する…。

    歴史小説としても、法廷ミステリーとしても楽しめる一冊で二度美味しい直木賞受賞作。
    ずっと前に読んでたけれど友達に譲ることになり、手放す前に再読した。

    法廷ミステリーといっても、中世フランスの法廷はイコール教会なので、厳密に法律が全てを支配するわけではない。
    その場の空気を読んで傍聴席の大衆を味方につけることが大事だなんて、まるで陪審員制度を採用しているアメリカで数多く作られている法廷ドラマとまったく同じ手法だ。
    とっつきづらいテーマを扱っているかと思いきや、実際には下ネタが多く(まぁ、婚姻が有効か無効かとは、つまるところヤったかヤってないかっていう話だから…)完全にエンターテインメント。特徴のある作者の文体に慣れてしまえば、面白くスラスラ読める。

    隠れたメインテーマとして「男女の愛情を繋ぎ止めるものは何か/結婚とは」がある。20代前半に読んだ時には何とも思わなかったけど、数年経ってみてもう一度読み返してみると、この作品のラストが提示している前向きな諦念とも言えるべき考え方はしっくりきた。

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著者プロフィール

佐藤 賢一(さとう・けんいち):1968年、山形県生まれ。東北大学大学院でフランス中世史を専攻する。1993年、「ジャガーになった男」で、小説すばる新人賞を受賞してデビュー。1999年、『王妃の離婚』で直木賞を受賞。2014年には『小説フランス革命」で毎日出版文化賞特別賞、2020年に『ナポレオン』全3巻で司馬遼太郎賞、2023年に『チャンバラ』で中央公論文芸賞を受賞した 。他の著書に『傭兵ピエール』『二人のガスコン』『オクシタニア』『女信長』『新徴組』『ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ』『遺訓』『最終飛行』など多数。

「2025年 『歴史小説のウソ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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