働く女 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087474503

感想・レビュー・書評

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  • 働く、というのは改めて大変だと思いました。この本は20年ぐらい前に書かれた話ですが、今なら大問題(ハラスメント的な)になるような環境で耐えて、何か違うと思いながらも各話の主人公達はそれぞれの理由があり働いてます。今もそういう方はたくさんいると思います。

    何年か前に職場体験に来た中学生に「何のために働くのか?」という質問をされたとき、私は「生きていくため」と夢のない答えをしてしまいました。でも、今も同じ質問をされたら同じ答えです。それで「毎日楽しいのか?」と聞かれるとどちらかと言えば「楽しい」と答えると思います。仕事で嫌な思いや悲しい思いもしますが、嬉しい事、癒しがあり、あと同僚との(上司も含みます)たわいもない話が楽しいです。職場に恵まれているから楽しいと思います。

    だからなのか、「いろいろあって、おもしろい?」という話が私の状況と似てるので一番面白かったです。職種はまったく違いますが。

  • さまざまな職業の女性の短編集。初版が出たのは1999年12月ということで、女性を取り巻く就労環境や価値観など、現在と異なる感じはあったが、とても読みやすかった。10章/10人の女性の物語。企業に勤める女性だけでなく、エステティシャンや、コンビニ店員、百貨店外商部、フリーライター、女優などなどバラエティに富んでいて面白い。職業というよりは、その職業を持つ主人公の生活や周りとの関係に焦点が当てられている。特に「フリーライター」は群さんの実体験もふんだんに反映されているのではないかと思った。

  • これまで『でも女』(9784087486919)・『ひとりの女』(9784087461268)と読んできてからの、群ようこ先生による『〜女』シリーズ三作品目を積読から手に取った。

    正直、過去の作品に登場した数々の女性主人公達は個人的にはスッと受け入れ難いというか、場合により嫌悪も抱いたので恐る恐る読み始めたが、案の定というか、やはりこの作品集も冒頭からしんどかった。

    10話収録。

    過去作品も含めた解説を読む限り、これら『〜女』シリーズ作品群は’共感’’リアル’’抱腹絶倒’みたいな点が魅力なのだと見受けたが、果たして本当にそうなのだろうか。
    いわゆるテンプレ的昭和の男性優位社会をこき下ろす、という方向性や’○○な女’的な女性同士のいざこざを面白がるというコンセプトはわかる。
    そうなんだけど、結局この物語を読んで何を感じとれば良いのかがちょっとよく分からない。
    溜飲を下げるにしても、どの話も突然終わってしまうので’え、だから?’と不完全燃焼だし、いざこざの模様も状況を書くだけ書いて’こんな女がいますよ〜’で終わってしまうのでオチもなければ読んだ我々のフラストレーションのはけ口もない。

    少なくとも10刷まで版を重ねているので売れている(売れた)のだろうと思うが、女性が読んだらまた違った感想になるのだろうか。

    とはいえ、〈だからおやじはイヤになる〉で描かれたパソコン普及黎明期の「プロバイダに接続しなきゃいけませんね」(p46)とか「ブラインド・タッチっていうんです。」(p49)みたいな文章はすごく懐かしくてホッとしたし、〈とりあえず子連れでレジを打つ〉は20年前当時の状況は言うに及ばず現在においてもシングル育児問題として実際感を持って読むことが出来た。確かに今の私の職場に乳幼児は連れていけんな…。


    10刷
    2022.8.24

  • ここから物語が始まるのに、そこで終わるんだ。斬新です。何回かループするのか思うたら、それっきりが斬新です。群さんの本当に読み易いし、サクッと仕舞えるし、何よりまた読みたくなる。働かないの、パンとスープとネコ日和が本当に好きで続編待ち遠しいです。

  • 時代を感じる
    同じ働く女としてわかる部分もあるし、全然分からん部分もある。

  • 身近にある日常生活を書いとって読みやすかった。
    主人公と自分が共通する部分があったり
    共感できたりした。
    けど短編小説あるあるではあるけど、
    もっと続きが読みたかった。
    で...?
    ってなることがあった。

    けっきょくマジメは損をする?
    は本当に共感できた。
    頑張りよるだけなのに職場で浮いとるような感じ
    頑張りよるだけなのに、なんで?って思う。
    わかるわかるってなった。

  • そういえばこれまで読んだ群ようこの本に出てくる女性は、あまり仕事に満足していない人が多い。特に少し前の小説では、結婚して働き続ける女性や独身女性への社内での風当たりの強さがよく書かれている。今では、少なくとも首都圏ではセクハラ、女性差別だが、それが普通だった時代に働きたかった女性は憤懣やる方なかっただろうなあ。

  • あまり評価が良くないけれど、個人的にはすきな作品でした。
    全10話の短編集。色々な職種で働く女性の日常を切り取っている作品。
    良いなと思った理由は、正解というか答えが特にない作品であるということ。初版は2002年ですが、今の時代に読むことである種の救いになるのではないかと思えたこと、です。

    脱線しますが、私が読む作品はミステリーが多かったり、長編小説がメインなので、ある程度の結末が用意されているじゃないですか。
    作品としての結末以降の予想は読者に委ねられるけど、そこにたどり着くまでに伏線が回収されたり、読者の中で物語が消化されてハッピーエンド、バッドエンドの決着がつく(ことが多いと思うしそういう作品を読んできました)
    ただ今回は、なんとなくそこに違和感が生じました。久しぶりの小説、しかも短編だったこともあるのかもしれないけれど、1作品を読み終わった後に判断ができない。もどかしいと同時に、それが毎作品そうなので、それでいいんじゃないかと思ってくる。そうすると、現実での生活にふと向き合えた気がしたんです。
    なぜそう思ったかというと
    これは私の性格も関係あると思うのですけど、最近の世の中って「キラキラしていること」が正しいみたいな風潮はありませんか?笑
    SNSの台頭で、特に若年層は顕著だと思いますけど、インスタなどで映える日常を投稿することが普通ですよね。各々の生活のキラキラした部分の断片があたかも生活全部のような印象にもなるし、そういった人に憧れる人が増えるにつれてそれ自体もマネタイズされてくる。承認欲求は満たされるしお金も入る。良いことしかないです。

    でも、日本国民みんなそんな幸せな毎日送ってないですよね?楽しい日もあれば辛い日もある。不器用にしか生きられない人もいるし、自分の目の前にある幸せだけで満足している人もいる。

    毎日が平凡でもそれを積み重ねていくしかないひとだって沢山いる。

    そんな当たり前のことが、今の世の中だと埋もれてしまうというか。「そうあることがマイノリティなんだ」という無言の圧力を感じていたんです。自分がね。
    だからこそこの作品を読んで、そうだよ、みんなこうやって生きてんだよなーって実感させてもらえた気がしたんです。

    私はどちらかというと色々なことにチャレンジして毎日刺激を求めるタイプですが、やっぱり疲れるしそんなにうまくいきません。
    それでも良いんだよっていうのを感じ取れる作品だったという印象です。

  • 人物や状況にむかむかしたり、「で?」とか「は?」とか思ったり。
    でもするする読み進めてしまう。手が止まらない。
    そして感想書きながら、今、あ、これ暇なときにガールズちゃんねるを読んじゃう心理に似てるんだなと気づく。
    あとはくだらない芸能人整形記事とかなぜかどんどん読んじゃったり。
    別に読後感もよくなく、何も救われないことで、かえってすっとする面もあるなと。
    自己啓発本やスペクタクル小説とか気合い入れて読みたくない自分の時に、でも何か取り入れたい時に、こんなデトックスもあるぞと。
    そんな感じ。

  • いろんなタイプのお仕事をしている女たちの話。

    奇しくも私は今日から、前の仕事を辞めて6年間、内職をしていたとはいえグータラな主婦生活を卒業し、パートだけど働き始めました。
    だから職種は違うけど、女たちのがんばりが伝わってきて励みになりました。 

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著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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