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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784087475777
作品紹介・あらすじ
伝統ある男子校で寮生活をおくる少年たち。年末、4人の少年が居残りすることに。人けのない寮で起こる事件を通して明らかになる「秘密」とは。奇蹟の一週間を描く青春ミステリー。(解説・吉田伸子)
感想・レビュー・書評
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伝統ある男子校の寮「松籟館」で、冬休みを迎え、多くの生徒たちが帰省する中、ある事情を抱えた4人だけが寮に残る。
食料の買い出しと自炊生活。ひとけのない寮での自由な生活が始まるのだが、クリスマスイブの「告白」ゲームをきっかけに事件がおこる。
暴風雨の中、幽霊騒動もあって、初めは学園ものミステリーのような雰囲気だったけれど、他人と一緒に過ごすうちにそれぞれの役割というものも出来上がってきて、4人の友情が深まっていく。
少し大人びた高校生たちだなぁと思っていたけれど、彼らの抱えている家庭の秘密が凄絶すぎて、劇的だったことに驚いた。
からりと晴れた青空の下でテニスを楽しんだり、ランニングをしたり、高校生らしい一面も見せてくれたり、この7日間がものすごく長く感じられた。
恩田陸さんらしい、上質な青春グラフィティだった。
寮生活、お互いの打ち明け話、職員に隠れての酒盛り、そのどれもが有意義で、短いけれど一緒に過ごした時間そのものが青春だなぁと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ネバーランド、この名前で思い浮かぶのは故マイケル・ジャクソンの自宅が有名だと思いますが、Wikipediaでは、『ピーター・パン物語に登場する架空の国である。親とはぐれ年を取らなくなった子どもたちが妖精とともに暮らす。』と書かれています。う〜ん、何だかこの作品にぴったりだと思いました。
『学園生活はバランス感覚が全てだ。いったんクラスの中における互いに割り振られたキャラクターを了承しあってしまえば、あとは約束された毎日を過ごしていける。』微妙なバランスの上に成り立っている学校生活、会社と違って発令上の上下関係があるわけでもなく、閉ざされた中に多種多様な価値観がぶつかり合う世界。人によって印象は違うかもしれませんが、この世界を生き抜くことはそうたやすいことではありません。そんな学園の冬休み。みんなが去って4人だけが学園寮・松籟館に居残ります。同じ場所なのに4人になってバランス感覚が全く変わってしまったことに戸惑う彼ら。4人の世界での人間関係作りの模索の日々が展開しました。
これはミステリーではありません。謎解きも一応あり、しかも片方は二段オチです。でも最初のオチは流石に読者からのクレーム殺到必須の無理筋。もう少し納得できるようにしたという感じで二段オチとなるのですが、それでも超おまけという感じ。でもそんなことどうでも良いのです。この作品はそこではありません。
『誰かの秘密を聞いたことで、自分の秘密も話さなければならないような義務感が心のどこかに生まれてくる。』告白か実行か。想像の上をいく告白内容に戦慄が走ります。ここまで重苦しく重量級の内容が彼の口から話されるとは思いませんでした。自身があの場所にいたとしても、それを聞いて言葉を返すことができるのだろうか、ただただ驚愕しました。でも、そんな重い雰囲気を和らげるのが酒とタバコの印象でしょうか。高校生ってみんなこんなにも自然にグビグビ、プカプカやっているのかという呆れの感情も入って、トータルで重さが緩和される感じです。そして、こんなに語り合って、語り明かして、全てが懐かしい想い出になるんだろうなという全てが決着するエンディングが訪れます。
甘酸っぱくてほろ苦い、でも、物凄く爽やか、物凄く青春、そしてそこから輝く未来が垣間見える終局。恩田さんの学園ものの傑作と言える作品でした。-
コメント、ありがとうございました。音楽って、生活の一部ですが、言葉では表すことのできない影響を及ぼしてきます。その言葉で表しにくいものを、言...コメント、ありがとうございました。音楽って、生活の一部ですが、言葉では表すことのできない影響を及ぼしてきます。その言葉で表しにくいものを、言葉で表現しようとする著述家たちには感心します。
恩田陸は、少しづつ読んでいきたいです。なかには、変なのもあるんだよなあ。2020/02/12 -
はい、こちらこそいつもありがとうございます。
音楽と文学の融合?のような「蜜蜂と遠雷」が私の読書との出会いですが、恩田さんの作品の幅の広さに...はい、こちらこそいつもありがとうございます。
音楽と文学の融合?のような「蜜蜂と遠雷」が私の読書との出会いですが、恩田さんの作品の幅の広さにはつくづくすごいなぁと。
このネバーランドは久しぶりの恩田さんの作品でしたが、いかにも青春感満載かつスッキリした読後感で恩田さんの作品完読に向けて読んでいきたいと思いました。2020/02/13
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伝統ある男子校で寮生活を送る高校生が織りなす青春ミステリ。冬休みも寮に残ることを決めた3人と寮に顔を出す通いの生徒1人。それぞれが大きな秘密や悩みを抱えていて、1週間に渡って告白ゲームをすることで、それぞれの秘密が明らかになっていく。
4人の抱える問題があまりにも深刻すぎるため、なかなか感情移入しづらいところはありましたが、それぞれが下した決断と成長は称えたい。 -
読む前は少年達の寮で過ごす冬休みに起きる出来事で彼らが成長していく話なのかなと思っていたがそんな軽いものでは無かった。
それぞれ家族との抱える問題の闇が深すぎて驚く。
そのうち1人の少年の告白の重さに耐えきれなくて止めさせようとすると話していた少年が激昂し好奇心まるだしで聞きたがるくせに話の内容が聞いていられないと分かると止めると言い話を続ける。
人の触れてはいけない部分に触れようとする事への覚悟と、その過去を抱えたまま未来を見ている少年達に最後は少し明るい気持ちがもてる。 -
冬休みの寮に訳ありの4人が残る。
不穏な空気の中、4人の告白が始まる。
男子高校生の会話がバカバカしい時もあれば、それが彼らにとっての優しさの時もあり寮生活っておもしろいなって思った。 -
男子校の古い寮に住み、年末帰宅せず寮に残った 3人と、通学組の1人。3人は寮を贅沢に使い、1人も夜には加わって鍋をしたり、テニスをしたり、バーベキューをしたり、ランニングしたりと楽しい日中を過ごします。一方で夜にはゲームの勢いから「告白」をすることになり、一人一晩ずつ重たい過去を話すことになり‥というお話でした。
最初はしんどくてどうやって終わるんだろうと読み進めていましたが、後半の光がさしてくるような気持ちの変化には驚きました。もちろん許されないことや、解決していない問題は残っているものの憑き物が取れていくようで、私は読者のはずなのに4人とこの7日を過ごしたようでした。
4人の背負っていたものはそれぞれがとても重いものでした。なのに、翌朝にはけろっとしている。たとえ平穏を演じているのだとしても、そのあっさり感がとても良かったです。寛司の両親が寮のリビングルームに訪れた時も、3人がわざと軽く言葉を使っていたり、気まずさや憤りを自室で落ち着かせてリビングへ戻って来る寛司の対応には感心しました。思春期と言われる時期に苦しいものを吐き出すことができて、しかもその場にいた友人と次の日にはあっけらかんと過ごすことができる。この7日間は4人にとってかけがえのない期間だったと思います。
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たった七日間、寮に居残る年末休暇のこと。
4人の少年が過ごす日々はミステリーが起こるわけでもないのに多彩で、山あり谷ありで、非日常がゆっくり進んでいくものだった。
私個人が棒に振った高校生という時間を、こんな風に過ごしたかった。
人の塊になった時のポジショニングで悩みながらも、居場所を見つけて。
居心地のよい空間。
楽しいと思える時間。
秘密の共有。
何より自分に素直になれていたら、今の私は違っただろうか。
人間は10代の頃に手に入れられなかったモノに一生執着するという。
私の場合は「青春の時間」かもしれない。
そんなことを考えさせられた一作でした。 -
男子校の寮を舞台にした学園もの。登場人物も限られていて設定も分かりやすく、テンポ感もよく、一気に読めた。
それぞれが家庭に事情を抱え、寮生活のある高校を選んだ4人の「告白」を軸に話が進んでいく。冬休みで他の生徒は帰省していて、寮にいるのはこの4人だけ、という設定がとてもワクワクさせられる。皆の「告白」は大層重い内容なため、明るいばかりの話ではないけれど、合間合間のゲームや酒盛り(!)や買い出しの描写などがとても楽しそうで和む。高校生で友達と寮生活はさぞかし楽しいだろうな。
この本で「松籟」というものの存在を初めて知った。調べたら「松濤」も同じ意味だったのか。どんな音だろう。割と身近に松が沢山ある環境にいたけど、感じたことは無かったな。今度機会があったら意識して耳を澄ませてみたい。 -
みんなそれぞれの事情を抱えながらもお互いを尊重していつもとは少し違う日常を過ごす。
四人のなんとも言えない絶妙な距離感がふわふわしてて不思議な読後感でした。 -
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進学校の男子寮で年越しを過ごす同級生4人の物語。年越しのたった数日を描いた小説だけど、長い年月を書いてるように濃い。
あるゲームをきっかけに、4人それぞれが自身についての告白をしていく、というのが主な軸になっている。
その告白が、結構ドロドロしている。ともすると陰鬱な、三面記事的な内容の告白なのに、小説全体がそうならずに進んでいくのは、恩田陸さんの力量なのかもしれない。
監視する大人のいない、4人だけの生活で、自然と自分の秘密を明かす雰囲気になるのはわかる気がした。お泊りパーティーのような背徳感と普段とは違う近い距離感が、そうさせるよなぁと。
そして、そこで流れていく時間こそがネバーランドなのだ、と思った。
4人がそれぞれに重たいものを抱えて生きているにもかかわらず、読後感は、爽やかな青春小説に思えた。
途中ミステリー的な要素もあり、青春小説とは言え恩田陸さん要素も欠かさず含まれていて、楽しく読めた。 -
伝統ある男子校の寮に、年末帰省せず居残った(または居着いた)4人による青春物語。
とはいえ、「青春」と単純にひとくくりにしてしまえるほど甘いノスタルジックな話ではありませんでした。互いの距離感が絶妙です。共同生活のパートナーとはいえ、普段から大の仲良しではない。なんとなくの腹の探り合い。無邪気に踏み込んで踏み抜く地雷。やがて溶け合う意識、浮かび上がる闇。
どこまでも静謐で、しかし物語はしっかりと動く。このカラーは高校の寮という設定あればこそで、ああやはり青春ものだなあと一周回って感心させられました。ハラハラドキドキしなくてもいい。こんな冒険譚もアリでしょう。 -
青春、まさにネバーランド
この時間が永遠に続いてほしいと思うけど、
決して戻れないかけがえの瞬間
こんな時間あった
卒業したらまったく会わなくなったり、
ここまで深い絆は感じなくなったけど
日常に埋もれてしまった青春
あの頃は自分たちが世界の中心にいて、
なにも怖いものはなかった
なんかの歌詞みたいだけど
主人公の4人が最初はぎこちないけど、
それぞれの秘密を共有しながら絆を深めていくのが
微笑ましい
最初は疎ましかった統が、いちばんイイ奴に
思えてきた
“学年モノ”ではあるけれど、男子寮なので
他の作品とは異なるテイストが好き -
本を開いた瞬間に行間の狭さとぎっちりの文字数に圧倒されて正直読み切れるのかという不安がよぎったが、主人公含め冬休みに松籟館に残った4人のどろどろとした家庭環境と何故か本を読んでいると感じる爽やかさの相反する二つの要素が癖になり一気に読み終えてしまった。
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歴史ある男子校の寮「松籟館」。ほとんどの生徒が帰省する冬休みに、その寮に残った美国、寛司、光浩と、実家で一人暮らしをしているが、毎日、寮に顔を出す統の4人は、生活を共にするうちにお互いの秘密を知っていく。一見、恵まれた環境にある彼らが抱える「秘密」とは。
ブクログでオススメしている人がいたので購入しました。難しい話もなく、物語の序盤で匂わされた「秘密」が気になって、スイスイ読めました。また、秘密を曝け出す事で、各々が段々と仲良くなっていく様が見てとれて、心に響きました。
ただ、秘密の一つ一つが、かなり暗いので、ほのぼのとした日常パートと、秘密について語るパートとの温度差が激しかったです。日常パートも時々、ピリッと緊張感の漂う場面もあって、思春期の不安定さが表れているなと感じました。
その様な男子高校生ならではの、子供とも大人とも言えない絶妙なバランスが、物語のスパイスになっていて、程よくハラハラ出来るので、ドキドキする様な物語を読みたい人にはオススメです。 -
男子寮の話、それぞれ悩みを持つ4人の年末年始の過ごし方
作者のあとがきのとおり、菱川はいい人過ぎるので、なんとなく物足りないので、せめてプレイボーイ的なキャラが良かったきがする。
それで予定調和になるのではと考える。
最近は身勝手な事件が多く、分別のある大人について考えさせられ、こんな青春物語も癒される。 -
真冬を舞台にした物語、真夏の夜に一気読みをした。年末帰省をしない4人の学生寮での1週間を描いた物語。
有名校の由緒ある古い建物の寮。私は寮生活を経験しておらず、少し憧れを抱いていた。それはある種青春の代名詞のようなものさえ感じる。若者らしく冬の寒さの中でも活発に行動する日中と、それぞれが抱える過去や現在の苦悩を打ち明ける夜。誰にでもある裏の部分が少しずつ解かれていくのだが、それでも次の日にはほとんどあっけらかんとして過ごす潔さに心地よささえ感じた。ゲームの罰ゲームのようなものとはいえ、心の中にある闇を打ち明けられる仲間がいてよかったなと思う。
新しい年には前を向いて歩き出せるようなきっかけが年末には転がっている。大掃除で部屋を整え、いい年になりますようにと最後はエールを送りたくなった。 -
男子高校の寮に冬休み、4人の少年が残った。冬休み中に彼らの仲は深くなり、やがて互いの秘密を語り出す…。
親との辛い過去、確執、一度も人に語ったことのない恐怖感を4人が共有し合うことで、気持ちは重くなるけれど、その分絆が深まっていく。
自分の負い目を話した後に、彼らのように真剣に受けとめてくれて、その後何事もなかったかのように笑い、ケンカし、日常生活を送れるような友人に、私も出会っているのかもしれない。
今まで人に話したことのない自分のことを話してみると、新たな発見があるかも。 -
昭和生まれと思われる男子高校生たちの青春グラフィティ。読んでいるうちに何となく映画のアメグラが頭に浮かび、4人の登場人物が被って懐かしくなった。美国=ロン・ハワード、光浩=リチャード・ドレイファス、寛司=ポール・ル・マット、統=チャールズ・マーティン・スミス…という感じで。それぞれの秘密が結構悲惨で、ほとんど密室劇なのに閉塞感のない、スッキリ爽やか系の恩田作品。20年後の彼らに会ってみたくなった。
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なぜみんな子供を産むのか、の件が面白い。
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