- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087475777
感想・レビュー・書評
-
冬休みの寮に訳ありの4人が残る。
不穏な空気の中、4人の告白が始まる。
男子高校生の会話がバカバカしい時もあれば、それが彼らにとっての優しさの時もあり寮生活っておもしろいなって思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史ある男子校の寮「松籟館」。ほとんどの生徒が帰省する冬休みに、その寮に残った美国、寛司、光浩と、実家で一人暮らしをしているが、毎日、寮に顔を出す統の4人は、生活を共にするうちにお互いの秘密を知っていく。一見、恵まれた環境にある彼らが抱える「秘密」とは。
ブクログでオススメしている人がいたので購入しました。難しい話もなく、物語の序盤で匂わされた「秘密」が気になって、スイスイ読めました。また、秘密を曝け出す事で、各々が段々と仲良くなっていく様が見てとれて、心に響きました。
ただ、秘密の一つ一つが、かなり暗いので、ほのぼのとした日常パートと、秘密について語るパートとの温度差が激しかったです。日常パートも時々、ピリッと緊張感の漂う場面もあって、思春期の不安定さが表れているなと感じました。
その様な男子高校生ならではの、子供とも大人とも言えない絶妙なバランスが、物語のスパイスになっていて、程よくハラハラ出来るので、ドキドキする様な物語を読みたい人にはオススメです。 -
男子高校の寮に冬休み、4人の少年が残った。冬休み中に彼らの仲は深くなり、やがて互いの秘密を語り出す…。
親との辛い過去、確執、一度も人に語ったことのない恐怖感を4人が共有し合うことで、気持ちは重くなるけれど、その分絆が深まっていく。
自分の負い目を話した後に、彼らのように真剣に受けとめてくれて、その後何事もなかったかのように笑い、ケンカし、日常生活を送れるような友人に、私も出会っているのかもしれない。
今まで人に話したことのない自分のことを話してみると、新たな発見があるかも。 -
クリスマスイブから7日間の物語。
男子校の学生寮である松籟館に残された4人。美国と寛司と浩司と統。彼らには人に言えないそれぞれの事情を抱えていた。その4人が過ごしていたクリスマスイブの日に起きた「告白」ゲームをきっかけに事件と謎が生まれる。そして日常生活の中で事件と謎、それぞれの隠していた事情が明らかになっていく物語。
恋愛のような甘酸っぱい青春ではなくて、男子校のような素朴だけど色のある青春っていいなと思う。
日常生活の中で少しちょっかい出したり、それをきっかけに口喧嘩みたいになったり、時には真剣に話したり。特に派手な日常ではないけれど、素朴で良い所がポイント。細かい所だけど、寛司の友人との少し距離感の近い設定とか男子校らしさがあるなと思った。 -
最初は少年たちの過去が辛すぎて、叫び合い罵り合いながらも、日を追うごとに結びつきが固くなっていくところが凄かった。
きっと彼らはこの1週間を大人になっても思い出すんだろうな。また彼らにとってのネバーランドで集まる日が来るんだろうなと思いながら読了しました。 -
舞台は、とある田舎にある男子校の寮。冬休みを迎えほとんどの生徒が帰省していく中、それぞれの事情で3人の寮生が居残り、クリスマスイブに通学組の1人が加わって4人で迎えた冬休みだったが、軽い気持ちでその夜に始めた「告白ゲーム」から思わぬ展開を見せる…。
会社に入ってしばらく寮生活だったが、確かに年末年始で寮が閉鎖される時の雰囲気って(私は必ず帰省する派だったので定かではないけれど)こんな感じだったかも知れず、そして、そういう雰囲気の中であれば、なんとなく少人数で秘密を共有したくなる気持ちも分からないではない。
描かれる部室の様子や先生の姿や学校生活の日常も含め、お話にはそうした昔の風情を感じさせられた。
ただ、4人の“告白”は、それぞれに意表を突き、また結構シビアな内容だったのだけど、あまり共鳴するところがなく、なんだか淡々と読み終えてしまった。
もっと若い頃に読んでいたら、どうだったかな。年末に読んだほうが良かったかも。 -
ド青春の学校モノかと思いきや
学生にもいろいろあって
登場人物4人の秘密が明らかに
なってくという展開。
ホラーっ気もあって、ドキドキしながら
読めた。
ページめくる手が進んだ進んだ。笑笑
-
クリスマスイブの「告白ゲーム」から始まった
4人の抱えている悩みが少しずつ剥がされていく描写は、
少し不気味で怖さを感じましたが、そこから少しずつ松籟館での生活が面白く、楽しくなってきて、作品の世界観にハマっていきました。
特に光浩の壮絶な過去には、ページをめくるのが止まらなかったです。
高校生なのに夜な夜なお酒を飲んで、酔っ払って、、という場面が何度もあって印象に残っていますが、その何気ない毎日が4人の絆を強くしていた感じがしました。 -
3.5
-
話が進んでいき、登場人物の4人の学生が抱える秘密や悩みが明かされていくうちに自分が共感でき、途中から登場人物に親近感がわきました。
-
光浩、美国、寛司、統の4人の男子高校生が冬休みの間、学校の寮に残り生活していく間の物語。
特別な事はないけれども、いつも大勢寝泊まりしている寮に4人だけで自炊しながら生活するという空間自体が非日常で、その間に起こる出来事やお互いの人生について他告白がとても印象に残る。 -
ネバーランドとは、子供が永遠に子供でいられる場所。
冬休みを迎えた男子校の寮に、実家にも帰らず居残りした4人の男子高校生。それぞれが複雑な人生を抱えている。
帰ろうぜ、俺たちんちへ。なっ、そうだろう?あそかが俺たちの家だろ?
じんわりと感動が広がります。 -
高校生4人の年末の一時の寮生活。自分は大学生の頃にこんなことやってたな〜と、懐かしくもほろ苦い感じで読みました。
4人それぞれが抱える影はありつつ、暗くならずに馬鹿騒ぎしながらわかり合えていくのが、なんとも青春っぽい。
学園生活をホントにそこだけ切り取って見ているような、自分もあんな頃があったな〜としみじみ思いながら読みました。 -
恩田陸第二弾
寮生活をする高校生4人が、年末に帰省せず寮に残る。
各々それには理由があり、それを明かしていく中で互いの友情が深まっていく話。
寮で友達と年末を過ごすという設定は確かに自分が体験するならワクワクすると思うが、それを小説として読むとなると、特に高揚感は湧かなかった笑
「テニスコートで大の字になる」とか、「河川敷で思い悩む」とか、そんなんないわ笑 そう思ってしまうのはおれに原因があるかな笑
青春の描写があまりにも青春青春してて、ノスタルジックにはならないかなぁ -
男子高校生の寮生活ってこんななんだろうな。
人はそれぞれに悩みを抱えている。その上での人間関係作りって簡単なようで難しい。 -
年末休みの寮の居残り組による七日間。抱えているものを打ち明けあい、支えあい、深めあう。
顔がよくて誠実で品がいいこたちだから読める内容。
学生の頃にも読んでいたかった。寮生活憧れる。
C0193 -
登場人物が少年達だからこそできる物語
未完成の分子のぶつかり合いって感じ
少年の胸に秘められた熱いものが伝わってくる
というか作者と言ったほうがいいのかも
それぞれの葛藤が描かれてて、時に険悪になるけど馬鹿騒ぎして元通り
少女4人だったらこんなにドライにはなりえない
恩田作品は理想の学生像を提供してくれるから好き -
冬休みの間過ごした男子校の寮。
その中で自分を相手を深く知り、自然と見つめ直し、終わった時には何か少し自分が変わった感じ。
きっかけはたいしたことではなかったけれど、何より自分をさらけ出して時間を過ごした4人にとって、寮はまさにネバーランドだったんだなと思った。
私の人生でネバーランドと呼べる場所はどこだったかなって、少し懐かしい気持ちになった。 -
戦争ものを読んだ後なのでさわやかな青春系を読もうと思って読み始めたけれど、本当に期待を裏切ってくれました。恩田陸は爽やかノスタルジーテイストな話を書くんだっていうステレオタイプな思考が仇となりました。
予想以上に土の濃度が濃い粘土質なメロドラマチックな話でした。本当に偏見はよくないですね。
物語は冬季休暇中、実家に帰らずに男子寮に残った三人の高校生と通学だけど暇を持て余した一人の通学組の男子高生で過ごす七日間のお泊まり会。
学生生活に限らず人間関係というものは横の繋がりと縦の繋がりで絶妙な距離を置きつつ、波が立たないように生活していくものだ。
しかし、七日間衣食住をともにする中でこの四人は学校生活での暗黙の了解から培われた絶妙な距離間から一転して心の奥底に眠る無形の悩みという固体について互いに探りをいれていく。
冬季休暇だというのに実家に帰らずに寮に引き篭もる3人プラス1。各々の事情が一夜また一夜と晩餐を重ねていくたびに心の奥底に一条の光が射し明らかになるのだ。
人間てこんなに暗澹たるモノを背負ってきているのかと疑問を感じぜずにはいられないくらいこの四人は壮絶。高校生にして波乱万丈。
冬季休暇中の寮生活という閉鎖された空間だからこそ、その設定に現実味を帯びさせている。そこにうまさを感じたかな。
しかし、夜のピクニックとネバーランドを読んできて思うのが登場人物の哲学っぷりがやばい。高校生というのはこんなにも語彙が豊富で、大人という曖昧なカテゴリーの人種に抗っているのかと。だとしたら自分の幼稚さに自己嫌悪になるレベルだわ。
夜のピクニックよりはこっちの方が好きでしたね。 -
普通に面白かったです。
-
居残り組のお休みに混ぜてもらって一緒に過ごしているような感覚になれる。
光浩が作ってくれるご飯が美味しそう...!
卒業後も彼らが仲良くしてくれていたらいいなと感じた。
それぞれ陰を抱えてたけど、1番可哀想だと感じたのは光浩かな。しっかり者で頼りにされているから弱音が吐けなさそう。それと、打ち明けたエピソードが1番重たく救いようがなかった。
恩田先生の本は、自分も学生の頃にこういう思い出を作れたらよかっただろうなあという気持ちにさせてくれる。 -
名門私立高校の歴史ある寮。冬休みに居残る3人ともう1人。
ちょっとしたミステリ要素もありつつ。
主人公たちが男子高校生ということもあり女性の方が評価高くなるかも、というステレオタイプな感想。 -
2023/06/16-06/21
-
4人の少年達が松籟舘で、自分のことについて告白する。それぞれが辛い過去だったり、秘密があったりして重い話だった。だか、読んでいて不思議と「重い」と感じることは無かったように思う。いや実際、「重い」と感じてはいたが、すぐに無くなったイメージ。寛治や統の陽気さによるものなのか、作者の場面切り替えが上手かったのかよく分からないが、話の内容の割には読みやすかった印象を受けた。
ラストでは、伏線を回収するような事はせず、自然に終わったイメージだった。残っている謎もあったが、自分の中では不思議とモヤモヤとした感じは無かった。
4人とも、ギスギスする事はあったが、それでも見えない友情がある所に、なんだか羨ましさを感じた。
最初、ネバーランドというタイトルがよく分からなかったが、解説をみて、「4人が過ごしている時間そのものが、青春時代というひとときそのものが、長い人生の中では、ネバーランドなのである」という所をみて納得した。
たった1週間のお話で、伏線回収などもあまり無く物足りなさを感じる事もあったが、4人の共同生活や小さな事件には、ワクワクさせる要素があって面白かった。
-
年末を学寮で迎える四人の男子校生。 宵の刻、ふとしたきっかけで四人は互いの隠された秘密や過去に触れる。 大人と子供の境界線で迷う青年たちの感情の吐露、7日間の成長。
青春ミステリにカテゴライズされてはいますがミステリ要素はあまりないです。 一人前の大人としてはまだ認められない一方で、もう子供じゃないんだからと言われる境界人の青年たちの想いを描いた青春小説の面が強いです。 苦々しい過去を扱いながら、一日ごとの章立てや爽やかなキャラで陰湿さを打ち消しています。 「ネバーランド」・・・大人へ向かう青年と子供だけの世界がどういった意味で繋がるのか、読んでのお楽しみ。 -
ラストのつい先日アメリカにいったやつから来た年賀状。それもピンクのキティちゃん。
ただ、ただ、そんななんともない、いたずらのような出来事に。ポロっと涙が出るのは、それまで積み上げてきた少年たちのやりとりが、恩田陸の手によってわたしの中で積み上げられてたからだなぁ。
と。わたしの中に生きた四人の少年たちが、なんとも儚くて、、、、そのたった数週間の時間が、輝かしくて、儚い、キラキラした時間。
読みながら共有させてもらいました。
キティちゃんのハガキは、、、つい泣いたよね。
少年たちそれぞれの問題と向かい合って、ぶつかり合って、1秒1秒無駄に、はたまた真剣に、今しかない時を使って作り上げるもう絶対こない数週間。
おすすめです。
-
恩田陸の描く少年少女は本当に綺麗なので、中学時代に読みたかった、が第一感想だった。そうすれば、彼らの影のある美少年ぶりにときめき、爽やかで醒めた会話に憧れ、高校生という生き物に夢見たんだろうなあ。
私の心の中の「(美)少年少女理想像」に恩田先生は小さくない影響を与えている。10代の自分でこの本を読んでみたかった。大人になって読み返して、どんな気持ちになるのか試してみたかった。
もちろん、いま読んでも楽しめたのだけど。