- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087475890
作品紹介・あらすじ
リンパ肉腫の青年が言った。「自分の入る墓を見てきた。八ケ岳の見える景色のいい所だったよ」青年にぼくはささやいた。「よくがんばってきたね」最後まで青年は誠実に生きて、死んだ。そこには忘れさられた「魂への心くばり」があった。テレビドラマ化されるなど、マスコミの話題をさらった感動の書をあなたに。
感想・レビュー・書評
-
地域医療、在宅医療、難病、ガンなど色々と考えさせられた。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
医療従事者です。鎌田先生の患者さんへの接し方を参考に実践しています。全ての患者さんには人生があり、これまでどのように生きてきて、これからどのように生きるかを一緒に考えることのできる人間でありたいと思うようになりました。
良書です! -
入院中、病院の本棚で見つけた。吹けば飛ぶようなコッパ病人の私は、入院費を支払う当ても、復職できる自信も無かった。
著者が医者を志望した時、父に猛反対される。交渉の末、ご尊父が出した交換条件「患者さんをびくびくさせたり、どなったりするような医者になるな。弱い人とか困った人、貧乏な人を大切にする医者になれ」
泣けて泣けて、しばし続きが読めなくなった。
回診に現れた青年医師が「鎌田先生の本じゃないですか。授業を受けました」。鎌田實のご尊父の戒めが、21世紀の医師たちに伝わっている気がした。
別の階に病室が移ったので、読書は中断。近所の図書館から借りて、残りを読む。 -
「今日生きねば明日生きられぬ」という言葉想いて 激しきジグザグにいる」(道浦母都子)
現代は,医療が本来持っていた「技術」と「奉仕」と「祈り」の三位一体を忘れ去ったというが,それはすっぽり教育にもあてはまる。自分も子どもやその保護者,地域との接点がどんどん小さくなっていた。でも,この本を読んでいたら,大きな元気をもらった。「いのち」の重みを感じ,自分の悩みのちっぽけさを恥ずかしく思う。 -
諏訪中央病院名誉院長である著者のエッセイ集である。著者は同病院医師、院長として、閉鎖寸前の赤字病院を地域に密着した先進的な医療拠点として甦らせた。それを支えたのは、患者は十分な情報を得た上で治療について自ら選択する権利をもつという固い信念だ。「十分な情報」という以上は、そこには当然患者本人に対する余命宣告も含まれる。それは場合によっては残酷で厳しい対応かも知れないが、患者が残された人生を自らデザインし自分らしい時間を過ごすためには不可欠なのだ。その結果、治療としては抑制的になる場面もあれば、逆に積極的に高度医療や手厚い訪問看護を必要とする場面もある。諏訪中央病院では、いずれの場面にも対応できる設備や体制が整っている。著者は言う。「ぼくら医療スタッフががんばりますから、あなたはありのままでいてください」と。「がんばらない」とは何もしないことではなく、これまで既にがんばって治療を受け生きてきた患者さんに、本来の「ありのまま」の姿で過ごしてほしいという著者の切実な願いなのである。
-
インフォームド・コンセントや自己決定という考えが医療の常識となってどれくらい経つのだろうか(常識といってもそれが実践されているかとなるとそれはまた別の話だろうけれど)。実はこういった考え方を前にすると正直戸惑うことが多い。もちろんパターナリズムとも言われる医者の権威主義は反省されるべきだと思うけれども、たとえば「生も死も自分でデザインを」なんて言われると、二の足を踏んでしまう。生も思うままにデザインできない自分が、果たして死をデザインすることが可能なのかと。
「死」から遠く離れた生活の中で、「生」と切り離せない「死」とどう向き合っていくか。その大切なテーマが失われつつあるのが現代ではないのか。そんなことを考えさせられる本でした。 -
諏訪中央病院の院長であった筆者の医療とは?
という考えを様々な医療従事の経験から語った作品。
筆者の人柄がにじみ出るような文体は非常に優しく、
タイトル通り頑張らずに読めます。
終末医療に関するシーンが多く、ガン患者がどうすれば
安らかに人生を終えられるのか?
患者は頑張らずに、周りが希望に合わせて支えてあげればよい
という環境(ホスピス)を諏訪中央病院で作り出した話が終始展開されます。
しかしながら諏訪中央病院は筆者の意向を組み、
大変素晴らしい環境なのかもしれませんが、
実際に従事するスタッフは非常に大変なのだろうと思うのですが、
どうなんでしょう。やはり使命感で頑張るしかないのでしょうか。。。
筆者が作り出したような環境が理想でしょうが、
日本中で同じことをやるのは大変難しいと思いました。
高齢化社会になってどのような医療が適切なのかというのを
問いかける作品になっていると思います。 -
「がんばらない」。この言葉を見ると、あぁ、この本は努力しないで適当に生きることを書いた本なんだろうと思われる方もいるのではないと思います。でも僕は自分でも障害をもって生きてきたので、とりおりかけられる「頑張れ」という言葉ほど残酷なものはないと思っていました。「頑張って」みんなと同じことであることが本当にいいことなのだろうか? なぜ、自分らしくしてはいけないんだろうか、、と。むろん、努力して生きることは素晴らしいし、称賛もされてしかるべきでしょう。でも、逆に自分らしく生きられない社会はなんなのさと、偏屈な僕はそう思ってしまうのです。<br /><br />この本は、「がんばらない」という言葉には深い意味があることが分かる作品です。諏訪中央病院で院長として、長年緩和ケアや地域医療に携わってきた著者が医療現場での死の出会いを通してつながれる命の輪の物語が書かれています。死ほど、個人的なことはにないでしょう。命の一大イベントであるからこそ、本当に自分らしくあるべきであること、「がんばらない」で毎日を過ごすことの必要があるのです。しかし、日本の医療は技術こそ高度化するものの、高齢化で被医療人口が増せば増すほど、効率性の名の元にはかけ離れた医療というのが行われるのではないかという危惧ぬぐえません。死や老後というのが怖いといわれても仕方がないでしょう。実際に医療現場の生の声も書かれている本著を読むと、真に大事なことはなんなのかを痛切に考えさせられます。<br /><br />それぞれの物語は泣けるし、この不合理になる日本の医療や社会に対して何かをしていきたいと強く感じました。医者でも、医療関係者でなくてもできることはきっとあるはずです。それを自分なりにも強く考えたいと決意した一冊でした。
-
まだまだ私は「頑張り」が足りない。
-
生きることについて考えさせられる、周りの人を想うことの大切さを教えてくれる。