さまよえる脳髄 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 297
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476194

感想・レビュー・書評

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  • 今でこそ出尽くしている感のあるサイコ・サスペンスだが、初稿が二十年以上前という今作の刊行年を鑑みると、この時代に脳科学や心理学をここまで大胆に盛り込んだ作品も恐らく前例がなかったのだろうが、理論が先行し過ぎていて何とも理屈っぽい。真相への伏線であるとはいえ、主要登場人物の男性陣三名のキャラクター像が終始あやふやで、尚且つ作中における互いの関連性も低いので、強い消化不良感が残る作品。しかし、いくら年代を考慮したとしても、作中の女性観が偏り過ぎていて、現代のフェミニストが本書を読んだら卒倒してしまうのでは…?

  • 医療ミステリーとしては理由付けが希薄。
    複数の事件が独立しており、顛末も複線的なものはなく、残念。

  • 精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始めるー。

  • 伊坂幸太郎さんのエッセイから知り、脳科学に興味があったので読んでみた。
    最終局面では「おい!海藤!」という言葉を何回行ったことか。笑
    性的描写が、多く女性が読むと「ん?」と思ってしまう描写も多いが、スリリングで次の展開が気になり一気に読み進めてしまう一冊

  • 伊坂さんがエッセイで取り上げてらしたというので読んでみた。うん、結構嫌いじゃないし伊坂さんが好きってのわかる。ただ、ちょっといくら何でもそちら系の方が集まり過ぎではないかな?とは感じないでもない。

  • 評価は2.

    内容(BOOKデーターベース)
    精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始める―。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。

  • 人格を作り上げるのは心なのか、脳なのか。
    精神科医である主人公南川藍子は、もちろん心因性の異常を治療する医師だが、腕利きの脳外科医・丸岡庸三は、脳の損傷による外傷性の人格異常を提示する。
    治療、実験によって露わにされる隠されていた人格。

    今はもっと多くの事柄が解明されていると思うけれど、それでも脳の機能は謎が多い。
    過去の衝撃的な出来事が、人格をゆがめていく。
    それは心の傷だろうと、体の傷だろうと。

    藍子と丸岡のやり取りが、学術的ではあるけれど、読みやすい文章で分かりやすく書いているので、面白かったな。
    けれど、もう少しキャラクターを整理して、というか、整頓してくれるとスムーズな展開になったと思う。
    連続殺人犯や、刑事の海藤のキャラクターに少しぶれがあるように感じられた。
    不要な描写をなくして、目的への動機づけをシンプルにすればもっと読みやすいのに。

    とはいえ、ミステリー要素はもちろん、藍子のまわりに漂う不穏な空気がサスペンスフルでもある。
    いったい彼女に味方はいるのか?

    結末も、幕が下りたと見せかけておいての、最後の三行。
    ああ、これはホラー小説でもあったのか。

  • 作品紹介にはミステリーとあるけれども、読んでみると脳科学を根底に描いたサスペンスのような気がする。
    精神科医が患者たちの症状をもとに、その深層心理を探り、分析し、解明しようとする。
    だが、壊れた精神が宿る脳からは、常識では図れない恐ろしい闇が潜んでいたりもする。
    外部からの衝撃によって脳の機能が損傷すること。
    それが原因ならば医学的にもきちんと解明がされ、治療法もまた見つけることができるだろう。
    けれど、脳自体に問題がないとしたら?
    もしくは、生まれつき人とはほんの少しだけ脳の状態が違っていたとしたら?
    見分けることは本当に難しいだろう。
    藍子に迫る異常な殺意。
    身近すぎるほど身近にも、その殺意があることに藍子は精神科医でありながら気付くことができない。
    どんなに科学が発展しようが、どれほど医療技術が進化しようが、すべてを解明することなど出来ないのだろうな・・・と考えてしまった物語だった。

  • 面白かった。こういう小説をまた書いてほしい。

  • 映画で観たような気がしたけどほとんど覚えていなかった。悪くはない。

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著者プロフィール

逢坂剛
一九四三年、東京生まれ。八〇年「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八六年に刊行した『カディスの赤い星』で直木賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞。二〇一三年に日本ミステリー文学大賞、一五年には『平蔵狩り』で吉川英治文学賞を受賞。「百舌」シリーズや「長谷川平蔵」シリーズなど著作多数。

「2022年 『最果ての決闘者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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