カイマナヒラの家 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476682

感想・レビュー・書評

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  • 『カイマナヒラの家』読了。
    ハワイイを舞台に様々な人が共同生活を営む家の話。すごく美しい物語だった。本当にハワイイに行った気分になったな…
    サーファーたちが来た波に乗るように、人生にもなぞられているような。
    瞬間を切り取ったように美しく神秘的で、だけど儚くもあり切なかった。
    こんなに素敵な人たちがそばにいたら楽しかっただろうなぁと思ってしまった。
    ゆったりしている時間が心地よくて、どうか終わらないでと祈りながらもページが進んでしまう。青葉市子の『アダンの風』をBGMにしながら日向で読んだ。最高に幸せな気持ちに浸る。海に行きたいなぁ…夏が好き。海が好き。
    写真も美しかった。うっとりしてしまうほどに光と影が交互に連なる。
    ハワイイに行きたいなぁ…夢をみているようなふわふわと浮いてる…今日はずっとこんな気分でいたい。何も考えずにふわふわしていたい。感想になってないけど、読後感がそんな気分になりました。

    2020.12.9(1回目)

  • これまでにも南の島での暮らしをテーマにした小説を執筆してきた池澤夏樹と、海の写真を多く撮影してきた芝田満之の作品です。

    「カイマナヒラ」とは、ハワイのダイヤモンド・ヘッドのことで、そのふもとにある一軒の巨大な家の管理をしているロビンやジェニーといった人びとと、一人の日本人の交流をえがいた連作短編となっています。

    ゆっくりと流れる時間と、人びととの心温まる交流といった南の島での暮らしに癒しを感じることのできる作品です。もちろん、こうした幻想をいだいてしまうことに対する自省的なまなざしをもつ読者もいるでしょうが、そうした自家中毒的な内省のループに陥るのではなく、物語のもつ力に自分自身をゆだねてしまうことが、この作品をたのしむコツなのではないかという気がします。

  • Hawaiiもサーフィンも未体験で、羨ましい限り。
    海は好きだから今すぐにでもサーフィンしたくなります。
    でも私が池澤夏樹さんの本に求めているものと、少し違うかな。うまくは言えないけれど。
    それでも、こういう本もあっていいのかと思う。
    最後の締めの部分だけが私的にはいらなかった。蛇足な感じ。そこまでの文章で充分に伝わるので。

  • シリアスな小説なのかなと思ったら、とても穏やかで
    優しい話。ツーリストで賑わう方のハワイではなくて、
    たおやかで不思議な力に満ちたハワイの自然みたいな、
    そんな小説。話としては平坦だけど、そういう空気を
    描くってすごいと思う。

  •  カイマナヒラとは、ダイアモンド・ヘッド(ダイアモンド・ヒル)をハワイイ語で発音したものらしい。タイトルからも分かるように、ハワイイの、それも「カイマナヒラの家」を中心としたショートストーリィ。1つ1つが短編のようになっているが、基本はカイマナヒラの家を中心として起こる人間模様を描いている。全体としてのまとまり方と、話ごとのシメ方が妙技ですぐ読めてしまった。

     とりあえずこういう雰囲気のある小説を読むと、自分はかなり影響される。ハワイをハワイイと書きたくなるし、サーフィンもやってみたくなるし、浜辺で水平線をいつまでも眺めていたり、水平線に沈む夕日を見たりしたいと思う。馬鹿みたいに単純である。しかしながら、節操がないわけではない、と一応断っておきたい。読んだ小説全てに何かの記述が書いてあったからと言って、必ずしもそれに影響されるわけではなく、むしろ、小説全体を通して感化された時に、それに書いてあるものに呼応するのだ。自分の中に何かを残す、もしくは読んでいる間に心の中に染みいってきて引いていく、そういう小説にこそ、呼応する価値がある。読む小説全てがそういう魅力をもって自分に迫ってくるわけではない。そういう小説に出逢えることは、ささやかな幸せだ。

     この小説はまさに、ささやかな幸せを届けてくれる小説だった。一つ一つの話が、穏やかな波のように寄せては引いていく。決して、大きな激しい波ではない。あくまで、穏やかな波だ。そして、寄せるだけではなく、必ず引いていく。ただ、その波は確実に何かを残してくれる。それが、憧れという単純な形として表出したのだ。

     読めば、その穏やかな雰囲気と、そこはかとない寂しさが染みいってきて、心の中に静寂が広がる。写真がその効果を増幅していることも疑いない。疲れた時に、ふと静かに読みたい本だ。

  • ハワイアンミュージックを聴きながら読んだ。
    ハワイいいなぁ。

  • ハワイに行ったことは無いが、風や雰囲気が心地よく伝わってくる。

  • 2014.4読了

    ハワイ旅行までに読む2冊のうちはじめの一冊として夫に選んでもらった。

    ハワイの空気感、自然の美しさが文章からにじみ出ているような感じがした。

    カイマナヒラというスタンダードナンバーはダイヤモンドヘッドという意味だったのね!ハワイで耳にしたらこの本を思い出すかな

  • ダイヤモンドヘッドは、現地語でカイマナヒラと言うらしい。
    美しい写真で綴られたハワイイでの話。

    サーフィンを語る言葉、
    「出会えばそれだけで人生の半分以上成功したもの」のフレーズがなんだか面白かった。

  • ハワイ行って海見てぼーっとしたいなあとおもった。
    でも読んだだけでちょっとその気分があじわえる。

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著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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