英雄三国志 3 三国鼎立 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476927

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  • 赤壁の戦いから、関羽、張飛、劉備の死を経て、諸葛亮による出師の表まで。
    表紙イラストは、劉備。

    どの三国志でも、劉備の凡庸さがきわだっていて、なぜこんな人物が三国志の主人公なんだろうと思ってしまうのは、誰しも同じだろう。
    柴田錬三郎の英雄三国志でもそうで、重要なポイントポイントで諸葛亮の足を引っ張ってばかりいる。
    いい加減、愛想を尽かして逃げ出したほうがいいんじゃないかと思えてくるので、作者も諸葛亮がなぜそうしないのか、その理由をひねり出すのに、苦労しているように映る。

    曹操の方は、国が大きくなるにつれて、その迫力と凄みを増してくるのだが、劉備は逆である。
    後半になるにつれて、だんだん魅力が薄れてくる。
    蜀が成った後の凡庸ぶりは、後継者の劉禅と同程度にしかみえない。

    思うに、それは、劉備の統治能力、政治能力の欠如によるのではないかと思う。
    非常な仁徳者ではあるが、冷徹なパワーバランスの中で、敵に打ち勝つ能力に欠けている。
    曹操とはまったく逆である。

    こういう仁徳者の魅力や感応力は、直接逢ってみないと伝わらないものなのだろう。
    それがあればこそ、関羽も劉備も諸葛亮も、あそこまで付き従ったのだろう。

    そういう人物の魅力を文章で伝えるのは至難の業である。
    だから、どうしても、諸葛亮とか関羽張飛、あるいは曹操とかのスーパーな能力をもった人物が、物語の中心にならざるをえない。
    また、そういった英雄たちが波乱万丈の大活躍するからこそ、三国志は面白い。

    一方、魅力ある劉備像を描いた三国志というのは、これまで書かれたことはないのではないかと思う。
    そういう三国志というのも、一度読んでみたいものである。

  • 赤壁の戦いから始まり、出師の表を出して公明が五丈原に出陣!ってところで終わります。最後の方は駆け足だったかなーとは思いました。

    次の4巻は少し巻戻して始まるようで・・・?いよいよ三国志後半戦も楽しみです。

  • 一気に読んだ。まずはここで一休み。

  • 映画レッドクリフを見たとき、映画化に際してなんで赤壁のとこが選ばれたんだろうとちょっと思ってたんですが、ここが一番面白いからなんですね。三国とも出てくるしね。今更ですけどね。
    しかし歴史物のさだめとは言え、人がどんどん亡くなっていくのはさみしいものです。

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著者プロフィール

1917年-1978年.岡山県生れ。慶應義塾大学支那文学科卒業。在学中より「三田文学」に現代ものの短編を発表。戦後、「書評」の編集長を経て、創作に専念。1951年、『イエスの裔』で第26回直木賞を受賞。以後、時代小説を中心に創作し1956年より「週刊新潮」連載開始の『眠狂四郎無頼控』は、剣豪小説の一大ブームを起こす。1969年に『三国志英雄ここにあり』で第4回吉川英治文学賞を受賞主な作品に『赤い影法師』『御家人斬九郎』『剣は知っていた』『決闘者 宮本武蔵』『チャンスは三度ある』など多数。

「2022年 『第8監房』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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