娼年 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476941

感想・レビュー・書評

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  • 流れるような文章がいい。

  • 随分前にも一度読んだことがあったが、たまたま手にして約10年ぶりに読んだ。「人は見たいものしか見ない」と小説の中で御堂静香が言っていた言葉が印象に残っている。久しぶりに読んで、大分自分の作品の捉え方が変わったことに気づかされた。人は見たいものしかみないし、いつも自分の視野と偏見、先入観で捉えた世界を見ていると訴えかけられている気がした。この本を読んで、思春期に自分が「普通」という一般論を理由に責められることを嫌悪していたことを思い出して感傷に浸ってしまった。
    女性の欲望の形、年齢を重ねた女性について、主人公(大学生の男の子)の視点で描写されているのだが、否定的な表現が全く出てこない。老若男女問わず登場人物に対する否定的な表現が出てこず、肯定的に記されている。優しくて温かい本。

  • 官能小説かってくらいの性描写があるが
    いやらしさはない。

    性の欲望、性癖は人それぞれ。
    この年になるとそれはもう…
    ある程度は経験し見ても来ている。

    だから驚きはしないが
    自分のプレイと照らし合わせたりとか…
    そんな感じのはあった(笑)

    変態だとか言わずに
    性にちゃんと向き合っている作品で
    ダブーも必要悪のように描いている。

    面白いと言うような作品とは違うけど
    性を描いているだけに一気読みは出来た。
    ま~スケベって事か?(笑)

  • ほほう・・・。

  • 石田衣良さんはいったいどういう恋愛遍歴をもっているのだろう。こんなに多様な性的趣向やセックスを描けるなんて、普段いったいどんなことを考えているのだろう。

  • 主人公リョウが、女性に身体を提供し、彼女たちを癒していく。
    そんなことをしているのに、リョウはいつまでも
    リョウであり続けている。

    そんな彼がいるからこそ、周りにいる女性たちが
    やけに生々しく醜悪に思えたりしました。

    とても面白く読み進むことが出来ました。

  • 【本の内容】
    恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。

    だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。

    やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく…。

    いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 娼婦の少年の話

  • 一気に読んでしまい、作者さんのファンになりました。
    偏見や決め付けだらけの自分を恥ずかしいと思わせてくれました。

  •  この小説のような業界が実際にあるのかどうかは知らない。主人公リョウ20歳、世界に退屈して登校拒否しているなか、偶然にボーイズクラブの試験に合格するところから始まる。これはお客の女性の願望と、リョウの娼夫としての成長物語。
     男性の性的願望は、映像でも言葉でも昔から表現しつくされてきたが、女性の性的願望は「ある」ことがようやく公言できるようになってきたところかと思う。この小説でリョウが解きほぐしていくのは、普通の女性が抱える人には言いにくいささやかな望み。
     Bunkamuraで待ち合わせする30代半ばのヒロミ、中年男を含む3Pを望む23歳のマリコ、プラトンを語る40台後半のイツキさんは8歳で感じた放尿エクスタシーを求め、70歳前後の小柄な老女は手を握り。例えば、マリコの望む形についてリョウが「自分よりちょっと大きな欲望を持っているだけ・・男同士の飲み会で話せば英雄扱いされることもあるだろう」と感想をもらしているのが、著者の立ち位置なのだろう。
     読み進むにつれ、リョウがしようとしていることは、普通の女性の心と身体のカウンセリングなんだと合点できる。途中、指を折る痛みを快感に感じるアズマの話は感情移入し難かったが、その彼をもリョウは受け入れようとしているし。
     物語的に必要な展開とはいえ、大学同級生のメグミが常識的社会の代表としてこのクラブを告発する役を持たせられるのが、少し哀れにも思える。この業界で生き続けるためには、いつも選択肢を用意してくれる御堂母娘の優しさだけでは不十分だろうとは思うが、続編でどんなファンタジーを用意してくれたのか、楽しみである。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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