娼年 (集英社文庫)

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  • 集英社
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本棚登録 : 8880
レビュー : 1112
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476941

感想・レビュー・書評

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  • いち女子大生として、セックスとか性とかそういうものをテーマにしたもの、それを匂わせるタイトルのものを買うのには勇気がいる。(とかいいつつ衣良さんの「sex」を買っているからあれなんだけど。)でも、恥ずかしいとかそんな理由でこの本を読まないというのはもったいなさすぎる。他の作品にも通ずるところだけれど、衣良さんの性描写にはいやらしさがない。作品を通じて、どこまでも透明なのである。

    売春や買春が孕むイケナイ匂い。社会的にはそれはどこまでもイケナイことだ、と教えられてきたわたしは今まで疑うことなしに体を売り買いすることの悪を信じていた。けれどこの作品を読んでいる間、セックスを商品とすることがイケナイことではなく、寧ろ素敵なことのようにさえ思えた。本を閉じてしまえばやっぱり売春は悪なのだけれど。官能的ではなく、どこまでも透明な作品に仕上がったのはやっぱり衣良さんの成せる技なのではないだろうか。

  • 私の記憶が正しければ、石田衣良の作品で一番最初に手にとったもの。

    最初は、タイトル買いと言ってもおかしくなかったけど、最後は、こんなにも人間という生き物を繊細に描ける能力に圧倒されたのを覚えている。

    内容も、艶っぽいけどどこかさみしく、どこか切ない。
    氷の彫刻のような作品。

    • さむさん
      >氷の彫刻のような作品。
      素敵な表現だなと思いました。
      この本を読んで、寂しげで、でも美しいと私は思いました。
      >氷の彫刻のような作品。
      素敵な表現だなと思いました。
      この本を読んで、寂しげで、でも美しいと私は思いました。
      2013/02/22
  • すりガラスのよう。
    透明感がありつつ、ぼやっとにじんで、どこか暖かい。
    際どいテーマや表現もあるのに、そう思わせるのはこの人のすごさなのかな。

    解説にもあるようにストーリーを追うものではない。
    仕事は才能があるのでとんとん拍子だし、オチも読めるし。

    どんなに歪んでいても(作品中の言葉では「配線がこんがらがっている」)暖かく、優しく受け容れてくれるリョウ。
    自分から見たらファンタジー小説だと思った。
    逝年も読むつもり。

  • 性的な事は精神面にも繋がっているよね。

  • 自分の体は、自分で設計したわけじゃなく、本能に振り回されるって言葉が印象的でした。仕事とかいくらうまくいっても、結局は人を好きになったときの感情だったり、好きな人と抱き合っているときの幸せな気持ちには勝てるものはないと思いました。

  • 「風俗」や「売春」と聞いて目くじらを立てる人には
    一生理解できないであろう物語。
    ていうか石田さん、何者??

    複数での性行為、排泄によるエクスタシー、
    同性愛、骨を折るほどのマゾヒズム…

    人間の、女性の欲望と寂寥感をこれでもかと描き出し、
    綺麗な文章でまとめていくテクニック。脱帽です。


    ----------------------------

    「『ふたりですれば素敵なことを、あなたはいつもひとりでしている。退屈になるのも無理ないな。(中略)まず女性やセックスを退屈だなんて思うのをやめなさい。人間は探しているものしか見つけない』」

    「『綺麗な顔や上手なセックスだけが、女を惹きつけるとでも思ってるの?あなたのいつも難しそうな顔をして悩んでいるところも、ほかの人から見ると魅力的だったりする。自分で意識してる魅力なんて底の浅いものよ』」

    「年の差はたぶん十五歳プラスマイナス2。こどものころから大人の女性が好きだったぼくには、障害にならない数字だ。なぜ彼女たちは年上であることを罪のように感じるのだろうか。そちらのほうが長いあいだぼくの不思議だ」

    「ものを手にいれるより女性を満たす手助けをするほうが、ぼくにはずっとおもしろかった。どんなに効果なプライスタグがついていても、ブランド品など問題にならない。あれは結局、ほんとうは自分には勝ちがないのだと思っている人がほしがる勲章だ」

    「『ほんとうは自分の問題ではないことで悩み、自分の考えでも価値観でもないことで人を裁く人間が、この世界にはたくさんいる。ぼくはそういうの嫌になるくらい見てきたんだ』」

    「ぼくたちは自分が設計したわけでもない肉体の、ごくわずかな部分に振りまわされて一生をすごす。過剰な欲望をもつ人は生涯を檻のなかで送ることもあるだろう。それほど極端でなくても、平均的な欲望のもち主でさえ長くはない人生の何万時間かをセックスについて空想し、無駄に潰してしまう。(中略)この世界の途方もないフクザツさと同じだけの深さが、ただのセックスにあるのだという事実が、その夜ぼくを圧倒していた。」


    ----------------------------


    純愛や倫理を口で語るのは簡単でも、
    それだけでは決して満たされることのない
    スキマが人には存在するのもまた事実。

    男女の仲に正しさなんてないけど、
    最後のシーンで示唆されている石田の哲学は興味深いです。
    (ネタバレなので書きませんが)

    オススメ図書。夏にね。なんとなく。

  • あらすじをを簡単に・・・などやると私の場合さりげなく全部語ってしまったりするのでやりませんが、まぁ男娼の話です。これ以外に説明しようない。

    「男娼」と言っても読んで厭らしさはあまり感じない。

    「娼年」と言う題名にエロを求めて手に取った人には物足りないだろうが
    「娼年」という題名につい赤面しちゃうけど読みたいって人には問題ないからお読みなさい!と言ってあげたい。

    性描写は女の私から見て正直「…う~ん」という感じですが 男からすると「うん!うん!」って感じなんですかね?どうなんですかねぇ?

    漠然とした読書感想。。




    娼夫となるリョウ君はやさしい。
    客となる様々な女性に対してやさしい。


    それは多分彼が「からっぽ」だからじゃないだろうか?
    私が思うに「やさしい」という言葉は必ずしも褒め言葉ではない。


    人は「やさしい」を欲する。


    「やさしい」を与えるには正直「己」は邪魔で「からっぽ」な状態が一番良い感じがする。


    そんな「からっぽ」をリョウ君は持っているのではないか。
    そして「やさしい」を与えることで「からっぽ」を満たしているのかもしれない

  • 女性とセックスするビジネスをと押して、主人公が人間について、愛について感じる話

    と簡単にまとめてみたけれど
    様々な人間模様がえがかれていてアングラ世界だけれどなんだか暗くない。

    さらりとした読後感がするのはなぜなのか。ふしぎ

  • 官能的でありつつもどこか切ない感を見事に描く、石田衣良は凄い。ストーリーもオチも美しい。

  • こんな世界も石田衣良さんにかかると、神聖さすら感じる。
    普段、自分の価値観だけで推し測ってる事に反省したり…それが狙いの作品ではないはずやけど

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著者プロフィール

石田 衣良(いしだ いら)
1960年東京生まれの小説家。フリーター、広告代理店でのコピーライターを経て、36歳のときに一発祈念して執筆活動を開始。
1997年、『池袋ウエストゲートパーク』で第36回オール讀物推理小説新人賞、2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞、2006年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞、2013年『北斗 ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。
多くの作品がドラマ・映画化されている。代表作に、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「下北サンデーズ」、映画「アキハバラ@DEEP」、「娼年」。
2015年にウェブ個人誌『小説家と過ごす日曜日』を創刊するなど、メディアをまたにかけて活躍を続けている。

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娼年 Audible版 娼年 石田衣良
娼年 単行本 娼年 石田衣良

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