娼年 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 8958
レビュー : 1118
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476941

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと内容に圧倒されがちです(と私は感じました)が、丁寧に真摯に読み進めると、単純に性を売る少年とクラブオーナー女性という枠から外れたほの温かさの伝わる物語でした。

    【あらすじ】
    主人公は未成年の大学生、リョウ。
    とあるきっかけから女性客をもてなすボーイズクラブのオーナー、御堂静香に出会い、娼夫として働くことになる。
    同級生からも反対され、一触即発の場面もありつつ、彼が下す決断とは……。
    ***************

    姫野カオルコさんの解説にもあるように、「やさしいものがたり」であり、「(物語の)すじはどうでもいい」という人向けの物語です(物語本編もさることながら、解説が的確で素晴らしいです)。
    ストーリー自体は全くもって単純、シンプルです。
    しかしそれとは対照的に、著者の文筆センスは(解説でも“イカした”と形容されていますが)とても美しく、スタイリッシュでキラキラしています。
    それはもう、読書メモにたくさん表現を書き溜めてしまうほど。ドキリとさせられる一文から、その瞬間を切り取る鋭い一文まで、美しい表現が満載です。

    「性的なジャンルを深く切り込んだ小説なのでエッチなことばかり書いているんじゃないの?」と思われている方もいらっしゃると思いますが(それは私だけかもしれないですね)、性・セックスというものを媒介にして、様々な人間の側面に触れる物語とでも言いましょうか、我々はリョウの心を通じて様々な年代の様々な人生を持つ女性の側面(男性もですが)を具に眺めることになります。
    それは時に生々しく、痛々しいものもありますが、私はこの本を通じてみたその世界にはセックスしかなかった、とは感じませんでした。

    人生に退屈した少年のひと夏の物語。もう夏は過ぎてしまおうとしていますが、この夏の読書にこの一冊を選ぶことができて良かったと感じています。

  • 恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく…。いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。

  • 気がつけば読み終わっていた感じです。
    とても細やかで美しい表現が散りばめられていて、ひとつひとつのシーンや登場人物を想像しながら大切に読みました。
    性の描写はたくさん出てきますが、とてもさらっとしていて自由な感じがしました。
    全体的にやさしい雰囲気の漂う物語で、わたしは好きです。

  • 内容は過激だけど、決してそこだけ悪目立ちすることなく、面白く読みました。

    人が持つ、様々な欲望…マイノリティと思っていることでも、実は多くの人が内面に抱えているのかもしれないなあと思ったり。
    欲望に対して貪欲に、素直にいられるのなら、歳をとるのも悪くないなあなんて思う。

    主人公のリョウ、素敵な男の子でした。

  • 先に映画を見てしまいました。あまりの衝撃に、原作はどうなってるのか、あのシーンはどのような表現をされているのかなど、気になって読まずにはいられませんでした。

    実際、本の方がマイルドに感じましたが。

    リョウくんがしている仕事の内容は問題あるかもしれないけれど、対人関係の仕事をしている人はとても参考になるのではと思いました。相手が何を望んでいるのか、本人にも気づけていない欲求を探り出し、それを満たしてあげることこそ究極の接客。
    リョウくんから学ぶことはたくさんあると思いました。

  • 人から借りた本。 はじめ、異性になんて破廉恥なものを貸してくれたんだ!と思ったが、文章は簡潔で読みやすく、(やってることは一部汚いともいえるが)心が篭っていて、不思議と汚いと思わない。 読む前は村上龍『オーディション』みたいなドロドロの汚ったない話かと思ったが、普通にほっこりしてしまった。咲良が可愛い。松坂桃李が主演してる映画の方も見て見たいかもしれない。

  • 人間の欲望の多様性を感じた。
    リョウによって、欲望を満たしていく女性たち。
    女なんて…セックスなんて…といっていたリョウが
    彼女たちと出会い、思いを変えていく物語。

    石田衣良さんの言葉のチョイスがすきでした。

    ほとんどが性描写で、
    とてもエロいのだけれど、
    その中でも人間の欲望の深さや
    見た目だけでは判断できない心のうちっていうのがみえて
    ただエロいだけではなかった。

    わたしとしては、アズマとのシーンは
    うーってなってしまって、痛みを伴うのは
    苦手だなぁと。

    本を読んだ後に松坂桃李くん主演の映画も見ました。
    小説を読んでいたら、映画って
    どことなく退屈な感じになったりするんですが、
    全くそんなこともなく、
    もうエロいエロい。
    ずっとエロい。
    腰が砕けるかと思いました(笑)

    続きもまた読みます。

  • どこか冷めた人生観を持つ大学生が、ひょんなことから男娼として才能を開花させていく話。主人公の容姿についての説明があまりないので、恐らくそのあたりはそれぞれ読む人の好みのイメージになるようにしているのかな。ただ、性質は特徴的で、本人は「普通」と考えているが、年上の女性たちに対する偏見のなさ、抵抗感のなさ、ありのままの性癖を受け入れる度量は常人離れしている。こんな人本当にいるのかな〜と思いつつ、そういう人って素敵だろうな、と思った。

  • ☆3.5くらいです。
    あらすじが気になって読みました。

    確かにリョウの言いたいことが分かる部分もあるし、女性の不思議だとか魅力だとか、もしくは理解出来ないところだとか、そんなものが描かれていてただの官能小説では無かったとは思います。
    ドロドロよりはサラサラ。

    かと言って読み終わった時にカタルシスが得られるかと言えばそうでもなく。
    このお話は「逝年」に続くそうなので、そちらも読んでからあらためて感想を書きたいです。

  • ジャケ買いでしたが意外に楽しめました。女性に多様な楽しみ方があるように、男性にもいろんな人がいると思うのだが・・。今の時代に女性・男性なんて分け方も古いのだけれど。

著者プロフィール

石田 衣良(いしだ いら)
1960年東京生まれの小説家。フリーター、広告代理店でのコピーライターを経て、36歳のときに一発祈念して執筆活動を開始。
1997年、『池袋ウエストゲートパーク』で第36回オール讀物推理小説新人賞、2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞、2006年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞、2013年『北斗 ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。
多くの作品がドラマ・映画化されている。代表作に、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「下北サンデーズ」、映画「アキハバラ@DEEP」、「娼年」。
2015年にウェブ個人誌『小説家と過ごす日曜日』を創刊するなど、メディアをまたにかけて活躍を続けている。

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