娼年 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 8962
レビュー : 1118
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476941

感想・レビュー・書評

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  • タイトルと内容に圧倒されがちです(と私は感じました)が、丁寧に真摯に読み進めると、単純に性を売る少年とクラブオーナー女性という枠から外れたほの温かさの伝わる物語でした。

    【あらすじ】
    主人公は未成年の大学生、リョウ。
    とあるきっかけから女性客をもてなすボーイズクラブのオーナー、御堂静香に出会い、娼夫として働くことになる。
    同級生からも反対され、一触即発の場面もありつつ、彼が下す決断とは……。
    ***************

    姫野カオルコさんの解説にもあるように、「やさしいものがたり」であり、「(物語の)すじはどうでもいい」という人向けの物語です(物語本編もさることながら、解説が的確で素晴らしいです)。
    ストーリー自体は全くもって単純、シンプルです。
    しかしそれとは対照的に、著者の文筆センスは(解説でも“イカした”と形容されていますが)とても美しく、スタイリッシュでキラキラしています。
    それはもう、読書メモにたくさん表現を書き溜めてしまうほど。ドキリとさせられる一文から、その瞬間を切り取る鋭い一文まで、美しい表現が満載です。

    「性的なジャンルを深く切り込んだ小説なのでエッチなことばかり書いているんじゃないの?」と思われている方もいらっしゃると思いますが(それは私だけかもしれないですね)、性・セックスというものを媒介にして、様々な人間の側面に触れる物語とでも言いましょうか、我々はリョウの心を通じて様々な年代の様々な人生を持つ女性の側面(男性もですが)を具に眺めることになります。
    それは時に生々しく、痛々しいものもありますが、私はこの本を通じてみたその世界にはセックスしかなかった、とは感じませんでした。

    人生に退屈した少年のひと夏の物語。もう夏は過ぎてしまおうとしていますが、この夏の読書にこの一冊を選ぶことができて良かったと感じています。

  • 恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく…。いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。

  • 気がつけば読み終わっていた感じです。
    とても細やかで美しい表現が散りばめられていて、ひとつひとつのシーンや登場人物を想像しながら大切に読みました。
    性の描写はたくさん出てきますが、とてもさらっとしていて自由な感じがしました。
    全体的にやさしい雰囲気の漂う物語で、わたしは好きです。

  • 内容は過激だけど、決してそこだけ悪目立ちすることなく、面白く読みました。

    人が持つ、様々な欲望…マイノリティと思っていることでも、実は多くの人が内面に抱えているのかもしれないなあと思ったり。
    欲望に対して貪欲に、素直にいられるのなら、歳をとるのも悪くないなあなんて思う。

    主人公のリョウ、素敵な男の子でした。

  • 先に映画を見てしまいました。あまりの衝撃に、原作はどうなってるのか、あのシーンはどのような表現をされているのかなど、気になって読まずにはいられませんでした。

    実際、本の方がマイルドに感じましたが。

    リョウくんがしている仕事の内容は問題あるかもしれないけれど、対人関係の仕事をしている人はとても参考になるのではと思いました。相手が何を望んでいるのか、本人にも気づけていない欲求を探り出し、それを満たしてあげることこそ究極の接客。
    リョウくんから学ぶことはたくさんあると思いました。

  • 人から借りた本。 はじめ、異性になんて破廉恥なものを貸してくれたんだ!と思ったが、文章は簡潔で読みやすく、(やってることは一部汚いともいえるが)心が篭っていて、不思議と汚いと思わない。 読む前は村上龍『オーディション』みたいなドロドロの汚ったない話かと思ったが、普通にほっこりしてしまった。咲良が可愛い。松坂桃李が主演してる映画の方も見て見たいかもしれない。

  • 人間の欲望の多様性を感じた。
    リョウによって、欲望を満たしていく女性たち。
    女なんて…セックスなんて…といっていたリョウが
    彼女たちと出会い、思いを変えていく物語。

    石田衣良さんの言葉のチョイスがすきでした。

    ほとんどが性描写で、
    とてもエロいのだけれど、
    その中でも人間の欲望の深さや
    見た目だけでは判断できない心のうちっていうのがみえて
    ただエロいだけではなかった。

    わたしとしては、アズマとのシーンは
    うーってなってしまって、痛みを伴うのは
    苦手だなぁと。

    本を読んだ後に松坂桃李くん主演の映画も見ました。
    小説を読んでいたら、映画って
    どことなく退屈な感じになったりするんですが、
    全くそんなこともなく、
    もうエロいエロい。
    ずっとエロい。
    腰が砕けるかと思いました(笑)

    続きもまた読みます。

  • どこか冷めた人生観を持つ大学生が、ひょんなことから男娼として才能を開花させていく話。主人公の容姿についての説明があまりないので、恐らくそのあたりはそれぞれ読む人の好みのイメージになるようにしているのかな。ただ、性質は特徴的で、本人は「普通」と考えているが、年上の女性たちに対する偏見のなさ、抵抗感のなさ、ありのままの性癖を受け入れる度量は常人離れしている。こんな人本当にいるのかな〜と思いつつ、そういう人って素敵だろうな、と思った。

  • ☆3.5くらいです。
    あらすじが気になって読みました。

    確かにリョウの言いたいことが分かる部分もあるし、女性の不思議だとか魅力だとか、もしくは理解出来ないところだとか、そんなものが描かれていてただの官能小説では無かったとは思います。
    ドロドロよりはサラサラ。

    かと言って読み終わった時にカタルシスが得られるかと言えばそうでもなく。
    このお話は「逝年」に続くそうなので、そちらも読んでからあらためて感想を書きたいです。

  • ジャケ買いでしたが意外に楽しめました。女性に多様な楽しみ方があるように、男性にもいろんな人がいると思うのだが・・。今の時代に女性・男性なんて分け方も古いのだけれど。

  • 私の記憶が正しければ、石田衣良の作品で一番最初に手にとったもの。

    最初は、タイトル買いと言ってもおかしくなかったけど、最後は、こんなにも人間という生き物を繊細に描ける能力に圧倒されたのを覚えている。

    内容も、艶っぽいけどどこかさみしく、どこか切ない。
    氷の彫刻のような作品。

    • さむさん
      >氷の彫刻のような作品。
      素敵な表現だなと思いました。
      この本を読んで、寂しげで、でも美しいと私は思いました。
      >氷の彫刻のような作品。
      素敵な表現だなと思いました。
      この本を読んで、寂しげで、でも美しいと私は思いました。
      2013/02/22
  • こんな世界も石田衣良さんにかかると、神聖さすら感じる。
    普段、自分の価値観だけで推し測ってる事に反省したり…それが狙いの作品ではないはずやけど

  • いろんなセックス描写があり、ほほう、とおもしろ半分で読み進めていったけど、読み終わったあとなんとなく清々しい気分になった。自分に素直に生きるっていいなと思う。

  • 男性の娼夫のお話。
    すごく刺激的な内容なのに読みやすく、
    読後感がこんなに清々しいのは
    石田さんの全ての女性に対する優しい目線からくるのかもしれない。

    それにしても人間の欲望の多様さには驚かされた。

  • これを読んだのは中学生のとき。
    石田衣良好きの友達に借りて。

    だいぶ前に読んだのにはっきりと内容を覚えているくらい、
    印象深い一冊。

    官能小説とは、一言で言いまとめられない世界観。

  • 映画を観てから読んだため、頭の中の映像が全て映画の映像で出てしまう。正直に言えば、映画を観たときは臨場感が薄い気がした。だから原作はどんな風に書かれているのか気になって買ってきた。で、読むと、映画の方が臨場感があった気がする。でも決して原作が良くない訳じゃない。むしろキレイに読ませるいい作品だった。結局は両方にそれぞれ良さがあったのかな。
    リョウくんの気持ちは何となくわかる。どの登場人物よりもリョウくんに気持ちが沿っていた。出てくる女性たちもとても魅力的で、あぁうまいなぁって思った。

  • ささっと読めた。松坂桃李がすきなので。
    一番興奮したのは、アズマとのシーン。

  • 刺激的な性描写と感情表現に引き込まれる作品。

  • なかなか衝撃的な内容なのに、描写がリアルかつきれい。ラストがそれでよかったのか疑問が残ったので★一つ減。

  • 愛の形にも色々あるものです

    主人公リョウのバイト先にホストで友人のシンヤが連れてきた女性御堂静香に気に入られ静香の自宅に連れて行かれるそこには若い女性がいてリョウはその女性と身体を重ねる。
    静香は女性に娼夫として男性を紹介する仕事をしておりその娼夫にリョウが適応するか若い女性と身体を重ねる事によってテストをしていた。
    結果静香はダメと判断したがその若い女性がOKを出した為リョウは娼夫として働く事に。
    すぐには身体を求めない女性
    身体を求める事はないが自分の性癖で絶頂に達する女性
    自分は糖尿病で余命いくばくもない事を告げ若い妻の相手をお願いする夫婦
    いろいろな形でその場限りの愛を与えていくリョウ
    やがてリョウは指名ナンバーワンまで行き着くがもう一人の友人でリョウの事が好きなメグミによって静香の会社は警察に摘発されてしまう。

    映画のせいか松坂桃李の顔しか思い浮かばなかった。
    表には出ないこういう仕事も実際にはあるんだろうなぁと思います。
    面白くて一気読みでした。
    物語の筋には関係ないけどマッサージ師は上手いだけではダメ、手に力がないとやっていけないという言葉が何故か頭に残りました。
    読む前はこの娼年だけで読み終わるかなと思ったが続編の逝年も読みたくなってきました。

  • 表現力に圧倒された。性行為の描写が多く冗長的にも感じた

  • 設定がすごくて、別世界のように感じるがこの作品にとても引き込まれる。主人公や登場人物も魅力的。

  • 女性やセックスを退屈だと決めつけていた少年が、ぬるりと娼婦ならぬ娼年の仕事を始めるお話。

    娼年の出会う客は変わった嗜好を持つ女性ばかりなんだけど、決してゲテモノのようには描かれない。主人公は、彼女達とあくまでフラットに向き合い、心の内を覗いていく。そうして仕事を通じて、人の心や美しさに気づいていく主人公がとても真っ直ぐで愛おしくなった。
    普通ではないような人々の中から、普遍的な人間愛を学んでいくような、そんなお話だった。終盤での事件を経ても、リョウも咲良もアズマは動じることなく次の未来へと駒を進めて行く様が、まさにそれを表しているように感じた。

    小説としての描写も良かった。街や人間、セックスの描写はボヤかされることなくしっかり描かれていて色や匂いが感じられるようだった。

  • 久々に電車の中だけでなく家に帰って一気読みした本。
    そうだこの人の本はいつも最後がさわやかだった。読後感がよい本。

  • 人の欲望のいろいろ 欲望を高めるスパイス
    逝年も読んでみたい

  • 最近、映画『娼年』を観て、再度読みたくなって
    映画を思い出しながら読んでみた。

    大学生の主人公『リョウ』は男が女性に身体を提供する
    娼夫という仕事をアルバイト気分で始めた。
    そのキッカケが会員制ボーイズクラブのオーナー
    御堂静香だった。
    母親の面影を静香に思い、好意を抱くのも自然だった。

    リョウは女性の欲望に戸惑いながら、体を重ねる内に
    この仕事が面白くなっていく。

    映画では、主人公を『松坂桃李』という女性に人気の
    俳優が演じていて、女性ファンが多い。
    そんな『からみシーン』が多い作品を女性ファンと
    同じ映画館で観ていることが
    オヤジとしては、新鮮に感じた体験になったのが、
    素直な感想だ!

    この作品には更に続編があって、
    映画でも、そんな終わり方だったので、
    今、『逝年』という続編を読んでいる。
    なかなか、これも面白い。
    映画も続編が出来たら、見たいなあ。
    また、女性ファンの中でドキドキしながらね。
    (*^。^*)

  • 寂しさや影のある少年の移り行く心理描写も儚い。
    女性たちが求める繊細な描写にぐいぐい引き込まれ行く。
    若い時はこんな無機質で無気力から目を背ける為に無謀に行動を起こして足掻いた事を思い出した。

    退屈な大学生活を送っている少年がある日を境にボーイズバーで働き出す物語。

    とても好きな作品です。

  • 岩井志麻子が「チャイ・コイ」にてベトナム人の愛人のそれを白くて長いと愛しげに表現したのが、「女性にしか書けない、思いつかない表現」と、評されたように、男性にしか、石田衣良にしか書けない、それぞれの年代の女性のあじわい。職業としての性を媒介にしながら、気持ち悪さもおぞましさも感じさせない。どこまでも透明であやうげな人間の関係というものを考えさせられる。

  • 映画化されるということで、積読の山からついに取り出した本。
    かなり性描写や設定が濃厚なのに(電車で読んでいると辺りを見回してしまうくらい)、穏やかな読後感なのは、メインが、主人公の心境と出会った女性たちとの会話、関係構築に焦点が当てられているから。
    誰とでも率直で変わらない態度を保ち続けられるのって、実は難しいんだろうなと思った。

  • 性描写が多いのに、始終静かに物語が進む。とてもキレイで澄んだ世界。娼夫の話なのに。静香さんが逮捕されてはじめて違法だったことに気づかされる。それくらいすごく不思議な感覚。

    これを映像化したのか。勘違いされないといいな。
    続編もあるようなので読んでみたい。

著者プロフィール

石田 衣良(いしだ いら)
1960年東京生まれの小説家。フリーター、広告代理店でのコピーライターを経て、36歳のときに一発祈念して執筆活動を開始。
1997年、『池袋ウエストゲートパーク』で第36回オール讀物推理小説新人賞、2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞、2006年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞、2013年『北斗 ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。
多くの作品がドラマ・映画化されている。代表作に、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「下北サンデーズ」、映画「アキハバラ@DEEP」、「娼年」。
2015年にウェブ個人誌『小説家と過ごす日曜日』を創刊するなど、メディアをまたにかけて活躍を続けている。

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娼年 Audible版 娼年 石田衣良
娼年 単行本 娼年 石田衣良

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