娼年 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476941

感想・レビュー・書評

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  • アマゾンプライムで映画を観る前に読んでおきたかったので読んでみた。
    もっとこの主人公のことを追っていたくなりました。他人に興味を持ち、向き合える。たくさんの女の人が虜になる気持ちが分かるような気がしました

  • 石田衣良の文章好きなんだよな。

    リアルな性描写も美しい文章で綴られてるお陰でか、どこか切なくて儚い。賛否両論ありそうだけど、僕は優しい物語だと思うな。それが例え犯罪でも。

    定規で真っ直ぐ線を引くように水を飲む。

  • 石田衣良さんの中で一番好きな本。

    ちょっと描写がすごいけど
    切なくて優しい!

  • 特殊性癖がたくさん出てくるので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、
    健全?に生きて真っ当なことを言っているメグミよりも社会的には大手を振って歩ける訳ではない咲良やアズマの方が人を否定しないというのがすごく等身大だと思ったし、読み終わったあと穏やかな気持ちになれた。続編もあるようなのでそれも読みたい。

  • ひとりの男の子(といっても20前後だけど)が、いろんな女性との出会いの中で、女性の神秘について真摯に、探ってい行こうとする、その透明なまなざしがすごく新鮮でした。

    セックスについての考察が多いのに、ちっともいやらしくないというか。

    その人の趣味や嗜好や生き方を、「そういう考え方もあるね。そうだね」と自然に寄り添って、否定しないやり方というか。

    石田さんはそういう考え方ができる人なんだな、って他の作品を観てても思う。

    • ハムテルさん
      感想を拝見して、図書館に予約しました。
      感想を拝見して、図書館に予約しました。
      2012/09/05
    • pommeblancさん
      >ハムテルさん
      イイネありがとうございます。
      読んで良かったら、続編の「逝年」もありますので是非。
      >ハムテルさん
      イイネありがとうございます。
      読んで良かったら、続編の「逝年」もありますので是非。
      2012/09/12
  • 言葉使い!
    言葉の選び方!

    なんだろ、難しい言葉ってより
    身近で簡単な言葉のはずなのに
    耳障りがよく、綺麗に聞こえる

    すっごく「エロい」ところも
    石田さんの描写だと
    なんか違った形で引き込まれる

    あっという間に読んでしまったんだけど
    なんかすっごい引き込まれて
    違う世界のように感じているけど
    でもなんか、自分について考える
    そんなきっかけになった気がする

    なんだろ

    もう一回読みたいって
    久しぶりに思った

  • 映画版上映キャンペーンで漫画版の第一巻が期間限定無料になっていた。それを読んで、原作を購入した(電子版)。石田衣良さんは私にとって未知の作家さんだ。

    男娼、現実には非合法な商売だ。大学にロクに行かず、バーでバイトしているリョウのところに、知り合いのホストが女性客を連れてくる。女性客を分析するリョウに、随分冷めた目をしているなと思った。私がリョウくらいの年に行ったバーのバーテンダーさんは、もっとにこやかだった。一緒に行った友だちが明るくてにこやかだったからだろうか。

    女性客は、デート相手のホストより、リョウに興味を持ち、男娼としてスカウトする。そこからリョウの男娼生活が始まる。バーテンダーよりそちらの仕事に熱心になったのは、リョウの性格に合っていたからだろうか。

    癖は人ぞれぞれだ。特に、性癖となると公にされないから、知りようがない。それでも男性の性癖は女性のそれよりも表に出ることが多いかもしれない。それにこの小説で語られるのは、性癖と括るにはちょっと語弊がありそうな事例もある。長い時間我慢した後、人目にさらしながらの排せつで、(セックスよりも)エクスタシーを感じたり、男娼に抱いてもらうことで亡くなった夫の魂とデートするとか、セックスの上手い下手よりも、リョウの性格とか雰囲気とかが、女性たちの心を安心させて得られる結果のような気もする。

    他の人たちも書いているように、性描写が生生しいので、最初はどきどきしたが、読み進むうちに、人の心の動きの方が気になるようになった。快楽を得るには、どれだけ心を解放できるかにもかかっているとも思うし、いろんな悩みを抱えている女性もいるのだと、ちょっぴりココロ安まる気もした。

    実際には非合法な仕事だし、本当にこんな仕事をしている人がいたにしても、一般人に払える料金ではないのだろうなぁ。そういえば、カナダにはここ数年、Sexologueという職業が出現したが、たぶん医学の知識がいるとともに、心理学も大きく関わっているのだろうと、この小説を読みながら想像していた。

  • 最高。
    綺麗な18禁って感じで、憧れさえ抱く世界観。
    早く逝年読みたいし、爽年も読みたい。
    1行ずつ丁寧に読み進めたくなるし、
    世界に引き込まれていってしまう。

  • 人間の欲望の真理が見えた気がした。

    欲はすてきなもので、それはどんな形でもよい。セックスはその人を理解する手っ取り早い手段なのかもしれない。
    誰にも内向きに隠している姿はあって、どこかでそれを見せたくてたまらない。自分の隠している部分を決して全員に知らせる必要はないし、知ってもらう相手が親しい仲である必要もない。それを開放する手段の一つとしてセックスはある。

    歳をとるってすてきなことだ。私も色んな欲を持った人間でありたい

  • 色気がすごい、そしてみんなの抱える思いが切ない
    私もリョウくんに会いたい

  • いち女子大生として、セックスとか性とかそういうものをテーマにしたもの、それを匂わせるタイトルのものを買うのには勇気がいる。(とかいいつつ衣良さんの「sex」を買っているからあれなんだけど。)でも、恥ずかしいとかそんな理由でこの本を読まないというのはもったいなさすぎる。他の作品にも通ずるところだけれど、衣良さんの性描写にはいやらしさがない。作品を通じて、どこまでも透明なのである。

    売春や買春が孕むイケナイ匂い。社会的にはそれはどこまでもイケナイことだ、と教えられてきたわたしは今まで疑うことなしに体を売り買いすることの悪を信じていた。けれどこの作品を読んでいる間、セックスを商品とすることがイケナイことではなく、寧ろ素敵なことのようにさえ思えた。本を閉じてしまえばやっぱり売春は悪なのだけれど。官能的ではなく、どこまでも透明な作品に仕上がったのはやっぱり衣良さんの成せる技なのではないだろうか。

  • 性的な事は精神面にも繋がっているよね。

  • 「風俗」や「売春」と聞いて目くじらを立てる人には
    一生理解できないであろう物語。
    ていうか石田さん、何者??

    複数での性行為、排泄によるエクスタシー、
    同性愛、骨を折るほどのマゾヒズム…

    人間の、女性の欲望と寂寥感をこれでもかと描き出し、
    綺麗な文章でまとめていくテクニック。脱帽です。


    ----------------------------

    「『ふたりですれば素敵なことを、あなたはいつもひとりでしている。退屈になるのも無理ないな。(中略)まず女性やセックスを退屈だなんて思うのをやめなさい。人間は探しているものしか見つけない』」

    「『綺麗な顔や上手なセックスだけが、女を惹きつけるとでも思ってるの?あなたのいつも難しそうな顔をして悩んでいるところも、ほかの人から見ると魅力的だったりする。自分で意識してる魅力なんて底の浅いものよ』」

    「年の差はたぶん十五歳プラスマイナス2。こどものころから大人の女性が好きだったぼくには、障害にならない数字だ。なぜ彼女たちは年上であることを罪のように感じるのだろうか。そちらのほうが長いあいだぼくの不思議だ」

    「ものを手にいれるより女性を満たす手助けをするほうが、ぼくにはずっとおもしろかった。どんなに効果なプライスタグがついていても、ブランド品など問題にならない。あれは結局、ほんとうは自分には勝ちがないのだと思っている人がほしがる勲章だ」

    「『ほんとうは自分の問題ではないことで悩み、自分の考えでも価値観でもないことで人を裁く人間が、この世界にはたくさんいる。ぼくはそういうの嫌になるくらい見てきたんだ』」

    「ぼくたちは自分が設計したわけでもない肉体の、ごくわずかな部分に振りまわされて一生をすごす。過剰な欲望をもつ人は生涯を檻のなかで送ることもあるだろう。それほど極端でなくても、平均的な欲望のもち主でさえ長くはない人生の何万時間かをセックスについて空想し、無駄に潰してしまう。(中略)この世界の途方もないフクザツさと同じだけの深さが、ただのセックスにあるのだという事実が、その夜ぼくを圧倒していた。」


    ----------------------------


    純愛や倫理を口で語るのは簡単でも、
    それだけでは決して満たされることのない
    スキマが人には存在するのもまた事実。

    男女の仲に正しさなんてないけど、
    最後のシーンで示唆されている石田の哲学は興味深いです。
    (ネタバレなので書きませんが)

    オススメ図書。夏にね。なんとなく。

  • 官能的でありつつもどこか切ない感を見事に描く、石田衣良は凄い。ストーリーもオチも美しい。

  • 娼婦業に足を踏み入れた少年のお話。

    まぁ確かに官能的なシーンは多いんですが、
    それよりも内面や人間の本能・本質が描かれていておもしろい。

    ノーマルな人間なんてこれっぽっちしかいないんだ。

  • こんなに美しい小説を読んだことがない。というくらい、美しい。

    エッチな表現もあるけど、どろっとしていなくて綺麗。

    23歳のとき読んだら、「なんだかエッチな話」という印象しかなかった(ごめん;)のに、30歳になって読んだら、えらく感動した。
    友達にもおすすめした。

    色んな欲望があって、それを解消できるなら、その手段を使っていいと思う。

  • 主人校が年齢とか嗜癖とかの変数に囚われずに、ひとりひとりの女性たちと向き合っていくさまが、素敵だなって思った。

  • すごくぶっ飛んだ世界のように思えましたが、読んでみると、身近なのかもしれないという錯覚が起きるほどでした。

    性的なつながりだけではない何かを見つけていく主人公の日々が、とても綺麗にさえ思えます。

  • とても惹かれた。どんな女性に対しても、受容し、魅力を見い出す。本来なら汚らわしい事でも、そうは感じさせない。読み終わった時には、何とも言えない感情になった。とても魅力的な作品。石田衣良さんの作品は今回が初めてですが、他の作品を読むのがとても楽しみになりました。

  • 本好きの友人が押しなべてお勧めしてくれてた本

    石田さんって男性だよねと思うくらい
    細かく繊細に書かれていた
    文字が画像になって上がってくる感覚を味わえる本だ

    そして
    愛の形は無限大

  • これは高校のときに初めて読んで、
    ただ凄いなあー描写も凄いなあー
    ってくらいにしか思わんかったけど
    また最近読んで見たら
    凄いわかると言うか…
    同じ大学生として単調な毎日はつまんないし、
    色々飽きちゃったりして。
    こういう仕事したいとは思わんけど、
    世間どうこうやなくて
    自分にとってこれは、
    というものを見つけたいな
    って凄い思ったなー…

    石田衣良さんらしく
    ほんと読みやすい。
    夏に読むと妙にすっきりする。
    次回読むとき自分が何を思うのかが楽しみな一冊。

  • 初めての石田衣良作品。
    なんだろう、率直に、この人本当に男?と思いました。
    セックスの描写がとても綺麗です。
    女の人よりも女っぽい文章を書くなぁと。
    女性について、性について
    こんなに考えられる20そこそこの男性がいたらすごいですね。

  • 五点つけるのも躊躇われるけれど。笑
    大学生の夏に読んで、衝撃を受けました。色んな意味で印象的。そして石田衣良さんの小説の中ではいちばん綺麗で正直で好きです。

  • 鼻につく嫌味のないすごくストレートな表現と文体。
    わかりやすすぎてピッタリくるんじゃなくて、半音ずらしたまま保ってるくらいのちょうど良さ。
    この半音ずれた感じがきっとこの人の作風で、正しい音とのこの「半音」っていう距離が高く評価されてるから人気なんだと思う。
    特に心を鷲掴みにされるわけでもなくて、ものすごく惹きつけられるような才能と自信に満ち満ちた文体ってわけでもなくて、
    すごく綺麗なわけでも別に汚いわけでもなくて、
    だからといって普通とは少し違うというか、どこが違うかは明確には言い表せないけれど、
    ずっと平らな平面を同じ強さと同じ速度で一定の方向にずっと撫で上げてる感じだ。
    加速もしないし減速もしない、その加減が普通じゃきっと難しい。
    表現の主体は確かにその体内にあるはずなのに、脳だけ離れてるみたいな気分になる。
    目線と同じ地点から、興奮もなにもない捉えるだけの視点で、
    はやくも遅くもならない時間の流れを知ってるみたいに同じ速度で見続けてる感じ。メトロノームに近い。きっと最後のページの最後の言葉で、ネジがとまって、音もなく振り子がやんわり止まる。
    体温の無いリアル…
    音の無いリアル…
    共鳴共感の無いリアル…
    だからここに欲情することも惹きつけられることもないけど、
    この無味無臭な感じがこの人の「あじ」なんだなって思ってしまうほど巧くてクセになる。

  • なんとも言えないけど、この小説は素敵だと思った。
    丁寧な文章で、「性」について語られている。

  • 先が気になって気になって、
    職場の休憩時間や電車の中でも読みました。
    エロ本を読んでるような気分で、
    ハラハラしながら読みました。
    でも、エロではなく惹かれるものが作品の中にあって、
    割と薄い文庫本でしたが、読了感たっぷりです。
    悩み多き一人の男の子の成長を描いた作品。

  • この常軌を逸したところが、たまらない人には刺さる作品です。
    映画化もされこういう表現が合っているかは分かりませんが、世の中に広く周知されてると思います。

  • この本には、主人公の仕事相手としてとても個性的な女性たちが登場する。読み終わった後思い返すと、ことさらよくわからない趣味だったなと思う。でもこの本を読んでいる最中、私は彼女たちをとても可愛くて賢い人だと感じていた。主人公は女性たちの人となりをとても素直に、フラットに受け止めてその素敵なところを見つめていたから、主人公を通して見ていた私もそのように感じることができたのだろう。
    彼女たちのことを思い返すとき、おかしい趣味だ、変な人だったと思う私は、普段突出した一部分に強く左右され人となりを判断しているのかもしれない。そういう、誰かを見つめるときの視線の偏りをこの本は教えてくれた。

  • セックスとは何か?
    働くとは何か?
    色々考えさせられるお話でした。

  • 映画化されたから思い出した。淡々とした性描写が印象的だった。男の子が主人公だけど、女性にこそ読んでほしい本。生殖機能が備わっているけど頭が冷え冷えしているオスと、欲とかいろんなことにもまれて生きてる感覚が薄れたメスたちって感じだったと思う。
    それを見守るボス的な女性いたよね、娘のいる。エイズか何かでセックスができないとかいう過去をもつ人。

著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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