暗黒童話 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 8732
レビュー : 800
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476958

感想・レビュー・書評

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  • ★2009年1月23日 8冊目読了『暗黒童話』乙一著 評価A
    オドロオドロシイという表現がぴったしの通称クロ乙一の作品ですが、話の展開、内容が秀逸。
    これらの作品を二十歳代前半で書いてしまった乙一の才能には脱帽です。どこからあのような奇想天外の物語が紡ぎ出せるのか?!本当に文才というのはすさまじいものだと痛感させられました。

  • 学生だった頃に図書室で借りて1度読んだ本でしたが、もう1度読みたくなったので購入。
    ジャンルはホラーかな……それともミステリが正しいだろうか。
    ※レビュー内に犯人の名前等、物語の核心に迫る部分のネタバレを書いてしまっているので未読の方はお気をつけください。


    記憶を失くしてからの菜深(と言っても話自体が記憶を失くしてから始まるので、記憶を失くす以前の菜深については読者側もその殆どを他人からの言葉で想像するしかないのだけれど)の引っ込み思案で少し後ろ向きな性格が自分にとても良く似ているので、読み始めた時点から菜深にとても感情移入してしまった。
    菜深の場合は記憶を失くす前の「自分ではない自分」がとても優秀で皆に好かれていたせいで、「今の自分」が何かヘマをやらかす度に「昔の自分」と較べられてしまう……という点も彼女に多大なストレスを与えている。身体は同じはずなのに精神がまったく別の他人になってしまうという感覚は自分では想像もつかないことのはずなんだけど、その辺りの描写がとても丁寧なのでなんだかきちんと想像できているような気持ちになってしまうからすごい。
    菜深が作中で「記憶を失った自分」と「記憶を失う前の自分」の違いについて悩んだり、和弥への想いを自覚しそうになった時に「彼はもうこの世に居ない」という事実のためにそれ以上考えないようにしたり、いつか記憶が戻った時に「今ここに居る私」はどうなってしまうのかと悩んだりする度に“今ここに存在している菜深”への感情移入が強くなる。

    初めて読んだ当時は潮崎さんが好きだったので彼が誘拐事件の犯人ではなかった事は覚えていたのですが、結局最後まで犯人が思い出せず、犯人発覚の時(鴉のキーホルダーの事を瞳から聞いた時)に恐らく菜深と同じタイミングで犯人が誰なのかを悟りました。

    喫茶店に居て普通に菜深と話していた時の住田と、菜深の腹部を割いて腸を引きずり出した時の住田の表情や声のトーンがほとんど同じものである、という点が地味に怖い。
    別に彼には誰かに対して明確な殺意があるわけではないんだよな。「人間は(或いはこの人は)、自分がこうしたらどうなるのか?」ということに純粋に興味があるだけという感じ。

    砂織のことをどう思っていたのかと訊ねた時、住田は何も言わなかったけれど、菜深は住田のその沈黙について「彼の心の一端を知った」と表現した。
    私もその沈黙はきっと住田から砂織への恋心の表れなのだろうなあと思っていたけど、間に挟まれる過去の住田の記憶から想像していくと、必ずしもそういうわけではないのかもな?とも思ったり。
    住田が幼少期に病院で出会った、肘から先の無い友だち。後にその子は亡くなり、更に最後のほうでその子が女の子だった事、その子と砂織の顔が似ていたことが明かされますが、果たしてそれによって住田の心に芽生えた砂織への感情は本当に「恋心」だったんだろうか。
    肘から先を失くした友だちが亡くなったと聞いた日の事を鮮明に記憶しているということは、彼女を亡くした事はきっと住田にとってショックな出来事だったんだろう。それは恋心からくるものだったのかな。


    「記憶を失くす前の菜深」に戻っていった『白木菜深』が「記憶を失くしていた頃の菜深」について思いを馳せる最後の数ページの心理描写がとても好き。
    私(読者)が一緒に色々な事を考えながら楓町を旅した白木菜深と、最後のこの数ページであの事件についてどこか他人に起きた出来事のように考え始めてしまっている白木菜深は、やっぱり身体が同じでも別人なんだなと再認識する。
    それと同時に、記憶の戻った白木菜深が「彼女の消滅は一人の人間の死と同等だ」「私は絶対に、永遠に彼女のことを覚えていよう」と表現してくれた事が何故か堪らなく嬉しかった。

  • 童話が怖かったです。
    あと記憶喪失になるのも怖いと思いました。
    記憶喪失になったら、もっと周りの人優しくしてくれると思ったけどそれは幻想やった。
    怖い話やけどやっぱりファンタジーやとも思ったよ
    あと犯人間違えとって悔しかった

  •  むかしむかしあるところに、人間の言葉を話せるカラスがおりました。

     カラスは目の見えない少女と話をしているうちに、少女を幸せにしてあげたくてたまらなくなりました。

     そうだ、彼女に目玉をあげたらどうだろう。

     そしてカラスは彼女のために、街へと繰り出していくのでした。

     彼女のための目玉を探しに。

     事故により片目を失くしたショックで記憶を失った少女は目の移植により、線路、公園、ふとしたきっかけで不思議なものが見えるようになりました。

     記憶のない自分の記憶を埋めてくれるかのように見える誰か別の人の記憶。

     記憶の中の人物は実在するのだろうか?

     それともただの自分の夢なのだろうか?

     少女の記憶を求める旅が始まったのでした。


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     少女パートの合間合間に目を探すカラスの童話が挿入されて物語りは進みます。角膜を移植したら前の人の記憶が見えるようになった、という設定はどこかしらで見たことがあることと思います。その設定に乙一さん独特の不可思議ホラーテイストが加わり、何とも奇妙な物語に仕上がっていました。最後どうやって終わらせるのかがドキドキして仕方がなかったです。犯人はわかっていたのにこれまたあの記憶がピーッだというのはやられたーーーーー!!!相変わらずうーん先はどうなる?どうなる?とドキドキ感のある小説。

  • 黒乙一か白乙一かでいったら完全黒です。ただ、黒く暗黒で残酷でグロいけど、その中に人間の強さ、弱さ、温かさを備えてるのが乙一のすごいところ。ラストの一行には思わず涙。乙一の中でベスト3に入るお気に入りの一冊です。

  • 乙一に初めて出会った思い出の作品。何度読んでも傑作です。乙一の魅力満載。大好き

  • 期待どおりの乙一作品。

  • 乙一作品では珍しい長編。そして乙一史上最も気持ち悪く、最恐におもしろい作品です。年に何回か読み返します。

  • 主人公の成長していく姿が素晴らしい。乙一で一番好きな一冊。僕はこの本を「白乙一」だと思っています。

  • 左眼を失い同時に記憶も失った少女(菜深)に移植された左眼。
    その左眼は記憶のない少女に過去に見ていたもの_元の持ち主の記憶を時折見せた。
    その眼で見た記憶には、行方不明になった少女の姿と自身の死の瞬間があった。
    記憶をたどる少女は真相を明らかにする。

著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

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暗黒童話 単行本 暗黒童話 乙一

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