王妃の館 下 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 2148
感想 : 200
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477085

作品紹介・あらすじ

ひと癖もふた癖もある「光」と「影」のツアーメンバーたちは、ドタバタ騒ぎとニアミスをくりかえしながらも、それぞれのパリの旅を楽しんでいた-かに思えたが、ついにツアーの二重売りがバレそうになって、さあ大変。さらに「王妃の館」に秘められた太陽王・ルイ十四世の愛の行方をからめて、物語は十七世紀と現代とを縦横無尽に駆けめぐる。思いっきり笑って泣いて、ついに感動の大団円。

感想・レビュー・書評

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  • 笑いと泣きの割合でいうと、泣きのほうが多かった。特に、ヴォージェ広場のビストロ「マ・ブルゴーニュ」の店主であるマイエの言葉「愛されるより、愛するのです」という言葉が胸にぐっときた。彼は死ぬまで愛するディアナとプティ・ルイのために晩餐を届け続けたのだ。途中でディアナに愛の告白を拒まれても、死ぬまで愛し続けた美しい心の持ち主であり、大尊敬に値する。プティ・ルイの物語は途中から北白川右京の作品と、老コンシェルジュが語るものとがごっちゃになってきて、どちらの話なのかまったく検討が付かなくなるのだが、どちらにせよ涙無しには語れないほどの感動ストーリーで、最終的にはどちらでも構わないという不思議な気持ちになってしまう。近藤とクレヨンも無事結ばれたことだし、吉本新喜劇的なエンディングも良しとしよう。

  • シリアスに歴史モノだったら、もっと好きなのに

  • 下巻、思ったほどは盛り上がらず、光(ネガ)と影(ポジ)のツアー客同士、いつの間にか自然に融合して、あっという間に大団円。プチ・ルイの健気さが印象に残る。

  • やっと読み終わった…
    お話は面白かったんですが
    私の私生活が慌ただしかったり
    落ち着かなかったり
    落ちたり浮いたりだったり
    …とにかく読む時間があまりなく
    疲れから読み始めると寝るという有様。
    浅田さんごめんなさい。
    *
    でも浅田次郎と言う人は
    よくこう言う物語を思いつくなぁ。
    かと思えば真面目ぇ〜な難しいのも書いたりして
    頭の中どんなんなんだろ。
    *
    この前、映画になりましたよね。
    出たら借りて観ようかな。

  • 読み始めはなんとなく会話や設定に違和感を感じたけれど、物語の中で語られるルイ14世のお話やドタバタなありえないツアー、、ぐいぐい読み進めてしまった!面白かった。

  • ブルボン王朝ルイ14世が愛する王妃のためにパリのヴォージュ広場に建てた王妃の館。今では世界中のセレブが羨む最高級ホテル。なんと泊まれるチャンス到来!企画したのは小さな旅行代理店。が倒産寸前!?。僅か五室しかない部屋に如何に多くのツアー客を呼び込むか考えた奇策とは!?。筆者得意のコミカルな作品。何と言っても登場人物のキャラ設定がいけてます。パリジャンに失恋したオカマ、生真面目元警官、会社が倒産し死を決意した老夫婦、不倫の末会社をリストラされたハイミス等己の人生をリセットするためにツアーに参加してきた面々。ところが読み進めていくともう一つの浅田作品の特徴であるシリアスな歴史小説が同時に始まる。ホテルの老コンシェルジュが語る300年前の切ない物語。栄華を誇り太陽王と称されたルイ14世が何故有史以来最も荘厳かつ豪華なるベルサイユ宮殿を建立したか?何故愛する王妃と王子を居が離れたパリに移したのか?王が食した極上のフランス料理を同じレシピにて食しながら老コンシェルジュからの悲話を聞く面々の想いとは・・。泣き笑いのつぼは流石、更にフランス中世史やフランス料理の歴史や役割を学べてかつオシャレなエンディングを堪能〜。上下巻一気よみ。パリに行きたくなってきたな〜。

  • シリアスな内容なのかなと読み始めた小説だったが、コミカルな小説だった。

    パリのヴォージュ広場で300年の伝統を誇る「王妃の館(シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ)」は、世界中の観光客あこがれの最高級ホテル。この15室しかないホテルの知名度を利用し、倒産寸前の旅行会社が企画した起死回生策とは、「王妃の館」に滞在するパリ10日間149万8000円の超豪華「〈光(ポジ)〉ツアー」と、19万8000円の格安「〈影(ネガ)〉ツアー」を同時に催行し、ツアーの「二重売り」によって月末の手形決済を切り抜けようというもの。
    しかしながら、両ツアーともに、参加者はひとクセもふたクセもある個性派ぞろいで、参加者たちが繰り広げる予想外の事態により、ツアーの二重売り計画は次々と危機にさらされ、破綻していく。トラブルの連続、突拍子もないギャグ連発のドタバタ人情劇は、エンターテイメント性たっぷりに楽しませてくれる。この現代劇の合間に、17世紀の「王妃の館」にまつわる逸話が、しっとりとした趣で織り交ぜられていく。
    現代劇の最後は、できすぎのハッピーエンドというのもホッとする展開だ。いわく、「光には影がなければおかしいし、光あってこその影なのだから」と。また、ときに登場人物に語らせながら、随所に散りばめられている著者の思想や社会批判がなかなか痛烈である。

    浅田次郎らしい、笑いなのかにも感動があり、そこに歴史的な事実を織り交ぜて、素晴らしいストーリー展開だった。

  • *****

    一番不幸せだったのは誰だろう。
    一番幸せだったのは誰だろう。
    一番強く生きたのは誰だろう。
    一番誇り高く生きたのは誰だろう。
    色んな生き方が時代を超えて交錯する中で、どの問いにも答えは出ない。
    人生の光と影は自分がどうやって引き受けるかを決めること。
    結果を求めず。見返りを求めず。
    引き受けて、生き抜くこと。
    *****

  • 読了!★★★★★

    笑っていたのに、泣いている。
    ホロリとしていたのに、クスりとしている。
    泣きと笑いのアップダウンを繰り返しながら、物語は終焉を迎える・・・
    ハリウッド的でいい、水戸黄門級でもいい、予定調和の大円団でいいのだ!!
    期待してもらっていい、後味まで美しい感動のフィナーレが待っているのだから!!

    岩波先生はいい事言うなぁ・・・
    幸せに生きる為に一番大切な事を教えてくれたんだからなぁ・・・
    それを守りきったふさ子はすごいなぁ。

    ミチルもああ見えて、結構いい事言うね。ルイ14世の高貴なお話に比べれば、
    下世話であると言われてしまうかもしれないけど、苦労が足らないと香に言うシーンは良かった。
    幸せだから、不幸だと嘆くのだと。はなっから欺すつもりの恋なんてあるわけないと。

    プティ・ルイの健気さにはグッとくる。子供はやはり反則的威力がある。

    • wblackさん
      「男なんてみんなそう!私が欲しいだけなのよ!」
      下心があると邪推されてしまったシーンですね!
      ピュアな彼にはキツかったでしょうね・・・
      男と...
      「男なんてみんなそう!私が欲しいだけなのよ!」
      下心があると邪推されてしまったシーンですね!
      ピュアな彼にはキツかったでしょうね・・・
      男としては悲しい瞬間です。

      「プリズンホテル」や「天切り松」とか「きんぴか」などのエピソードを思い出すことがしばしばあって、浅田節の集大成的な作品だとおもっていますが・・・
      振り袖おこんとか、軍曹とか、板長と服部シェフとか、木戸孝之介とか・・・
      どこか似てませんか?? 浅田好きにはたまりませんね!
      安心して笑ったり泣いたりできました。

      M・R先生?? そうなのかもしれませんね!
      2012/11/01
  • 自分の作品を作中で褒めるというのは大胆な試みです。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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