モンテロッソのピンクの壁 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477153

感想・レビュー・書評

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  • 昨日の夜、また、ブックオ○に行く夢を見てしまった…。
    そこは大きなビルの中ほどの階をふたつ使い、どこのブックオ○もそうなように、たくさんの本やDVDが整理されて置いてある。
    誰かに読まれるのを待っている本たち。
    選ぶ幸せを感じつつ、目が覚めた。

    夢うつつで幸福の余韻に浸っていると、ハタと気づく。
    ――あんなブックオ○、行ったこと無い――
    夢でしか行けないブックオ○。
    あるいは、日本のどこかに、私を待っている、夢で見るブックオ○が存在しているのかもしれない―――。

    さて、(長いフリだな!)
    こちらの文庫絵本の主人公はハスカップという猫。
    彼女も夢に見るものがある。
    それはきれいなピンクの壁。
    ―――ああ、いかなくちゃ。
    彼女は目が覚める度、そう思う。
    ある日、夢の中で、通りがかりの男の人に聞いてみた。
    「ねえ、ここは一体どこなの?」
    「ここはモンテロッソさ、お嬢さん。」
    ―――ハスカップは、現実で、モンテロッソのピンクの壁を目指し、旅に出るのだった。

    ここからは、ロードムービー的な展開が繰り広げられる。
    何があっても、迷いながらも、気品と誇りを持って対処し、目指すべきところに進むハスカップが眩しい。

    荒井良二さんの絵は、私の中の野生とか子供の部分がザワザワする。
    ハッキリした色と、滲んだ色使いを描き分け、滲んだ色使いは、憂いとか哀しみを感じさせる。
    江國さんの文章は、お洒落で厳しくて、ユーモアたっぷり。

     「うしろもふりかえらず、軽やかに。
    私はモンテロッソにいかなくちゃ。何かを手に入れるためには何かをあきらめなくちゃいけないってことくらい、私はよく知っている。」

    巻末に金原ひとみさんのエッセイがある。

  • モンテロッソへ
     モンテロッソへ
      モンテロッソへ
       いかなくちゃ。

    猫のハスカップは、そう決意しました。
    なぜなら、いつもこの場所が夢に出てくるから。

    「江國香織童話集」では、15ページ程のお話。
    絵本にもなっていたので読みたくなりました。

    絵本だから大型本と思いきや、何と文庫本です。珍しい。
    ページは振っていないけど100ページ弱です。
    やっぱり絵が沢山あると物語にスッと入っていけていい。
    イメージも膨らむし。

    実際にある場所なのか気になって調べてみたら、
    モンテロッソはイタリアの町でした。
    絵本に描かれているとおりのピンクの壁もありました。

  • いつも丸くなって寝ている、年とったご婦人にかわれているハスカップは、決して怠惰な猫ではありませんでした。
    勇敢で正直な、潔い猫ちゃんです。
    モンテロッソへいかなくちゃ!
    かわいらしい絵とはうらはらに、夢を手に入れることの厳しさがひしひしと伝わってきます。

  • ああ、いかなくちゃ。
    モンテロッソへいかなくちゃ。
    夢でみたピンクの壁のあるモンテロッソへ。
    うす茶色の雌猫・ハスカップが金茶色の目をらんらんと輝かせてモンテロッソ目指して旅立つ物語。
    海を渡り丘を越え森を抜けて。
    様々な人達との出逢いと別れを繰り返し、ハスカップの旅は続いていく。

    うちの通い猫2匹もハスカップのように、どうしてもモンテロッソのピンクの壁に行きたくなる日が、いつかやって来るのかな。
    そして私もいつか。
    ただ私はハスカップと違い、焼きねずみよりもジューシーなミートパイの方が好みだけれどね。

    江國香織さんの優しい文章と荒井良二さんの色鮮やかなお洒落な絵がコラボした可愛らしい一冊。
    2月22日・猫の日を祝して。
    そして、40代ラストの年齢となった"私"の記録として。

    • mofuさん
      5552さん、こんにちは。

      今日は記念すべきスーパー猫の日ですね!
      実は私の誕生日でもあるんです。

      この絵本可愛くて、私も大好きです!
      ...
      5552さん、こんにちは。

      今日は記念すべきスーパー猫の日ですね!
      実は私の誕生日でもあるんです。

      この絵本可愛くて、私も大好きです!
      同じ猫の日に同じ本を読めて嬉しいです。
      コメントをありがとうございました(^.^)
      2022/02/22
    • 5552さん
      mofuさん

      今日、お誕生日だったんですね。
      おめでとうございます!
      猫好きにとっては、たまらない日にお生まれになったんですね。
      mofuさん

      今日、お誕生日だったんですね。
      おめでとうございます!
      猫好きにとっては、たまらない日にお生まれになったんですね。
      2022/02/22
    • mofuさん
      ありがとうございます!
      今年は2がたくさん並んで、記念の年になりました(*^^*)
      ありがとうございます!
      今年は2がたくさん並んで、記念の年になりました(*^^*)
      2022/02/22
  • とてもかわいくて、でも最後はちょっと切なくてしんみりしてしまいました。「モンテロッソへいかなくちゃ!」という、ねこのハスカップの旅がキラキラしてて、やっぱりちょっと切なくて良かったです。荒井さんの絵も、江國さんのお話もお互いにぴったりで素敵なひとときでした。

  • [再読] 2012年10月02日
    [再読] 2013年4月20日
    [再読] 2013年6月10日

    うす茶色の体に金茶色の目をした楽天的な性格の猫のハスカップ。

    自分のたどり着くべき場所に向かって旅立つハスカップ。
    自分はライオン向きだと思っているハスカップ。

    いろんな出会いとさよならを繰り返してたどり着くピンクの壁。

    ワタシも最後に辿り着くココロの場所が
    夢とも現実ともつかないとろけそうな場所だといいな。
    読む時によって、幸せなキモチになったり、寂しくなったり。
    ハスカップの世界はいつもゆらゆらと幻想的で愛おしい。

  • ずっと思い描いて、恋い焦がれていた場所。
    たどりついて、溶け込んでしまえるっていうのは、
    この上なくしあわせなんだと思います。

  • いつも夢に出てくるピンクの壁。
    猫ハスカップは、その壁を求めていた。
    愛する馴染み深い人とも別れ
    ハスカップは、ピンクの壁を見つけに
    モンテロッソに旅立った。

    鮮やかで優しい絵とともに
    ハスカップの上品でおしゃまな性格に
    思わず微笑んでしまう。
    かわいい絵本。

    ときどきズバッと射抜く言葉も、その通り!
    「何かを手に入れるためには
    何かをあきらめなきゃいけないってことくらい、
    私はよく知っている」

    モンテロッソのピンクの壁には
    今日もかわいい猫の形があるに違いない。
    ハスカップみたいに一心に何かを求めていける力は
    本当に素晴らしい。

  • ハスカップに心を乗せて、とても素敵な旅が出来ます

  • 最高に贅沢な顔合わせの文庫版絵本。
    夢にでてきた、それはきれいなピンクの壁があるところ、モンテロッソへいかなくちゃ! 猫のハスカップの旅が続く…。荒井良二氏の美しい絵で誘う江國ワールド。描き下ろし多数。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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