カスバの男 モロッコ旅日記 (集英社文庫)

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  • 集英社
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本棚登録 : 299
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477160

感想・レビュー・書評

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  • 2004-07-00

  • この本を読んでモロッコに行きたくなり、行って来た。

  • モロッコは、人を、とりわけ日本人を魅了する不思議な魅力を持った街、国のようだ。短い文章とイラストから成る本なので、受け取り用は人様々だろう。好きな人は、モロッコと大竹伸朗がますます好きになり、関心のない人は、なんだくだらない、で終わってしまうという本でしょう。ちなみに、私は好きです、この本。

  • タンジール、アシラ、フェズ、マラケシュへと巡る旅日記であるが一般的な日記とは異なる。画家ならではの視点は夢と現が交錯する観察眼。現地で制作したスケッチやエッチングが味わい深い。

  • モロッコを放浪する。新しい場所に着いたら、コーヒーを飲む前に街を歩く。不思議なくらい文章が埃っぽくて、何気無い描写が海外に行った時のことを思い出す。見るもの、聴く音が自分に何かを感じさせる。ふと、絵を描きたくなくる。これこそ、海外の感覚だ。

  • 代官山TSUTAYAで見かけて、「おや」と思った。
    と、言うのはある方が近々モロッコに行くと聞いていたからだ。この方とても気になる趣味の良い方なのだが、その方がどういう人なのかはややこしいから今は書かない。
    『カスバの男』と題されたその本のサブタトルは、ーモロッコ旅日記ー
    ちょっと待てよ。このタイトル、大昔の流行歌『カスバの女』のもじりだろ。明らかに。だけど「ここは地の果てアルジェリア~♪」と唄われるカスバってモロッコから遠くはないだろうけど、モロッコじゃなくてアルジェリアの街のはずだよね。
    それがどうして、この本の書き手もモロッコ旅行記のタイトルにし、それを見た私も即モロッコを連想したのだろう。謎である。だがこの疑問、置き去りにして先に進む。

    文庫版の解説を角田光代さんが書いていて、これがまた面白い。
    『八日目の蝉』を読んで以来すっかり好きになったこの方が、『カスバの男』を読んだら、衝動的にモロッコ行きの航空券を買いに走った、と書かれている。それで、女性一人で行くようなところじゃありませんよ、と旅行会社のひとにアドバイスされるのだけれども、それでも強行して航空券を買って飛んだと書いてある。
    実は冒頭に紹介したある方というのも女性で、モロッコには来月やはり一人で旅するのだという。この方はとてもインテリというか我々凡人からみると、ある情報がインプットされて、その結果としての行動が為されるまでの頭脳の中のプロセスがあまりに高度で想像が できない。だから、そういう意味では著名作家たる角田光代さんと同様で、なぜそうなったのかはミステリアスなのだが、あの人がやることなんだから真似してみたら素敵かも、と思わせてくれるところがある。

    モロッコといえば、オジサン世代が連想するのは映画『カサブランカ』だ。
    ボガードやバーグマンの名台詞が言い習わされれいて、もうベタすぎるのだが、私には何気無い脇役の仕草で忘れられないシーンがある。
    颯爽と飛び去るニヒルな二枚目でありレジスタンスの英雄を見送る田舎植民地の下級警官が、手に持ったヴィシー酒の瓶を思いっきり屑籠のなかに投げ込むシーンだ。一見なんの意味もなさそうなこのシーンの意味を、三十年か四十年前テレビで見たときに、「映画って本当に」の水野晴郎さんだったか、「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」の淀川長春さんだったかは忘れたけれど、解説で意味を教えてくれた。
    ヴィシーは、ドイツ占領下の傀儡政権であるヴィシー政府の象徴で、占領軍に支配され操られる傀儡政府に公務員の身の警官は恭順を装ってはいるけども、本当は「コノヤロー」と思ってる、それを暗示したシーンなのだということだった。
    30年以上たった今、そのシーンの意味を想い起こすと解りすぎるその含蓄が哀しい。

    気がついたら、この本の本文の内容には一言も触れていない。
    それもそのはずだ、個性的なアーティストの手によるこの一冊をぱらぱらイストを中心に眺めただけで、私はまだこの本の本文を読んでいない。
    ですが、間違いなく面白いだろうという予感がある。この予感にハズレはないだろうし、それより読み終わったら、自分がHIS目指して駆けだしはしないか、その方が心配である。

  • アラビアンポップスが大音量でかかっている夕暮れの空気感、コーランのCDを昔買ったと言う一節、ブライアン・ジョーンズの「ジャジュカ」と言うアルバムにサラーム海上さんの本を思い出し、カオスの極限にはモンドリアンの「ブロードウェイブギウギ」すら複雑に見えてしまうほどシンプルな縦横の世界がどうしてもあるように思えてならない、という一節の魅惑。旅情に耐えかねて、読後即一ヶ月のモロッコ旅行に出かけた解説の角田光代さんの気持ちもわからぬでもない、と。たっぷりと著者のフィルターを通したモロッコに浸れる一冊。ただ、冒頭の手書きの世界地図、西サハラまでモロッコに含めてしまうのは...と思ったけど。

  • モロッコ旅行に向けて知人にいただいた。旅の事前情報!と思い持っていって飛行機で読んでみたらこれが随分とアーティスティックな内容で全然参考にならずwでも個人的には嫌いじゃなかったす。

  • ・モロッコでこうして音楽を聴いていると,やはり人間好奇心を持ち,さまざまな場所へ積極的に行き,自分で見聞してからでないと無責任なことは言うべきではないと痛感する。日本は異常に情報に取り囲まれているので,本屋で本を手にしCDビルで外国の音を耳にし,日本から一歩も出ることなく自分の意見を言いたがる傾向にあるが,やはり意見を言うのならまず,そこへ行かなければ話にならない。アタマで理解することと,人間としての感覚とのバランスは重要だ。
    ・昔,香港でも思ったことだが,海がそこにあるということはなにか絶対的な浄化作用を街に及ぼす。どんないやなことがあっても海風にあたるとなぜか気が楽になるものだ。僕は都市にいながらあたる海風の方が自然の中であたるよりたくさんのインスピレーションが得られるような気がする。都市と自然には違った種類の海風が吹くのかもしれない。
    ・ケモノは自分で作ろうと思ってケモノ道は作らない。ただ毎日そこを歩くだけだ。

  • 20101028

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著者プロフィール

1955年、東京生まれ。1980年代初頭より国内外で作品発表を開始。2006年初回顧展「大竹伸朗 全景 1955–2006」(東京都現代美術館)以降、東京、香川、ソウル、ロンドン、シンガポール等で個展。光州ビエンナーレ(韓国)、ドクメンタ(ドイツ)、ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)、横浜トリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭はじめ国内外の企画展に参加。1986年に初作品集『《倫敦/香港》一九八〇』(用美社)刊行後、作品集や著作物、CD等多数発表。主な著書にエッセイ集『見えない音、聞こえない絵』『ビ』『ナニカトナニカ』(共に新潮社)、『既にそこにあるもの』、『ネオンと絵具箱』(共にちくま文庫)、絵本『ジャリおじさん』(福音館書店)等。エッセイ「見えない音、聴こえない絵」は、月刊文芸誌『新潮』に現在も連載中。2014年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
ohtakeshinro.com

「2019年 『大竹伸朗 ビル景 1978–2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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