- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087477160
感想・レビュー・書評
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この本を読んでモロッコに行きたくなり、行って来た。
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一般的な旅行ガイドなどとは全く違う。
作者のものの見方、捉え方にある種の衝撃を受けた。いい意味でどうでもいいことを書いてあるからこそ、その場の臭いや音や色、質感を想像できる。こんな見方ができたら、世界がもっと面白くなるのでは。
だからこそ、解説の角田光代さんは、読後にモロッコに行かずにはおれなかったのだろう。わかる気がする。私も行ってどうでもよい壁を見たい。 -
代官山TSUTAYAで見かけて、「おや」と思った。
と、言うのはある方が近々モロッコに行くと聞いていたからだ。この方とても気になる趣味の良い方なのだが、その方がどういう人なのかはややこしいから今は書かない。
『カスバの男』と題されたその本のサブタトルは、ーモロッコ旅日記ー
ちょっと待てよ。このタイトル、大昔の流行歌『カスバの女』のもじりだろ。明らかに。だけど「ここは地の果てアルジェリア~♪」と唄われるカスバってモロッコから遠くはないだろうけど、モロッコじゃなくてアルジェリアの街のはずだよね。
それがどうして、この本の書き手もモロッコ旅行記のタイトルにし、それを見た私も即モロッコを連想したのだろう。謎である。だがこの疑問、置き去りにして先に進む。
文庫版の解説を角田光代さんが書いていて、これがまた面白い。
『八日目の蝉』を読んで以来すっかり好きになったこの方が、『カスバの男』を読んだら、衝動的にモロッコ行きの航空券を買いに走った、と書かれている。それで、女性一人で行くようなところじゃありませんよ、と旅行会社のひとにアドバイスされるのだけれども、それでも強行して航空券を買って飛んだと書いてある。
実は冒頭に紹介したある方というのも女性で、モロッコには来月やはり一人で旅するのだという。この方はとてもインテリというか我々凡人からみると、ある情報がインプットされて、その結果としての行動が為されるまでの頭脳の中のプロセスがあまりに高度で想像が できない。だから、そういう意味では著名作家たる角田光代さんと同様で、なぜそうなったのかはミステリアスなのだが、あの人がやることなんだから真似してみたら素敵かも、と思わせてくれるところがある。
モロッコといえば、オジサン世代が連想するのは映画『カサブランカ』だ。
ボガードやバーグマンの名台詞が言い習わされれいて、もうベタすぎるのだが、私には何気無い脇役の仕草で忘れられないシーンがある。
颯爽と飛び去るニヒルな二枚目でありレジスタンスの英雄を見送る田舎植民地の下級警官が、手に持ったヴィシー酒の瓶を思いっきり屑籠のなかに投げ込むシーンだ。一見なんの意味もなさそうなこのシーンの意味を、三十年か四十年前テレビで見たときに、「映画って本当に」の水野晴郎さんだったか、「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」の淀川長春さんだったかは忘れたけれど、解説で意味を教えてくれた。
ヴィシーは、ドイツ占領下の傀儡政権であるヴィシー政府の象徴で、占領軍に支配され操られる傀儡政府に公務員の身の警官は恭順を装ってはいるけども、本当は「コノヤロー」と思ってる、それを暗示したシーンなのだということだった。
30年以上たった今、そのシーンの意味を想い起こすと解りすぎるその含蓄が哀しい。
気がついたら、この本の本文の内容には一言も触れていない。
それもそのはずだ、個性的なアーティストの手によるこの一冊をぱらぱらイストを中心に眺めただけで、私はまだこの本の本文を読んでいない。
ですが、間違いなく面白いだろうという予感がある。この予感にハズレはないだろうし、それより読み終わったら、自分がHIS目指して駆けだしはしないか、その方が心配である。 -
よくわからないまま読み進めていつの間にか終わった。モロッコ観光案内はなし。
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2022年11月17日読了。
●P55
●P104 -
画家の目で見たモロッコを感じることができる。暑い夏に読んでよかった。
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不思議な魅力のある文体だなぁ、といつも思う。普段、身近な人ともなかなか共有できない、自分の感覚の微妙にアブノーマルな部分を「わかるわかる」といった風に書き示してくれているような。あまりにも共感する部分が多いので、モロッコにも行ってきました。お腹壊したけど、素晴らしい場所だった。
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2004-07-00
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モロッコは、人を、とりわけ日本人を魅了する不思議な魅力を持った街、国のようだ。短い文章とイラストから成る本なので、受け取り用は人様々だろう。好きな人は、モロッコと大竹伸朗がますます好きになり、関心のない人は、なんだくだらない、で終わってしまうという本でしょう。ちなみに、私は好きです、この本。
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タンジール、アシラ、フェズ、マラケシュへと巡る旅日記であるが一般的な日記とは異なる。画家ならではの視点は夢と現が交錯する観察眼。現地で制作したスケッチやエッチングが味わい深い。