ダーク・ムーン 下 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477467

感想・レビュー・書評

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  • 抜群の疾走感で、分厚い上下巻、走り抜けます!って感じの物語でした。疾走。しかも、破滅に向かって。ノーフューチャーまっしぐら。「ああ、、、多分これ、、、だーれも幸せにならないんだろうなあ、、、」って予感ヒシヒシで物語は終末へ加速して行って、やっぱだーれも幸せにならんやんか。生きるって、、、なに?という虚無感バンバンですが、まあオモロいです。

    このダークっぷり暗黒っぷり悲惨っぷりを、オモロい、と言ってしまえる人間の恐ろしさよ、ってね、思いますね。物語をつむぐって。物語を楽しむって。罪深いなあ、、、と。なんか、そんな事すら、思ってしまったな。考えすぎでしょうけど。

    とりあえず、麻薬に手を出すのは、止めよう、ってね、思いますね、うん。

    劉燕玲(ラウインレン)。またの名をアイリーン。彼女は、実は、なんとなく、なんとなくですが「この女、なんか上手い事やって、他の奴らを上手い事出し抜いて、この女だけハッピーになるんちゃうの?」ってなんとなく思ってたんですが、全然んなこたあ、なかったですね。見事に悲惨な最期でしたね。しっかしまあ、あっこまで麻薬を欲しがるようになってしまうのか。人って。

    麻薬、マジ怖い、ってね、シミジミですね。アレですアレ、僕の大好きな映画。ダーレン・アロノフスキー監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」のマリオン・シルヴァーを思い出しましたね。ジェニファー・コネリーが演じていた。あのマリオンもなあ、、、映画の終わりの時にはなあ、、、ホンマに哀れなジャンキーになっていたもんなあ、、、マジあの映画怖い。そして大好き。

    あと、作者の馳星周さんは、何故にこんなに血縁にこだわるんだろうなあ?って思いました。登場人物、ホンマに人間の屑みたいなんばっかでマジスゲエヨパネエヨ、って感じなんですが。

    呉達龍・・・人間すべて嫌いだけど、二人の子供だけは溺愛。ホンマに人間の屑です俺。でも子供二人には真っ当に健やかに元気に育ってほしい頼むから。俺は絶対人間の屑。でも子供二人は最高のナイスな人間に育つんだよ間違いなく!

    李耀明・・・香港暗黒社会の大物で超切れ者だし勿論当然残酷冷血人間なんだけど、娘の李小芳は溺愛。娘をたぶらかすヤツはマジでブッ殺すから、というダメな親バカぶり全開。娘のことになるとホンマに単なるバカに成り果てる。

    加藤明・・・善人の振りして俺は悪どい事をガンガンしてます、ええ。ちなみに息子はマジで愛してるんですが、、、正しい愛し方が、、、わたし、できません。なんせワルなんでわたくし。で、昔愛した女の残したミッシェル、って子がね、わたしとは血が繋がってるかなあ?繋がってないかなあ?わかんない。わかんないけど、繋がってるかもしれないんで、とりあえずどんな無茶を言われても受け入れます。愛です。

    っていう。血のつながりって、いったい何なの?って思う。血が繋がってない他人にはいっさい容赦しないですけどね。血が繋がってる存在は超大事。って。なんでやねんやろうなあ。不思議だなあ。なんなのDNAって。もしですよ、もしですよ。催眠術とか使って、血の繋がってる人を、他人ですよ~って認識させられたとする。或いは、全然血の繋がってない赤の他人を、自分と血が繋がってる、って認識させることができたとする。そしたらやっぱ、なんか、こんなワヤな感じの盲目的な愛情、抱くようになるの?なんなの一体血の繋がりって?って思った。マジ不思議。

    個人的にはねえ、氏より育ち、って思いたいので、この馳さんの、異常なまでの血の繋がり大事だよ的キャラを登場させるの、なんかイヤでした。そんなに血縁って大事か?ってね、思う派ですね。なんか俺、そーゆーの、イヤ。って思うんですよねえ。

    いやまあ、んで、バンバンの疾走感の暗黒小説、って意味では、はい。楽しませてもらいました。こんな救いのない物語を、何故人は創造し、何故人は娯楽として楽しむのかしらなあ?不思議だなあ、って思いながら。

  • でも読み終えて、得るものは特にないけど。
    娯楽小説として。



  • 人が死に過ぎる。戦争もののように一撃の爆撃で大量にではなく。恨み、辛み、妬み、嫉み、嘘による嘘も、もうどこまで来たのかも分からない虚飾と欺瞞の負の連鎖。個人対個人。
    誰も報われない。
    人種差別の蔓延る自由の国カナダ。
    アジア人のマイノリティ。
    どんなに掃溜で汚泥に塗れた日陰の道を行く者も、撃たれ、臓物が飛び出し、顔面が半分吹き飛んでも、今際の際には、子の未来を偲ぶか。
    読むタイミングを間違えた。かなり喰らいます。

  • 20170715読破

  • まあまあ

  • カナダを舞台にした中華マフィア、警察の麻薬をめぐるハードボイルドもの。立場の異なる三人の主人公が出てきて、知らなかった先代からの因果関係が少しずつ明らかになっていく。

    結局全員悪者の暗いバイオレンス感が、さすが馳氏と思う。

  • 救いがない。
    誰も幸せにならない、誰も成長しない、誰も笑わない。
    ノワールだね。

    様々な人種が入り乱れた小説だけれども、登場人物たちはごく限定されています。

    閉鎖的な負の連鎖。

    終わらない悲劇にうんざりとするとともに、なんだかんだ上下巻一気に読まされた事にびっくりです。

  • 馳作品でハードボイルドなので片っ端から死にます…藁。場所がカナダでカナダマフィアの話ですが、登場人物がカナダ人、日本人、韓国人がごっちゃになり、登場人物も多い。また、その人の名前がニックネームであったり呼び名が三種類ぐらいに変わるので名前を覚えるのが大変でしたが、覚えてしまうと面白い作品だった。ハードボイルドが好きな人にはお勧め!

  • 感想UP済

  • 最後は意外な終わり方

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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