- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087477795
感想・レビュー・書評
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解説者の菅聡子氏が、西澤保彦の小説の特徴は、シテュエーションミステリーの形であることと、ディベート形式の語りにあると述べている。今回の設定は、父親が殺される直前の23年前にタイムスリップすることである。主人公影二の姉は同性愛者であったが、料理屋の主人の父親が殺されたことによって、影二の大学進学を支えるために、恋人と別れ、板前の男と望まぬ結婚をすることになって仕舞ったのだ。父親の死を防ぐことによって、違う未来を作ることができるのか。姉のアパートで14歳の姉の恋人季里子と出会うのだが、非常に魅力的でミステリアスな女性として描かれている。彼女と次々と語り合うことによって、影二は姉と父への思いを振り返って、理解を深め、タイムスリップの意味までも突き詰めようとする。作者は、女性同性愛に関しても一石を投じている。
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西澤保彦のタイムトラベルミステリ。ノンシリーズ。
例によって例のごとく、異能な能力を発揮した主人公が、殺人事件解明にあくまでロジカルに挑むミステリ。
登場人物は限られ、またページ数が多くないこともあり、珍しく結末は大体分かってしまう。そういう意味では、面白くはあったが他作より突出しているものはなかった。
それにしても、読む度に痛感するが、惚れ惚れするくらい物語に引き込むのが上手い。
文章は、削ぎ落とされた感はないのにシャープ。
展開は、急いてはいないのにスムーズ。
ロジックは、奇異奇怪でアクロバットなのに収まりがいい。
同じような作品ばかりでも、これは飽きない。
3+ -
頭の体操。
この著者の作品は初めて。予備値7全く無しで、SFとも知らずに読み始めました。
割と序盤で父殺しの犯人は見当ついしまうのだけど、結末がどうなるのかジリジリしながら読み進めました。
好みの結末ではなかったけど、楽しめました。
解説の題名、いつか猫になる日まで。
なぜ? -
パラレルワールドはある気がしてきた
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西澤異邦人読了。西澤さんらしいレズ感とタイムパラドクス感いっぱいの作品でした。正直なところこの薄さで全部やろうとしたのは無茶がすぎる気もするんですが(世界観を噛み砕く前に終わってしまった)わかりあえないながらも穏やかで優しい家族たちの関係性は染み入るものがありました。ミステリ?
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タイムトラベルもの。
今回も激しく凝った設定。
後味はよい。 -
西澤ワールド。なかなかよいね。
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ありきたりだが、いわゆる西澤ワールドのなかで繰り広げられるミステリ。ミステリの難度は低めだが、設定を逸脱することなく美しくオチまで展開。
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SFミステリ。納得のいく結末でよかったと思う。